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式辞など

平成30年度入学宣誓式 学長式辞

学長式辞

本日、兵庫県立大学に入学された学部生1,315名、大学院生471名、合わせて1,786名の皆さん、ご入学誠におめでとうございます。本学の教職員を代表して心よりお祝いを申し上げます。これまでの皆さんの大学受験に向けた努力に敬意を表しますと共に、皆さんを支えてこられたご家族や関係者の皆様にも心よりお祝いを申し上げます。

本日は大変お忙しい中、皆さんをお祝いするために、兵庫県知事井戸敏三様、兵庫県議会議長黒川治様をはじめ多数のご来賓の方々にご臨席を頂いています。ご来賓の皆様方には厚く御礼を申し上げます。

また、本年4月から本学公立大学法人の理事長として、新しく五百旗頭真先生がご就任されました。後ほどご祝辞を頂戴いたしますが、公立大学法人兵庫県立大学の新しい運営体制がスタートしました。

さて、兵庫県立大学は、平成16年、当時の神戸商科大学、姫路工業大学、兵庫県立看護大学の三県立大学が統合、発足して、この4月で15年目に入ります。歴史が一番長い神戸商科大学の設立から数えると90年目となります。

神戸商科大学の前身は昭和4年に設置された神戸高等商業学校で、通称神戸高商と呼ばれ、現在の神戸市垂水区に新しく高丸校舎が建設されました。戦後の学制改革では、殆どの大学が昭和24年に新制大学として発足しましたが、国公立の中で神戸高商のみが一年早い昭和23年に神戸商科大学に昇格しています。大学院も、地方国立大学に先んじる形で、昭和40年に修士課程、46年には博士課程を設置してきました。このように進取の気象に富んだ学風で、実学を重視した教育研究を展開し、経済界、産業界、政界、学界やマスコミ分野などに多くの優れた人材を輩出しています。出世できる大学として週刊ダイヤモンド誌に大きく取り上げられたこともあります。

平成2年、現在大学本部が置かれている神戸市西区の神戸商科キャンパスに移転しましたが、その一角にモニュメント広場があります。その中に「昭和20年入学戦没学徒碑」という石碑があり、「昭和20年2月入学試験合格直後より学徒出陣し、入学式の喜びも講義の楽しさも知らず、戦に死に永久に登校でき得ざる同期のあまたなる御霊よ、安らかに眠り給え、あこがれの母校の庭に 今や平和にして豊かなる 昭和53年10月 生きながらえて33年ぶりの入学式に列席せし、昭和23年卒同期14人で建立」と書かれています。戦況が厳しく実施できなかった入学式を、戦場に散った友と共に33年ぶりに行った記念碑です。入学試験に共に合格しただけの縁であった学友の悲運を思い、自分たちだけが生き長らえたという胸に痞えていた蟠りを開放した碑文ではないでしょうか。思わず背筋を伸ばして読みました。

皆さんと同じ年齢の人たちが、向学の願い叶わず、学校へ足を踏み入れることもなく戦地に散っていかれました。今の平和はこのような方々の犠牲の上に成り立っています。皆さんは、この先輩たちの思いをしっかり胸に刻んで、大学で何をなすべきか、何をするために大学に来たのか、もう一度しっかり考えて頂きたいと思います。

姫路工業大学の前身は、昭和19年に発足した兵庫県立高等工業学校で、神戸市長田区五位ノ池に新学舎が建設されました。最初の入学試験には定員120名に対して、4,000名余りが受験したと伝えられています。昭和20年3月の空襲で学舎は焼け落ち、その後姫路市の熱心な誘いにより、姫路市伊伝居にある現在の姫路工業高等学校の敷地内に移転しました。神戸商科大学とは対照的に、戦災で大きな被害を受けていたため、新制大学への昇格は困難を極めましたが、昭和24年2月の文部省告示で、多くの厳しい条件を付けられ、兵庫県からの財政支援の約束の下、工学系単科大学として発足しました。

姫路工学キャンパスの部室入り口付近に、「志高遠」と書かれた石碑があります。これは昭和26年3月前身の兵庫県立工業専門学校が閉校するのを記念して工専同窓会から贈呈されたものです。三国志に登場する諸葛孔明の「志当存高遠」(志当に高遠に存すべし)、すなわち「志はどこまでも高く掲げねばならない。」に由来しています。新しく発足した同窓会組織「姫路工業倶楽部」の皆さんが母校の発展を祈る気持ちを届ける石碑で、裏面の撰文は、「この大学が真理の自由なる探究によって文化を発揚し、世界の平和と福祉とに貢献することを永久に切念する。」と結ばれています。先達の思いに胸を打たれます。皆さんも、先輩の思いに応えて、志を高く持って本学での学生生活を送ってください。

