兵庫県立大学地域ケア開発研究所
兵庫県公立大学法人 兵庫県立大学
地域ケア開発研究所 UNIVERSITY OF HYOGO
Research Institute of Nursing Care for People and Community

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≪AI健康アプリを用いた実証研究≫家族における「健康サポートバブル」が社会的フレイルを予防

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兵庫県立大学地域ケア開発研究所は、家族における「健康サポートバブル」が社会的フレイルの予防に効果があることを、ランダム化比較試験にて実証しました。健康サポートバブルは、COVID-19の大流行時にイギリス政府やニュージーランド政府が孤独を和らげるために導入した「ソーシャルバブル」の概念を応用したもので、新規性および独創性が高い介入です。

研究のポイント

●AI健康アプリを家族と一緒に使う「健康サポートバブル」介入が社会的フレイルを予防可能であることを、兵庫県立大学地域ケア開発研究所らの研究チームは示しました。我々が提唱した「健康サポートバブル」は、健康アプリの活用をサポートし合うために形成される密で互いに影響を及ぼし合う共鳴ネットワークで、それを「泡(バブル)」として表現しています。健康サポートバブルは、COVID-19の大流行時にイギリス政府やニュージーランド政府が孤独を和らげるために導入した「ソーシャルバブル」の概念を応用したものです。
●家族は開かれたシステムであると同時に、閉じられたシステムとしての側面も有します。家族メンバーが密な関係にあるために「健康サポートバブル」が形成されやすく、バブルが一種の共鳴空間として機能することで、行動変容が強化、増幅されます。家族メンバーは、行動や感情で互いに影響を及ぼし合っており、個人の変化がシステム内の他の構成員に波及します(家族システム理論)。
●これまで限定的であった社会的フレイル予防に対する健康アプリの効果を促進する新たな仕組みが確認できたことで、健康アプリの効果的な社会実装につながります。
●成果は、国際的に評価の高いネイチャー・パートナー・ジャーナルズ「npj Digital Medicine」に掲載されました(2025年7月22日)。

今後の展開

mHealthは、ヘルスケアへのアクセスについて革命的な変化をもたらしましたが、その効果については限定的です。今後も、mHealth介入の効果的な社会実装のために重要な要因を明らかにし、効果的な社会実装につながる実証研究を推進していきます。

【発表雑誌】npj Digital Medicine
【論 文 名】A Randomized Controlled Trial of Mobile Intervention Using Health Support Bubbles to Prevent Social Frailty
【著  者】Chisato Hayashi, Nanae Tanemura,Maki Taniguchi,Tadashi Okano,Hiromitsu Toyoda, Sonoe Mashino,Soshiro Ogata
【掲載URL】doi: https://doi.org/10.1038/s41746-025-01873-y

本研究は、科学研究費助成金(「壮年期からの健康セルフモニタリング能力を高める地域・職域包括ケアシステムの構築」基盤(B)代表:林知里)の助成をうけて実施されました。

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【研究内容に関する問い合わせ先】

兵庫県立大学地域ケア開発研究所
教授 林 知里
TEL:078‐925‐9653 E-mail:chisato_hayashi★cnas.u-hyogo.ac.jp ★を@に変えてください

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