平成29年12月18日
平成29年12月6日(水曜日)、兵庫県立大学 高度産業科学技術研究所 寺西信一特任教授に対して、日本人で初めてとなる、エリザベス女王工学賞(Queen Elizabeth Prize for Engineering)が、バッキンガム宮殿にてチャールズ皇太子から授与されました。
エリザベス女王工学賞は、工学分野での大きな業績を顕彰するために英国が設立した国際的な栄誉ある賞です。平成25年から隔年で授与され、工学分野の画期的なイノベーションにより人類に顕著な恩恵をもたらした個人またはグループに与えられる賞です。
寺西特任教授は、他の受賞者とともにチャールズ皇太子から記念品のトロフィーを贈呈され、帰国後の12月11日(月曜日)に兵庫県庁内にて記者会見、知事表敬訪問を行いました。
今回の受賞理由は、「The creation of digital imaging sensors」「イメージセンサの開発により、視覚世界を激変させ、医学、科学、通信、エンターテイメントを変革させた」であり、寺西特任教授ほか3名が受賞者となりました。
寺西特任教授は、長年研究されてきた「固体撮像素子(CCDイメージセンサおよびCMOSイメージセンサ)の開発、特に埋込フォトダイオード(Pinned Photodiode)の発明」の功績に対して受賞されたものです。
<イメージセンサの様々な応用例>
日本時間:平成29年12月6日(水曜日)9時30分~23時00分
英国時間:平成29年12月6日(水曜日)12時30分~14時00分
開催日時:平成29年12月11日(月曜日)14時00分~16時00分
会場:兵庫県庁2号館4階 記者会見室(神戸市中央区下山手通5-10-1)
日時:平成29年12月11日(月曜日)16時15分~16時30分
場所:知事応接室
バッキンガム宮殿においてチャールズ皇太子よりエリザベス女王工学賞を授けられ、次のような感想を持ちました。
まず、英国王室の伝統およびバッキンガム宮殿の荘厳さを感じさせられながら、40年間続けてきたイメージセンサの仕事の成果で工学分野最高の賞を受賞でき、嬉しく、誇らしい気持ちでした。
次に、大変幸運であったと感じました。「画期的で役に立つ」技術は世の中にたくさんあり、そのどの1つが欠けても社会は成り立ちません。イメージセンサが数ある重要な技術の中から選ばれたのは幸運でした。
3つ目は、感謝の気持ちです。今まで多くの方々に教えられ、支えられてきたことを改めて思い返し、ちょうど皆様に感謝を伝える良い機会を得たと感じています。
4つ目は、自身のステップアップをしなければ、という気持ちです。自分の中身は変わらないのに、周りの見方が変わったと感じることがあります。そうした周囲の見方、期待に少しでも沿って行きたいという思いです。幸い、新しい経験の機会もあり、それらを糧に自身の成長に繋げたいと思っています。
5つ目は、技術者の社会的地位の向上を図りたいと思っています。たいていの技術者は地味であり、かっこいいと思われているとは言い難い存在です。子供たちの多くは、野球選手や、パティシエになりたいと言っている、一部は科学者になりたいと夢見ていますが、技術者になりたいと言っている子供にはなかなか出会わない。子供たちに技術やモノ作りへの関心を高める活動も重要と思っています。これらのことは、技術力、製造力の維持向上に不可欠だと考えています。
兵庫県立大学 高度産業科学技術研究所 特任教授 寺西 信一
世界的に名誉ある賞を受賞されたことに心からお祝いを申し上げます。我々も大変誇りに思っています。
今回の受賞により、本学の研究者、学生達に大きな刺激と希望をもたらして頂きました。さらに、エンジニアを目指す子どもたちにも非常に大きな夢を与えて頂き、心から感謝しております。今後、寺西さんの研究成果がますます発展するよう、本学としても最大限のバックアップを行いたいと考えております。
最後になりましたが、寺西教授の偉業に改めて敬意を表するとともに、現在取り組んでおられる創薬や新材料開発などを目的としたSACLA(X線自由電子レーザー)用のイメージセンサの開発等の研究のますますの発展を心から期待いたします。
兵庫県立大学 学長 太田 勲
寺西さんが埋め込み型フォトダイオード技術を発明され、今回日本人で初めてのエリザベス女王工学賞受賞に繋がったことに敬意を表したいと存じます。また、この技術が今日のデジカメやデジタルビデオの実用化に繋がり、人の日常生活記録等に広く役立っていることで技術者の鏡になられたことが大変喜ばしいことと受け止めています。さらに、私の研究室の特任教授として招くことができたことに寺西さんと兵庫県立大学のご理解に感謝申し上げます。
寺西さんは技術開発に実直な方であり、終始技術者でありたいと仰っており、併せて人の役に立ちたいと願っておられます。この5年間、兵庫県立大学高産業科学技術研究所は世界最高性能を誇るSACLA用に理化学研究所播磨研究所と共同で、タンパク質の構造解析を目的にイメージセンサの開発を進めてきました。
また3年前には、兵庫県立大学高度産業科学技術研究所は大学院工学研究科の教育に本格的に参画するべく、大学院工学研究科の改組に伴い、同研究科に日本で最初の放射光の名前を有する「材料・放射光工学専攻」を設置しました。この専攻は大学の特色化のひとつである中型放射光施設ニュースバルを用いた放射光教育の一端を担っています。この施設では軟X線を用いた産業利用を推進しており、これに必要な軟X線用のイメージセンサの開発を進めています。今後はこの開発に寄与して頂けると期待しているところです。寺西さんの今後の益々のご活躍を期待します。
兵庫県立大学 高度産業科学技術研究所長 渡邊 健夫
創薬や新材料開発などを目的として、SACLA(X線自由電子レーザー)、SPring-8、NewSUBARUなどの放射光施設で用いる、科学・産業用X線イメージセンサの開発に従事しています。
創薬や新材料開発などを目的として、SACLA(X線自由電子レーザー)、SPring-8、NewSUBARUなどの放射光施設で用いる、科学・産業用X線イメージセンサの開発に従事しています。
(経営戦略課 鷹尾 洋紀)