国際交流・留学

トビタテ!留学JAPAN 日本代表プログラム 第7期生に聞いてみました

学部:   経済学部 国際経済学科4回生(当時)
氏名:   トラン ティ ディエン レイ
留学期間: 2017年9月25日~2018年6月15日(インターンシップ2018年6月末~8月)
留学先:  アメリカ・ワシントン州 エバーグリーン州立大学

第7生留学様子写真その1
動機

私は、移民や難民など、生まれた環境や背景の違い等で社会的に立場の弱い状況にある人が、他の人と同じようにチャンスを得ることが出来ず、その人の人生における可能性が少なくなり、やりたいことを諦めないといけないことに疑問を感じていました。そのことが留学のきっかけにつながりました。そう思うようになったのは、私の生い立ちが大きく関係しています。私の両親はベトナム人で、私自身は日本で生まれ育ちました。在日外国人として高校や大学に進むことは容易ではありません。しかし、私は、幸運なことに、周りの人に恵まれて大学まで行くことができました。それは決して当たり前ではないことで、在日外国人であるからという理由で、進学を諦め、やりたいことや夢を諦める人も大勢います。

アメリカは、多民族から成り立っており、移民や難民、障害を持つ人や、人種、LGBTQの人等々、様々な社会的カテゴリーを持つ人が存在し、そういった弱い立場にいる人の数も、日本よりも多くいます。そういった人たちに対して人生におけるチャンスを増やすために、アメリカではどのような支援や教育が行われているのか、「多様性をもつ人に対する教育や支援」に興味を持ち、アメリカに行くことを決めました。

日本とは違う、大学の雰囲気

エバーグリーン州立大学はとにかく生徒みんなが「自由」なことに驚きました。みんな良い意味で人の目を気にせず、服装も個性的で、中には早朝の授業なので下がパジャマの人がいたりもしました。

キャンパスが緑豊かで開放的であり、その環境もあってか、キャンパスで絵をかいたり、歌を歌ったり、寝転がったり、思い思いに自由に過ごす人が多く、素敵な空間でした。また、日本の大学生は18~20代前半が一般的ですが、この大学は、いろんな年代の人がいました。

高齢のおじいさんと同じクラスになることもあり、学びたい気持ちがあれば、いくつになっても受け入れてくれる素晴らしいところです。

授業

授業は少人数体制がほとんどで、1クラス20~25人くらいです。少人数なので、生徒同士もすぐ仲良くなり、先生との距離も近いです。日本の大学と違って、学期ごとの授業は1つ、多くても2つくらいしかとりません。少ないと思うかもしれませんが、1個の授業を週3回くらい行い、一回の授業時間は4~5時間です。お昼を挟んですることもあります。また授業も教室で行うのみではなく、街に出かけてフィールドトリップを行う時間もあります。

宿題も多く、毎週のように出されます。生徒たちも勉強熱心で、少人数の中で活発に発言するのが当たり前でした。最初は周りの勉強に対する熱量や発言回数の多さ、英語の難しさやスピードに圧倒され大変でしたが、周りの友達や、親身になって聞いてくれる先生のおかげで、徐々に慣れることができ、発言もできるようになりました。またサポート体制も充実しています。レポートに困ったらWriting Center、将来のことや授業のことで悩んだらAcademic adviserなどがキャンパスに配属されていて安心です。

特に英語ネイティブではない私は、膨大な量の英語のレポートを書くのに、毎週のようにWriting Centerに通ったほどです。教える担当をしてくれた人には感謝しており、いまでもSNS上で交流があります。

エバーグリーン州立大学では、授業の種類も豊富で、文系、理系の授業も幅広く、芸術系の授業もたくさんあるので、誰でも興味を持てる授業が見つかるようなシステムになっていると感じました。

なので、授業選択の時はかなり悩んだくらいです。私が選択した授業は、社会学系、教育系のもので、移民、障害を持つ人、低所得層などの社会的立場が弱い人たちについて学べるものを中心に選んでいました。

例えば授業で奨学金について調査をした際、資料を読んで調査をすることもありましたが、私は人と話すことが好きなのでそれを生かして、授業内容に関することについて積極的に約10人以上の人にインタビュー調査を行い、それを反映させたものをプレゼンにまとめて発表しました。

図書館が11時くらいまで開いているので、友達と協力して図書館でプレゼンの練習をし、遅くまで勉強することもありました。

第7生留学様子写真その2

また歌うことが好きなので、同じ合唱の授業を3学期とも取り、ソロパートを任されてステージで歌ったりもしました。

英語のハンデもあり、最初は友達ができず、授業が理解できない、周りと同じように英語が喋れないことに対するいら立ちなど、ストレスで泣いてしまうこともありましたが、あきらめずに持ち前の明るさと、英語に慣れる努力、そして周りの友達や先生に助けてもらえたので、なんとか授業をこなすことができました。

インターンシップ

授業だけではなく、社会的に弱い立場に置かれた人について実践的に学びたいと思っていたので、授業以外の時間でインターンシップやボランティアを行いました。

~TOGETHER!!~

第7生留学様子写真その3

夏の6月~8月の間にこちらのTOGETHER!!でインターンシップを行いました。この団体は、低所得層の子供たちを援助するプロジェクトを行っており、例えば夏休みの間、給食がないのでお昼ご飯を食べられない子供たちに昼食を配布するプロジェクト等、その活動は多岐にわたっています。

