経営学部は毎年東南アジア地域でフィールドワークを行っています。研修では現地学生との交流、企業訪問、観光地視察などを通し、近年経済成長著しい東南アジアの人々、文化、社会を自分の目で感じることができます。参加学生は帰国後もその経験を生かし、グローバル社会の一員として更なる挑戦を続けています。
こうした研修を実施できるのも、受け入れ先大学・企業からのご協力があってのことです。心より感謝申し上げます。
フィリピン・セブ島にあるサン・カルロス大学及び日系企業等を訪問。現地での交流を通じ、世界的な視野を育成すること。
2016年9月2日~9月7日(5泊6日)
山口隆英・土肥隆
18名(経営学部2回生山口ゼミ)
約20万円
サン・カルロス大学との交流ならびに現地日系企業等訪問
研修で一番印象的だったのはどんなことですか?
石上: 二日目に現地の子どもたちに会いに行ったことです。
坂: 訪れたのはフィリピン・セブ島の中でも貧困層が暮らす地域で、そこは100年ほど前までは墓地だったそうです。蒸し暑く、独特のにおいが漂う中、今も残る古い棺の山に囲まれて子どもたちは暮らしていました。
石上: 青い海、ヤシの木の緑あふれるリゾート地というのが僕の持っているセブ島のイメージだったので、正直とても戸惑いました。
坂: 私もです。ただただびっくりして、どんな反応をしたらいいのかわからなかった。それでも子供たちは好奇心いっぱいの様子で目をキラキラさせながら私たちを迎えてくれました。
石上: そうめんを作って一緒に食べたのですが、子どもたちはそうめんが初めてだったようで、全然口に合ってないのがすぐにわかりました。なのに「おいしい」って言ってくれて。
坂: 明らかに気を遣ってくれていたね。
石上: うんうん。それで、あー、子どもたちは普段ごはんをおなか一杯食べさせてもらえていないのかもしれない、と思いました。それでこんなに気を遣ってくれているのかな、と。こんな小さな子どもたちが、本音を抑えて僕たちに真っ先に感謝の気持ちを表してくれたことに胸が痛んだし、子どもでも大人でも好き嫌いを自由に言えてしまう自分たちの環境がどんなに恵まれていて、甘いものか、考えさせられました。
現地の大学にも訪問されたと伺いました。
坂: はい、サン・カルロス大学というセブ島で一番歴史のある私立大学を訪れ、現地の学生さんと交流しました。サン・カルロス大学はセブ島の中でも富裕層にあたる家庭で育った学生が通う大学で、先ほどの貧困地域の訪問が午前中、そしてこの大学訪問が午後の日程になっていたため、そのギャップにさらに言葉を失う感じもありました。
石上: 着るものも食べるものも十分でない子どもたちがその日その日を必死に生きる環境から一転、校舎と校舎の間をバスで移動するような広く美しいキャンパスへ。戸惑いや驚きのなか学生さんたちと面会することになりましたが、学生さんたちがとにかく明るく、テンション高く迎えてくださって、びっくりしたと同時にとてもうれしかったです。
坂: フルーツバスケットのフィリピン版のようなゲームを紹介してくださり、みんなで盛り上がったよね。ゲームの中で自己紹介もしあえたし、和やかな雰囲気で楽しかった!
ゲームのほかにはどんな交流をしましたか?
石上: 僕たちのゼミでは、どうすれば日本のそうめんをセブ島の人々に受け入れてもらえるか、の調査を行っていたので、自分たちで事前に考えた4種類のそうめんを試食してもらうことにしました。
坂: 普通の冷たいそうめん、温かいそうめん、ココナッツとマンゴー入りそうめん、そして、シニガンと呼ばれるフィリピンに伝わる伝統の味(フィリピン独特の調味料を用いたシチューのようなもの)のそうめん、の4種類です。それらを全部試食してもらって、アンケートを書いてもらい、総選挙しました!
結果はどうでしたか?暑い季節なら、冷たいそうめん?
石上: 圧倒的に、ココナッツ&マンゴー味のそうめん!笑。
本当!?
石上: はい!僕たちもまさかココナッツがダントツに来るとは予想していませんでした。
坂: そう、私も味見しましたが日本人には正直…難しい味!笑。現地の学生さんからもらった「甘いし、さっぱりしているからデザート感覚で軽食向き!」という、そうめんの定義自体を変えるような感想にも驚きました。
石上: 2番人気はシニガン味。結局フィリピンの方たちにより馴染みのある食材や甘い味付けをしたものが受けていたと思います。
坂: 逆に冷たいそうめんは、最下位。「冷たい麺類」というのがフィリピンの方々にはとても珍しく、口に合わないそうです。
石上: 学生さんたちの感想や好みが僕たちの感覚や予想と全く違い、とにかく新鮮。驚きの連続でした。
研修で一番楽しかったことはどんなことですか?
