国際交流だより第7号では、学生の皆様にとって、夏前にご自身の安全のために海外での安全対策について今一度考えてもらう機会にします。
夏休みは語学研修だけじゃなく、旅行にも出かけることも多くなります!
「安全はタダである」との認識は捨てて、ご出発前にしっかりと考え直してみてください。
面倒でも手続きは怠らずに!
兵庫県立大学は下記ホームページにて危機管理マニュアルを始め、外務省のたびレジ、オンライン在留届のリンクをご案内しております。
海外へ渡航する学生の皆様へ(海外での安全確保)
渡航前に必ず外務省の海外安全ホームページを確認し、対象国・地域が危険情報カテゴリー2以上の場合は渡航をとりやめてください。
外務省海外安全ホームページ
「自分は運が強いから大丈夫!」というのは過信にすぎません。予防が最良の危機管理です。行く前にはしっかりと時間をかけて渡航の準備をしましょう。
「怖がる」ことにはメリットもたくさんあるのです。臆病であること、それはゴルゴさえ、生き延びる秘訣だと言っているのです。
安全のための3つのステップ①情報収集
情報収集は基本です。外務省では、2014年より海外行者向けに外務省海外旅行登録「たびレジ」を開始しています。3か月以上の滞在者には「在留届」が提出義務となっておりますが、3か月未満の短期渡航者が登録することで、緊急事態発生時の対応に活用できるのです。
長期留学など、3か月以上の滞在予定者は在留届が義務となっております。この夏に海外渡航予定の方、たびレジ、忘れずに!!!
LINE公式アカウント「外務省」も是非、検索してみてください。
安全のための3つのステップ②意識改革
「自分は大丈夫」、「ここはきっと安全だろう」、「誰かが守ってくれる」という意識は捨てましょう。自分を守るのは自分しかいません。下に注意点をまとめてみました。
海外における被害の95%が盗難や詐欺です
- スマートフォンを路上で使用しない (新型スマートフォンを狙った路上強盗が頻発 、スマートフォンを使用する場合は、必ずお店など建物の中で使用)
- 荷物は常に身体から離さない(数秒間、荷物から目を離すだけで盗まれることがある。パスポートは肌身離さず。スマートフォンをテーブルに放置しない。レストランの椅子の背もたれに荷物を掛けると 高確率で盗まれる。立食パーティーで荷物を置いたまま料理を取りにいかない。)
- 夜間に男性が集団で近づいてきたら早めに避ける
- 観光名所、空港、ホテル、交通機関の移動中等の旅行者が多くいるところでは人間ウオッチングが大事。
- 人通りの多い道を選ぶ
- ナイフ・銃を持った強盗に遭ったら絶対に抵抗しない。
「逃げない」「大声を出さない」「睨まない」「追いかけない」
- ストリートチルドレンによる集団スリに注意(ストリートチルドレンが近づいてきたら警戒する。みやげ物の販売を装って近づき荷物をひったくる可能性がある。)
- 歩きながらスマートフォン、イヤホンを使用しない(周囲の状況に無防備になり、強盗に狙われやすくなる)。
ハワイオアフ島では、道路横断中の「歩きスマホ」が条例で禁止。違反者には15~99ドルの罰金がある。
- ノックされても不用意にドアを開けない(部外者を部屋に入れない。ホテルの従業員を信頼しない)
- 大学の寮でも盗難に注意する
- ホテルの部屋の金庫を信用しない(スーツケースを部屋に置いて外出する場合は、 スーツケースに鍵をかける。)
- 睡眠薬強盗等 (身元が不明な人とお茶や食事をしない。語学研修生は、外国語を話したいのでついていく人が多いので注意すること。 見知らぬ人から勧められた飲み物、食べ物はキッパリ断る。日本語で近づいてくる人にも気を付ける。)
- スリ・窃盗(コインやカギ束をわざと落として気を引きつけた瞬間にスリ。わざとぶつかって服にケチャップやソフトクリームをつける。時間や道を聞いてくる。電車やバスで寝るのは非常に危険。スーツケースに名札をつけると危険。ニセ警官による所持品検査 → 不審な点があればIDの提示を求めるまたは警察署での確認を求める)。
両替をしてあげると言い、偽札を渡す。
- 詐欺・スキミング (クレジットカード利用時に、金額に0を加えて サインさせる。クレジットカードの情報をスキミングして不正利用、スキミング被害を防ぐために、磁気タイプではなく ICチップタイプを利用する。路上に設置されたATMを利用しない。)
安全のための3つのステップ③安全対策
滞在する国・地域の特性に合わせて、安全対策を実施しましょう。
- 法律の禁止事項例
- 軍事施設、港湾施設の写真撮影
- 乗降中のスクールバスの追い越し
- 子供の頭を叩いて叱る
- デモへの参加
- 麻薬犯罪はアジアでは厳刑 (中国では所持のみで死刑)
- アルコール所持
- 飲酒(年齢と場所に注意) アメリカでは州によって飲酒可能年齢が異なる (購入は全ての州で21才以上のみ可) (公共の場、交通機関、車の中での飲酒不可の州も)
現地で避けられている習慣の例
- 子供の頭をなでる
- 足を組む
- 左手を使った物の受け渡し
- 子供を肩車する
- 原住民の写真を撮影する
- 政治的な話題(領土問題、歴史認識)
- 宗教の話題(Merry Christmas→Happy Holidays)
(Oh my God!→Wow, Oh No, Oh my Gosh!)