当初、工学部は3学科、学年定員120名で発足しましたが、その後の高度成長期などを経て、大学統合時には8学科、学年定員352名に拡充されていました。この間、キャンパスは現在の姫路市書写に移転し、昭和56年には、地方国立大学より早く大学院工学研究科博士課程生産工学専攻が開設されるなど、教育研究環境の整備・充実が進み、朝日新聞社が発行した平成15年度版大学ランキングで、過去10年間の論文引用度指数が工学分野で全国1位にランキングされるまでに発展しました。

太田学長

平成2年には、播磨科学公園都市に立地が決まった大型放射光施設との連携を目的に理学部が開設されました。国公立大学における理学部設置は20年ぶりということもあり、大きな注目を集め全国から優秀な教授陣が集いました。理学部もその期待に応えて順調に教育研究の成果を挙げ、SPring-8などの活用により世界水準の研究成果を一流学術誌に次々に発表しています。工学部も刺激を受け、切磋琢磨した結果が現在の発展に繋がっています。

姫路工業大学のもう一つの歴史として、昭和25年姫路工業大学短期大学部として発足、昭和32年に独立した姫路短期大学があります。昭和40年にキャンパスを伝統のある旧制姫路高等学校の跡地に置きました。校舎は、テレビドラマなどにもよく使われており、国の「登録有形文化財」と、「姫路市都市景観重要建築物」に指定されています。播磨地域の女子の中核的高等教育機関として多くの優れた人材を各界へ多数輩出してきましたが、平成10年、4年制大学昇格への気運の高まりに応えて、姫路工業大学の一般教育部との統合拡充により、文理融合型の環境人間学部として再出発しました。伝統的に地域社会からの信頼は厚く、地域から全国へユニークな情報を多く発信しています。

兵庫県立看護大学は、平成5年、全国初の国公立の看護系単科大学として明石市に設置され、昨年度25周年を迎えました。近年、全国の大学における看護学部の増設や看護系大学の新設を見るにつけ、設置に携わった教員と県当局者の方々の先見の明には敬服の念を禁じ得ません。先進大学として看護学の教育研究を主導し、公立大学としては全国で初めての大学院博士前期・後期課程を開設しました。卒業生は県内外の医療機関や保健所、大学などで、専門看護師、保健師、教員などとして活躍しています。また、多くのOG教員が、各地の大学で看護学部の創設に携わるなど看護学分野の中核的人材の供給源にもなっています。

このような3大学の統合により実現した本学は、現在、6学部と14の大学院研究科、4附置研究所、附属中学校、高等学校を擁する全国屈指の公立大学となっています。学生数は学部・大学院合わせて約6,700名、学生のいるキャンパスだけで9つあります。加えて、研究機能だけのキャンパスが3カ所あり、兵庫県を形成する旧五国、但馬、丹波、播磨、摂津、淡路の全てにキャンパスを持っています。キャンパスが各地に散在していることは、大学運営や大学の一体感の醸成などでは不利な面もありますが、発想を転換すると兵庫県全域がキャンパスであると考えることができます。各地にあるキャンパスを拠点として地域と密度の濃い連携活動を展開できます。このような意味で、本学では全県キャンパスというコンセプトで教育研究を展開しています。

兵庫県には大型放射光施設「SPring-8」やスーパーコンピューター「京」などの世界最先端の研究インフラが集積しており、本学はそのような施設に隣接してキャンパスを置いています。また、独自に中型放射光施設「NewSUBARU」や日本最大の光学赤外線望遠鏡「なゆた」などの大型研究施設も保有しており、様々な先端研究を進めています。加えて、兵庫県がもつ「人と防災未来センター」、「人と自然の博物館」、「コウノトリ郷公園」、「淡路景観園芸学校」などとも緊密に連携した教育研究を展開しています。このように恵まれた教育研究環境が整備されていることも、本学の大きな特長です。

先ほど紹介した14の大学院研究科のうち4つは学部を持たない独立大学院で、3つは高度専門職業人を養成する専門職大学院ですが、多くがこれらの施設と連携しています。「シミュレーション学研究科」と「応用情報科学研究科」はポートアイランドにあるスーパーコンピューター「京」と繋がったビルにキャンパスを置き、「京」との連携などにより最先端の計算科学を基盤とした教育研究を行っています。豊岡市にある「地域資源マネジメント研究科」は、コウノトリや山陰海岸ジオパークの海岸地形・地質、社会・文化資産などを対象として、地域資源マネジメントの統合的理論と実践スキルの研鑽に取り組んでいます。昨年4月に開設した「減災復興政策研究科」は、人と防災未来センターにキャンパスを置き、減災、復興に関する、新しい知見の発見や高度な専門人材の育成を目指しています。専門職大学院である「緑環境景観マネジメント研究科」は、緑環境や景観の分野における日本初の専門職大学院で、淡路島にある美しいキャンパスがそのまま演習フィールドになるという恵まれた教育環境で、都市緑化や景観園芸に係わる緑の高度専門職業人を育成しています。