石上: 毎晩開かれる会食(現地で働く日本人の方や学生さんを囲んでのディナー)は貴重な経験ばかりで楽しかったです。
坂: 出会う方出会う方本当に輝いていて。
石上: 例えば、フリーペーパーの会社を立ち上げた日本人女性の方からはご自身が学生の頃の話をしていただきました。バイトでお金を貯めては休みに海外へ飛び出していた、その繰り返しの学生生活とか。
坂: 聞いているだけでわくわくしました!思い立ったらすぐ行動、の様子がひしひしと伝わってきて、とても刺激を受けました。
石上: その他、マンゴー工場や語学学校の視察も勉強になりました。
坂: マンゴー工場では現地の方々の手作業が速くてすごく驚きました。生き生きと丁寧に働かれている様子が伝わってきました。
石上: 英会話学校ではとにかく自分の英語にがっかり!笑
坂: 私も!今回はグループで体験レッスンを受けたので、先生の英語がわからなくてもほかのメンバーが助け舟を出してくれたけど、もし1対1だったら私はどうなっていたんだろう?自分の英語力、とても不安だなーと思いました。
それでは最後に、研修を終えての感想や今後の目標を教えてください。
坂: 困難な状況で生きる子どもたちとの出会いはとても貴重でした。普段の旅行では訪れることのできない場所、得ることのできない経験だったのではと思います。また、研修では英会話の体験レッスンなどを通じて自分の英語力不足も実感できたので、これからは自分の思いを英語でもっと自由に相手に伝えられるよう、もっと勉強したいです。来年は海外インターンシップにも積極的に挑戦してみたいなと思っています!
石上: 子どもたちの生活を目にして、自分がいかに恵まれた環境で暮らしているのか、とてもありがたいと感じました。日本で生まれたことを幸運に思いました。にもかかわらず、ついさぼってしまっていること、例えば英語の勉強。もっともっとがんばっていきたいなと思いました。春休みには語学研修にオーストラリアへ行く予定です!
ベトナム・ホーチミン市にあるVietnam National University HoChiMinh City及び日系企業等を訪問。現地での交流を通じ、世界的な視野を育成すること。
2016年9月4日~9月9日(5泊6日)
原田将・加納郁也
15名(経営学部2回生原田ゼミ)
約20万円
Vietnam National University HoChiMinh City大学との交流ならびに現地日系企業等訪問
今回の研修で一番印象に残っていることはどんなことですか?
濱嵜: 現地学生との交流です!実は想定外のことが起こって・・・
想定外?
二宮: そう!事前に用意していたプレゼンの時間が飛んじゃったんです!
濱嵜: 原田ゼミでは現地学生に日本の社会、文化、経済を英語のプレゼン形式で伝えようと前期のゼミの時間をすべてプレゼン練習に充ててきていたんです。それがー
二宮: いよいよ披露、という交流会プログラム当日、現地の司会進行の方の様子やプログラムの題目から、プレゼンの時間が組まれていないことがわかって!
濱嵜: うっ、と県大生全員が思いましたが、ここは場の雰囲気に合わせる必要があるなということで、結局僕たちのプレゼンは無しになりました。
それはびっくりでしたね!
濱嵜: はい、海外で何かをしようとすると、やはり思ってもみなかったことが簡単に起こってしまうものなんだなぁとしみじみ感じました。
二宮: 相手のペースに合わせて一緒に楽しむことも大事だなと思いました。
そのほかで想定外なことはありましたか?
二宮: 「わわっ、交換!?私たち何も持ってきていない!」と慌てました。ベトナムの学生さんが私たち一人ひとりにプレゼントを用意してくださっていて、本当に申し訳なくて。
濱嵜: あと、歓迎のしるしに学生代表が1名歌を披露してくださったのにもびっくりしました。ホーチミン市についての歌。そういうおもてなしの仕方、日本ではあまり見られないですよね。すごく新鮮でした!
二宮: そう、それでプレゼントのお返しもできないし、歌もプレゼントいただいたし、ただただ恐縮していたら、
濱嵜: 原田先生が
濱嵜・二宮: 「濱嵜、行け」と。
ん?
濱嵜: 歌わせていただきました!
笑。すごいです!どんな歌を歌ったんですか?
濱嵜: 「レキシ」というバンドの「狩りから稲作へ」という曲を日本語と英語を交えて!
