国際交流・留学

平成22年11月12日

国際交流だより 平成22年度第9号

「留学生×地元企業で観光資源をPR!」

中国、韓国、アメリカ、バングラディシュ等、兵庫県立大学の6つのキャンパスあわせて、約200人の留学生が学んでいます。

<一生懸命勉強に励み、キャンパスライフを楽しみ、日本文化に触れる>というのが理想の学生生活なんだろうな、と考えていました。ただ、現実に留学生と話していて感じたことは、「勉強とバイトの毎日。日々の生活をこなしていくのがやっと」という現状。同時に、それでは折角日本に、それも兵庫県に来たのにもったいない…と考え、開催したのが「ようこそわがまちプロジェクト」です。

「ようこそわがまちプロジェクト」とは

兵庫県が誇る文化や産業を企業様の協力を得て留学生に無料で体験させていただくかわりに留学生はそのお返しとしてお手伝いをする。例えば、 “留学生だからこそ” できることといえば「語学」! 企業さんが外国人向けになにか発信したいことがあれば、語学面でお手伝いをするという「give&take」なプログラムです。

第1回としてご協力いただいたのが姫路の和菓子屋(株)杵屋さん。こちらは2009年より和菓子作り体験(1人1,500円)を実施しており観光客に姫路の和菓子文化を体験してもらうと頑張っておられます。
留学生のために特別バージョンの和菓子づくり体験を実施していただくことになりました。和菓子にはどんな意味があるのか。どのようにつくられるのか。職人さんがどんな技をつかうのか、を実際に教えていただきます。

では留学生ができることは何か…というと「語学」です。よって、体験プログラムのパンフレットと手順を翻訳すると同時に「外国人観光客に届きやすいキャッチフレーズ」を留学生が考えることになりました。さてどんなものができあがるでしょうか?

工夫と知恵 「和菓子のデザイン」

11月12日(金)の午後、会場となったのは姫路城の西側にある姫路文学館敷地内にある「望景亭」。
こちらはもともと、市内の実業家である濱本八治郎氏の別邸として建てられました。結婚式場として運営されていたこともあり、現在は国の登録有形文化財建造物として登録されています。雰囲気の漂うお屋敷では、美しい庭を望める場所。 会場に到着したと同時に、写真を撮影する学生も。

美しい庭園のある望景亭前で

さて、初回である今回のテーマは「和菓子作り」。
08年に全国菓子博覧会が行われた姫路は、もともと藩主が茶の湯を好んだことからお菓子作りが盛んな土地。(株)杵屋 内藤浩一社長からそんな城下町・姫路と和菓子の関係、また茶の湯においての季節との密接な関係のお話がありました。

社長からの姫路にまつわる深いお話

興味深かったのは、和菓子の意匠(デザイン)。特に今回つくる上生菓子は茶の湯で使われるもので、茶室のお花、掛け軸などとともにそれ自体が四季を表しお客様をおもてなしするものになっているんだそう。その後、パネルにずらりと並んだ菓子の写真をみて、みんなで季節のあてっこが始まりました。
桜は春、あやめは夏。わかりやすい花の形ではなく、霜がおりている雰囲気を表しているものや、川の流れを表すものなど難しいものもあり、和菓子の繊細さを感じましたよ。

 
和菓子を作ってみる

さて、いよいよ実際に職人さんに手ほどきをいただきながら上生菓子三種を作ることに。

【(株)杵屋 岩田工場長に手ほどきをうける生徒たち】

まず最初に ”しぼり” の技術を使った上生菓子を作ります。 これは「ふきん」をつかって生地をまさしく「絞り」ます。
しぼって形を整えたものに、「おしべとめしべ」を飾るのですが この黄色の細かい部分、どうやってつくると思いますか?