- 金曜日
- イスラムの集団礼拝日である金曜日にテロが多発
- 金曜日の外食を禁止している日系企業もある ラマダン月(イスラムの断食月)6月頃~7月頃
- 断食が行わるラマダン月(特に金曜日)
- ラマダン明けの期間
- ナショナルデー(独立記念日)等に注意
7月4日 米国独立記念日
7月14日 フランス革命記念日
9月1日~4日 イスラム犠牲祭
9月11日 米・同時多発テロ発生日
また、SNSに気軽に渡航先や写真をタイムリーに投稿しすぎる行為は危険を伴うことを知っておきましょう。
「海外旅行保険」は必ず加入しましょう
- 交換留学、本学主催の海外研修の場合、 学研災付帯の海外留学保険(付帯海学)と トータルサポートサービスへ加入
- 保険の補償内容を保護者にも伝えておく
- 出発前に発症した病気は補償の対象外 既往症のある人は、特別な保険に加入
- 加入しなかったため、数千万円を自己負担した邦人がいる
- クレジットカード付帯の保険は、ほぼ役に立たないと思っておく (ゴールドカードでも保険金は300万円しか支払われないことも)
- キャッシュレスで医療を受けられることが望ましい
健康・安全対策も忘れずに!
- 水道水は飲まない (地域により飲めるが、ミネラルウォーターが無難)飲用可:米、加、西欧、豪、NZ等飲用不可:中国、台湾、韓国、東南アジア、東欧等やむを得ない場合は、必ず沸騰させてから飲む
- 屋台で飲食しない(衛生状態が悪い地域では深刻な下痢になる(食中毒、腸チフス) また1週間以上、強烈な下痢が続くことがある)
- 生ものをなるべく食べない
- 蚊にさされない(東南アジアでデング熱による死者が増加、 暑くても長袖、長ズボンを着用、また防虫スプレーを使用すること。)
- 犬、猫、鳥などに近づかない(狂犬病に感染した犬に噛まれて発症したらほぼ死に至る。特にアジア(中国、タイ、フィリピン、インドネシア、ベトナム)で注意すること。感染しても発症前ならワクチン接種により発症抑制効果があるので、 噛まれたらすぐに病院に行く。ダニに感染した猫に噛まれて、死亡することがある。鳥インフルエンザ(2016.12~中国で286名死亡))
健康管理のための持ち物
- 常用薬(現地で買える薬は、薬効がきつい場合がある)
- 常用薬を多量に持参する場合は、入国審査時のトラブルを 避けるため、治療薬の処方箋(英文・写真入り等)を用意するとよい。
- サングラス
特に豪州、NZ、東南アジアなどでは、サングラスは必須。サングラスがないと、眩しくて外出が困難なこともある(白内障予防)。
- 日焼け止め(オーストラリア等での紫外線は強烈。皮膚がんになる危険もある)
- マスク(中国、モンゴルの大気汚染対策。「N95」の規格を満たしたマスクは、PM2.5を95%遮断。機内での乾燥防止)
交通事故に注意
- 自動車の運転に注意
(外国の道路はスピードが出やすく、多くの留学生が事故で死亡 。シートベルトを必ず着用すること。慣れない右側通行に注意。ラウンドアバウト、フォーストップ等に注意。乗降中のスクールバスの追い越しは厳禁。)
- 横断歩道も危険(横断歩道でも車は止まってくれない地域もある)
安全対策に役立つ持ち物
- 目立たない服装・物(目立つと犯罪の標的になる)
- 海外でスカートは目立つ。露出の多い服装は危険!
- 日本での普段着も海外では目立つ場合があるので、 現地の人の普段着の服装のレベルにあわせる。
- 華美なアクセサリー、ブランド品のバックは身に着けない (ストラップを短く身体に近づけて、混雑時は身体の前に)。
- パスポートの盗難にあった場合、「帰国のための渡航書」を 申請する時に必要(縦4.5cm × 横3.5 cm、2枚)なので証明写真 を持っておくとよい。パスポートの顔写真があるページもコピーしておく。
- 緊急連絡先の一覧表を紙で持参。スマートフォンを盗まれた場合でも連絡先が分かるようにしておく。クレジットカード等を紛失した場合の連絡先も調べておく
性犯罪に注意
- 初めて会った人には決してついていかない
- 睡眠薬強盗に注意
- 「日本語を勉強しているので教えてほしい」などと 誘われた飲食店で睡眠薬が入った飲み物を飲まされ、その後車や家に連れ込まれ強盗や性的な暴行被害に遭う
- ヒッチハイク、夜行長距離バスは避ける
- 女子留学生が性犯罪に巻き込まれている
- 誘われても車に乗らない
- 恋愛感情のもつれに注意 (友人以上の関係を持って、その後交際を断りストーカー被害に遭う。 恋愛感情のもつれからの殺人事件)
その他気をつけること
- 空港のセキュリティチェックの長時間化(テロ対策強化のため検査が長時間化、海外では必ず出発時刻の3時間前には空港に到着)
- 他人の荷物を預からない(知らない間に麻薬の運び屋にされる)
- 路上でものを買わない(報奨金狙いで麻薬を混入)
- お金の持って行き方
( 現金、クレジットカード、国際デビットカード、海外用プリペイドカード、海外送金 ※トラベラーズチェックは、日本では販売終了)
- 旅行用の財布は小さくて薄いものを専用に持っていくとよい。
- インターネットの規制(中国では、LINE、twitter、facebookなどが規制されている。)
トラブルからも学びはあるので怖がりすぎないで!
ここまで、海外での安全について怖めに表現していたかもしれません。しかし、軽いトラブルでしたら、トラブルの中から大きな学習があるのです。
海外経験からは本当に多くの学びを得られて素晴らしいことです。
しかし、もっと素晴らしいのは、ご家族、友人、先生、大学関係者などなど、皆様のことを送り出してくれた人たちのもとに無事に笑顔で帰ってきてもらうことなのです!
国際交流機構一同で皆様の「ただいま」を待っています。
充実の夏をお過ごしくださいね。