二宮: 濱嵜くんはバンドでドラムをやっていて、とても上手なんですよ!歌も最高!とっても盛り上がりました!
濱嵜: 特異な環境だからこそ、例外的なことにも迷わず挑戦できたのかも!盛り上げることができてほんとよかったです。笑
一同: 笑
企業見学はどんな印象でしたか。
二宮: 大変そう、というのが第一印象かな。。。
濱嵜: 日本企業の現地法人をいくつか訪問させていただいたのですが、現地の方々を採用し、大切な労働力として協働を進める際の課題を目の当たりにしました。
二宮: まず、現地の方とはベトナム語しか通じない場合も多く、コミュニケーションがスムーズにはいきません。また習慣の違いも大きな壁になるそうです。例えば時間の感覚が日本人と異なっていて物事を予定通りに進めることが難しかったり、家族との時間を大切にする文化から、職場に申請なく仕事を休むケースが頻繁に起こったり。
濱嵜: そこで、人材教育、人材管理は欠かせない課題になってきます。日本人側がベトナムの文化習慣を学ぶと共に、彼らにも日本の働き方への理解を深めてもらう。自分たちがどんな経営理念、戦略をもった会社なのかわかりやすく伝える。とてもシンプルに、ドーンと世界地図を貼り出している会社もありました。
二宮: うんうん。ベトナムはどこに位置していて、日本はどこにあって、そして自分たちの作った製品はどう世界へ届けられていくか、その地図を見れば一目でわかるようになっていました。これなら、自分の仕事がこの広い世界でどんなふうに貢献できているのか実感でき、やりがいにもつながるなと感じました。
研修で1番楽しかったことは?
濱嵜: 原田先生と行ったジャズバーです!
二宮: 現地学生さんとの交流で一番がんばった学生ということで濱嵜くんが選ばれたんですよ。笑
濱嵜: なんでもすきなものをプレゼントしてくださるということで「ジャズバーに行きたいです!」と答えました
すてきですね!男性二人で?笑
濱嵜: はい!笑。それが本当に楽しくて!笑。流れているのはジャズのスタンダードナンバーで世界共通。僕もよく耳にしてきたものなのでうれしくもあり、でもどこかが、何かが違う、ベトナムテイスト。その感覚がまたとてもよかったです!本当に最高の時間でした。原田先生ありがとうございました。
二宮: いいなー。笑。私はショッピングが楽しかったです。ホテルの近くに歩いていける市場があり(ベンタイン市場)、そこでいろいろな食べ物に挑戦したり、小物や雑貨を見て回りました。
市場はどんな雰囲気でしたか?
二宮: 日本語が割と通じました。「安い」「おすすめ」のような商売に使える言葉以外にも「あじのもと」とか「ラッスンゴレライ」とか、私たちの笑いを誘う言葉を選んで話しかけてくれたりもしていました。笑。ただ買い物をする、というのでなく、買い物を通じて現地の人々と掛け合いをしたりふれあえたことが、とってもよい思い出になっています
それでは最後に、研修を終えて、これからの目標や夢を教えてください。
濱嵜: 今回の研修を通じて「取り敢えずやってみる」ことの大切さを学びました。計画を立てるのも大事ですが、それを行動に移すことのほうがもっと大切。僕はこの研修が海外初挑戦でしたが、実際に研修に参加することで、相手に何を伝えたらいいのか、どうすればわかりやすく伝わるのか、想像以上の実体験ができました。次の目標として、日本でできることにもっと目を向けていきたいなと思っています。英語の勉強を続けると同時に、もっと留学生と会話したり遊ぶ機会を増やしたいです!留学生も含めどんな人とも楽しくコミュニケーションできる能力は、今後の就職していく上でも必須なんじゃないかなと思うからです。
二宮: 私も海外は初めてで、研修中は日本との違いにただただ驚くばかり。不安もたくさんあったけど、世界はこんなに広いんだって感じることができました。私の夢は社会人としてグローバルに活躍すること!もっと色々な国に行って、いろんな文化・習慣を学び、世界に視野を広げたいです。2月からはカナダへ留学に行きます!留学への決意に繋がるきっかけを与えてくれたこの研修に参加できて、本当によかったと思っています!
Long Duc Investment Company Limited(ロンドウック工業団地) 斉藤弘幸様、冨田真理子様
Belmont Manufacturing Co., Ltd. (タカラベルモント社) 脇谷昌司様、水野幹朗様、ヴォ・スアン・タオ様
ホーチミン日本商工会 大林功様
Ministop Vietnam Co. Ltd. (ミニストップ) 河村憲明様、小野田偉様
(順不同、敬称略)
お陰様で無事全日程を終了いたしました。心より感謝申し上げます。