花の中央にあるのが、黄色のおしべとめしべです

実はこれ、馬通しという目の細かい通しであんを濃してつくります。
あんを押し付けるようにこすると、通しの裏には細かい目を通ってきたあんが!つまようじでこれを丁寧にとり、のせると…本当に「おしべとめしべ」のようですね。

【馬通しで生地を繊細にこしていきます。楽しい♪】

二つ目は “きんとん” の技術をつかった上生菓子。

まるでイソギンチャクのようです

いそぎんちゃくのような外見の、「きんとん」。
これはどうやってつくるのでしょうか?
これは目の粗い「通し」に生地をのせて上から「バーン!」とたたくんです。

「通し」に生地をのせて・・・
パラパラになりました

そうすると、小さくパラパラと可愛い断片になって落ちていきます。
このなかのカタチのいいものをえらんであんこのまわりにつけていきます。
みんな通しでバーン、バーン! と、ある種楽しそうな様子です。

こちらは三角ベラの技術をつかった上生菓子。

三つの角がある木製の棒をつかって文様をいれていきます。
角ごとに切り込みが違っていたり大きさが違っていて、この1本で 様々な意匠を生み出すことができます。
昔から伝わる職人の知恵。シンプルな道具で、様々な容を生み出していくクリエイティブさが素晴らしいと感じました。

「形がくずれた!!!」「うまくいかない!」「ああ、XXさん、上手!!!」 と、みんな和気あいあい。

また特別に「自分達の国のオリジナルなお菓子をつくる」ことを提案された杵屋さん。

みんな「えええ、自分の国のもの??」ととまどいつつも、自分が作ってみたい意匠を職人さんに教えてもらいながらつくっていました。
ちょっと茶化して、オーストラリア人の先生に「コアラを作ったら?」と冗談まじりに勧めていたのですが、和菓子のもつ意味をちゃんと理解した後だったので、薔薇を作っていました。(どちからといえば職人さんに作ってもらっていたのですが・・・)

自分の国の言葉に訳す

自分達のお菓子が完成した後は、肝心のワークショップ開始です。
その前にお抹茶をいれて杵屋さんの「亥の子餅」(旧暦10月にいただくお菓子で、多産の亥にあやかり、無病息災、子孫繁栄を祈る行事につかわれた)をいだたきました。日本人男子学生がたてたお茶を、みんなでいただきます。
「自分もやってみたい!」と留学生もチャレンジ。シャカシャカシャカ・・・「うまくいかないー」大騒ぎ。「ゆっくり、泡立てるんじゃなくて・・・」と指導はつづきます。

さて、楽しい和菓子作りが終わった後はワークショップ。英語、中国語、韓国語チームに分かれてパンフレットと、手順を書いた紙を訳します。又同時に「自国の観光客にPRするキャッチフレーズ」も考えてもらいました。
日本人学生は、留学生にとってわかりにくい文章をわかりやすく説明し、留学生達が訳していきます。
「…難しい! 中国語に直したときに、うまく表現できる言葉がない!」と中国語チーム。「う~ん。たぶん、韓国語でこんな感じですね~」とひょうひょうと訳していく韓国語チーム。

「ちょっと難しいかな?」と想像していた翻訳をものすごいスピードで訳していきます。
さすが一般の日本人学生同じ授業についていっているだけあるなあ・・・と感心してしまいました。

1時間20分後。完成した翻訳とともに、キャッチフレーズが発表されました。

【英語訳チーム】

【中国語訳チーム】

【韓国語訳チーム】

ちなみに中国語チームの付けたキャッチフレーズは「和菓子とのロマンチックな出会い」
中国語でのロマンチックはすこしニュアンスが違うそうなのですが・・。
韓国語チーム :「きれいな日本の伝統菓子を自分の手で作ってみよう」
英語チーム :「Japanese sweetmaking course; a unique, heart-warming experience」

語学圏によって感じ方が違うのが面白いなあと感じました。

留学生と日本人学生が共同で作業をした各語訳は杵屋さんによって活用されます。 (株)杵屋の代表取締役 内藤浩一社長も「英語だけでなく中国語、韓国語、そしてタイ語があればいろんな国の方に対応できる」と喜んでいただけました。
これを機に姫路を訪れる観光客に1つでも、地元の伝統プログラムを体験してもらえる きっかけになれば、また今後も企業×学生のコラボで地元の活性化につながる試みができれば面白いのではないかと思っています。

【作った上生菓子を持ち帰り用にしていただきました。】

[神戸新聞掲載記事/2010年11月14日朝刊]
※画像添付

国際交流相談員;松岡京子

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