国際交流・留学

平成29年3月27日

平成28年度 国際交流だより第23号

マイ・イノベーション③ これから出会う誰かに、恩送りを

「このままでいいのかな?」授業中、バイト中、友達と話している時、ふと思うことはありませんか? マイ・イノベーション。県大にはグローバルな経験を通して今までとは違う自分に出会い、歩き出した仲間がたくさんいます。県大生のイノベーションストーリー、お送りします。

経営学部4回生木本千春さんは、昨年約1年間にわたり、タイの学校で英語ボランティアの活動をされました。

教室の中でタイの子供たちと一緒の木本さん
タイの子供たちと(中央が木本さん)

教壇に立つ経験や自分の引き出しを増やしたい

1年間休学をしての海外ボランティア活動。どんな動機からでしょうか

きっかけは高校生の時。JICA(国際協力機構)青年海外協力隊員の方から開発途上国のお話を伺ったのですが、インフラが未整備で電気が安定して供給されないなど「途上国は日本とこんなに環境が違うんだ」と衝撃を受けました。そして「途上国の現状を自分の目で見て、自分にできることがあれば何かしたい」と考えるようになりました。

教育ボランティアを選んだのは?

海外でボランティアといっても様々な選択肢があり、最初はどれにすべきか迷いました。途上国や新興国と呼ばれる地域の現実を確かめたいと同時に、私は社会科の教師を目指しているので、教壇に立つ経験を少しでも積んでおきたい、広い世界を見て自分の引き出しを増やしておきたいという思いから、最終的にこの「タイで英語を教えるプログラム」に行き着きました。

現地ではどんなことをされていたんでしょうか

小学校で英語の先生をしていました。英語だけでなく、日本語や折り紙、手芸の授業をしたり、幼稚園や中学校で教えることもありました。また、スペインやロシアからのボランティアと一緒にチームで教えることもあったのですが、これは想像以上に大変。各国の先生それぞれに教え方や授業の進め方に違いがあるため、意見がぶつかることもありました。

どんな違いでしょうか?

私としては子どもたちに英語を「楽しい!」と思ってもらえるような授業を心がけたいと思っていました。教科書は使わず、できるだけゲームや歌を取り入れて。でも先生によっては、ドリルを徹底させたいとか、規律を保った授業を優先したいという声もあったのでお互いにスタイルを合わせるのが難しく、ケンカになったことも!

バナナソングを歌う子どもたち  円になって座り英語のゲームをする木本さん
楽しくアクティブに授業を進める木本さん

ロシア人ボランティアと大ゲンカ!?

ケンカ!

そうなんです。結構大変でした(笑)。特にぶつかったのはロシアからきたボランティアの先生で、彼女は「生徒とは一定の距離を置くべき」という考え方。生徒へフレンドリーに接しようとする私の姿勢を理解してもらえず、彼女から「それは生徒からなめられているだけ」と指摘されることもありました。彼女は本国で幼稚園の先生をしているということもあり、まだ大学生の私には返す言葉がありませんでした。

乗り越えたきっかけは?

それまでの私は言葉にも自信がないし、衝突も避けたいので人の意見に口出しすることはなかったのですが、ある時ついに彼女に反論してしまいました。「ここで何も言わなかったら同意したものとみなされるし、このままでは彼女にも自分にも負ける!」と思ったんです。それで、約2時間半の口論に。

2時間半!

そう(笑)。でも最後はちゃんと和解して、お互いを理解しあえる仲になれました。逃げずに話をしてよかったです。ボランティアがそれぞれの得意分野を担当し、いい授業になったときは本当に充実感がありました。

オリエンテーションの様子 初日のオリエンテーション
(後列オレンジ色の帽子が木本さん)
英語で折り紙の「カブト」の作り方を教える様子
英語で折り紙を教える木本さん

とにかくいろいろな方法を試しました

がんばってよかったですね! その他大変だったことはありますか?

そうですね、仲間とのチームワークもそうですが、私のやり方が100%通じるわけでないことは痛感しました。現地ではもともと体罰がしつけの一環として行われており、一方で私が体罰を使わずフレンドリーに接しすぎたため、次第に生徒が私の指示を聞かなくなっていったんです。授業が学級崩壊状態になったりもして。

かなりのストレスだったのでは…

はい、タイ語が話せないので言葉で叱ることもできず、かといって体罰を使うのは日本では絶対にダメなので心情的にできず、どうしたらいいか悩みました。そこで、いろいろな方法を試しました。生徒が騒ぎ出したら怒った顔をして黙り続ける、黒板を叩く、「勉強をしないなら出ていきなさい」と言う、日本語で怒鳴る、などです。教師と生徒の関係、教育の在り方の多様性に触れる、とてもいい機会になりました。

折り紙をする子どもたち  ミサンガを作る子どもたち
折り紙やミサンガの教室も開講。大人気でした!

LGBT、バッタの素揚げ、多様な文化を受け入れる

そのほか、「日本とは違うなぁ」と感じた経験はありますか?

小学校でも「レディーボーイ」がたくさんいることです。「レディーボーイ」の生徒も隠す様子はなく、周囲もそれを受け入れていて、とてもオープンで驚きました。自分らしく、自由にのびのびと生きる環境は日本よりも進んでいるように感じました。また、食虫文化にもびっくり。家庭料理として、バッタの素揚げを夕食に何度かいただきました。最初は口に運ぶのに抵抗がありましたが、香ばしくてザクザクとした食感で、慣れるとおいしいですよ。

現地で感動したことは‬ありますか

現地の人に親切にしてもらったことは忘れられません。家に頻繁に招いていただいたり、食べ物をシェアしてくれたり、旅行先で案内してくれたり。初対面でも距離を感じず親しく話しかけてくれる、大きな家族の一員のように迎え入れてくれる。自分自身日本にいてここまで人に何かをしたことはこれまでなかったので、とても感動しました。

生徒の皆さんと記念撮影 お別れの日。生徒の皆さんと
他の先生方と一緒の木本さん
現地の先生や教育実習中の先生方と
(左から4番目が木本さん)

今度は自分の番。これから会う誰かに、恩送りを

出発前と今とで、自分自身変わったなと思うことはありますか?

英語やタイ語の力が伸びたことはもちろんですが、とにかくかなりの度胸がついた気がします! 日本とは異なる文化の中に身を置く中で、たくさんの生徒を教え、からかってくる生徒を撃退したり、ロシア人の先生とケンカしたり、多々あったので(笑)。

様々な経験を乗り越えて

はい、これまで私は近い将来をあれこれ考えて心配しがちでしたが、今は「なんとかなる!」という気持ちが自分を支えてくれている気がします。また、現地の人からしてもらったことを忘れず、今度は自分がこれから会う誰かに恩送りをしていきたいなと思っています。そしていつか、タイの日本人学校で教師をしたいとも考えています。

最後に、県大生へのメッセージをお願いします!‬

海外ボランティアというと、英語が堪能に話せてすごい技術が必要と思われがちですが、やる気があれば参加できるものもたくさんあります。私自身、現地に行った直後は英語はカタコト、現地語も話せず、教育関連の資格も持っていませんでした。それでも現地で出会ったみなさんの温かいサポートのおかげで、充実した毎日と多くの仲間、経験を得ることができました。海外に興味のある学生のみなさん、ぜひボランティアという方法も検討してみてください。

ラン活で発表する木本さん
発表中の様子
昨年12月のラン活にも登場し、経験を語ってくださった木本さん
素敵なお話をありがとうございました。ご卒業おめでとうございます!

お問い合わせ:
大学本部国際交流機構 078-794-6683

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