このように、本学は全国的にも稀な、多様な教育研究を展開しています。本日、入学された皆さんが、4年後もう少し勉強がしたい、研究がしたいということで大学院進学を考える時、自学部の大学院に加えて幾つかの選択肢があるということを知っておいて下さい。何か、新しい展開が見えてくるかもしれません。

皆さんは、このような歴史と伝統と、先進的な教育研究環境に恵まれた大学で学生生活を送ることになります。ここで、私から皆さんに考えて頂きたいことについて少し話をいたします。

学長式辞

大学で皆さんが第一義的に取り組むべきことは勉学に励むことです。大学は、学問の鍛錬の場であり、またその真理を究める場でもあります。全く理解できないような難解な問題に出会った時も、決して挫けず、課題として常に心に留めて、前へ進んで下さい。努力を続けていると、いつか思わぬときに展望が開けます。脳の進化はブレークスルーを通して向上していきます。ネット情報は便利な面もありますが、決して鵜呑みにできるものではありません。本を読み、自らの手を使って考え、手で理解することが基本です。

第2に、多くの掛け替えのない友人と出会って下さい。教室や図書館に出向くことは勿論ですが、部活やサークル活動などに積極的に参加して下さい。そこで、お互いの顔を見ながら語り合うことが大切です。スマホやラインでのやり取りでは真の友情を育むのは困難です。真摯に議論し、切磋琢磨することがお互いを成長させ、何物にも代え難い友情を育み皆さんの大きな財産となります。

第3は、大学キャンパス内のみに止まらず、ボランテイア活動や海外留学などにも目を向け、積極的に社会に係わり、世界へ飛び出して下さい。そして、若い情熱に基づく正しい判断、批判の目を養って下さい。若い力が関与しない社会は、ダイナミクスを失い、いずれ衰退していく運命にあります。いま話題になっている成人年齢を18歳に引き下げる民法改正もこのことと無縁ではありません。

第4に、これからの大学4年間で他の人には負けないもの、自分のアイデンティティとなるものを、何か一つ身につけてください。スポーツ、将棋、語学、数学、電磁気学、公認会計士、何でも構いません。「一芸に秀でた者は多芸に通ず」という言葉がありますが、何か一つ高い所に上ると周りが見えてくるものです。隣の山の様子も見えてきます。このことは、皆さんをさらに成長させます。しかし、それには他人の何倍もの努力が必要です。焦ることなく、よく考えて努力を続けて下さい。きっと道は開けます。

5番目に、大学は皆さんをひとりの大人として扱い、皆さんが全てを自己責任で実行することを求めます。自己管理や自己規律をきちんと行い、学生生活を持続させなければ、途中で破綻してしまいます。自由であるだけに、余計に皆さんの責任は重大です。加えて、学生としての品位、品格を保つよう努力して下さい。兵庫県立大学の学生として、常に兵庫県立大学の名誉を背負っているということをいつも念頭において頂きたいと思います。

さて、いま日本の社会は大転換期を迎えています。少子高齢化と人口減少の同時進行、東京一極集中による歪な社会構造、押し寄せるグローバリーゼーションの荒波、急激に進展するICT社会、この潮流の中で社会構造、産業構造、経済活動、社会システムまでが大きく変わろうとしています。このような難しい局面を切り拓くことができるのは、皆さんのような若い力です。未来社会を創り上げていくために、知力、体力、仁徳を本学で養ってください。

大学も、次代を切り拓くために、商科キャンパスの学部改編を行い、グローバル化を先導する「国際商経学部」と、IoT、AI、ビッグデータの時代を牽引する「社会情報科学部」を設置します。また、キャンパス内に外国人留学生と日本人が混住できる国際学生寮や国際交流センター、ビッグデータセンターを備えた新教育棟を建設します。皆さん、共に、未来に向かって、兵庫県立大学のプレゼンスを高めていこうではありませんか。

最後になりましたが、新入生の皆さんが、明るく、楽しく、未来を見据えて、活き活きとした学生生活を送り、皆さんの青春が一層輝きを増すことを心から祈念して、私のお祝いと歓迎の言葉とします。

平成30年4月5日
兵庫県立大学長 太田 勲

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