私の仕事は、子供たちがスポーツを学べる放課後プロジェクトと、英語を喋るメキシコルーツの子供たちに、母語であるスペイン語を教えてアイデンティティに気づいてもらうプロジェクトを、もう一人のインターンの子と進めることでした。

プロジェクトに協力してくださる方を探したり、宣伝のためにポスターを作ったりもしました。時には、ミーティングでの英語が分からず、「自分はなにも役にたっていないのでは。」と落ち込むこともありましたが、インターンの指導員の方や、一緒にインターンをしていた子が助けてくれました。

「あなたはもっと自信を持つべきよ、私は今まであなたがここで、どんなことをやってくれて、どんな貢献をしてくれたかを知っているわ。」そう言った言葉や励ましに助けられ、最後まで頑張ることができました。

   

これが私にとってはじめてのNPOでのインターンだったのですが、働いてみることで学んだ大きな気づきとしては、NPOは、良い意味で本当に地道な活動の連続であることです。協力してくださった方に、印刷ではなく、一つ一つ手書きの、心を込めたThanks Letterを書いて送ったり、プロジェクトへ協力をして下さる方を探すために、郵送ではなく一人一人に資料を渡しに行ったりすることを手伝ううちに、「確かに郵送や印刷の方が作業効率はあがるかもしれない、でもこういう風に、直接人の温かさを感じられる方法をとることで、人と人の繋がりを大切にしているからこそ、プロジェクトに協力してくださる方も出てくるのだな」と感じることが出来ました。

そしてこれが、資金面でのやりくりが求められるNPOでは存続のためにもかなり重要な事ではないかと思いますし、このTOGETHER!!でもそういう風にすることで協力してくださる方がたくさんいるからこそ、活動と支援を続ける事ができたのかなと思います。

~Stone wall youth~

こちらは、単位認定システムを使って春学期中にインターンシップを行っていた団体です。LGBTQの若者の支援のための団体で、私は活動資金を集めるためのイベントを行う担当をしていました。

最初は、LGBTQの人に対してどういった人称代名詞(He、Sheなど)を使えばよいのか、どういう風に彼らに接したらよいかわからなかったのですが、大切なのは、彼らも、遊び、学び、恋をし、はしゃぎ、私達といたって変わらない青春を送っていることです。それが本当に大切なことで、むしろ「LGBTQだから」と意識して、彼らと接するときに気を遣うことの方が失礼な事なのだと学びました。分からないことは聞けば良いし、人称代名詞を間違えて呼んでしまった時は、「私はHeじゃなくてSheを使うから、そう呼んでね!」と優しく教えてくれます。

イベント担当ではありましたが、みんなと仲良くなり、様々な考え方を知り、みんながどんなことで悩んでいるのか、同じ若者として、色んなことを語り合って共有できたのはとても良い思い出です。

第7生留学様子写真その4    第7生留学様子写真その5
トビタテ!に合格して

私の家は母子家庭で、下には弟妹がいるので、留学をする時は費用面で母に負担をかけたくありませんでした。それまで申し込んでいた奨学金が落ちてしまい、あとはトビタテしかない、という状況だったので、合格の知らせを頂いたときは、本当に嬉しかったです。おかげで、安心して留学に集中できたと思います。

他にはないトビタテの良いところは、「熱い想いさえあれば、応募資格が誰にでもある。」というところだと思います。成績も関係ありません。さらに、個人的に素晴らしいと思ったのは、わたしのような在日外国人学生でも応募ができるところです。日本の奨学金は、応募資格に日本国籍があることが前提のものが多いので、今後トビタテのような奨学金が増えてほしいと思っています。

また、トビタテ生同士の交流も盛んで、同じ分野に興味がある人たち同士でイベントをしたりできるので、トビタテ生は後々にもお互いに高めあえる存在となります。応募するか迷っている人は、ぜひ応募してほしいです。たとえダメだったとしても、応募書類が、自分がどんなことを学びたいのか、何がやりたいのかについて考えさせてくれますので、応募して損はないと思いますよ!

留学について 学んだことなど

~意識していたこと~ どんどん外に出ること!

留学生として、もちろん授業をとることは大切ですが、だからといって学校と寮の往復だけではつまらない、と思った私は、積極的に外に出ることを意識していました。例えば、私は上記の二つのインターン以外にも、自分の「多様性を持つ人への支援や教育」として、沢山のボランティア活動をしていました。

一部の例として、「KOKUA」という、障害を持つ方への教育支援の団体では、同じ年代の女の子に、日本の文化を伝えるボランティアとして半年間活動したり、「Stand up for kids」というNPOでのボランティアでは、ホームレスの若者に物資支援をしたり、また「CIELO」という団体では、メキシコにルーツを持つ子供たちへの学習支援等のボランティアを行っていました。ただ活動だけをするのではなく、支援する側の人や支援対象の人と色んな話や質問を積極的に行い、授業では学べない生の声を聞くことで、学びが深まりました。

第7生留学様子写真その6

もちろん遊びも忘れません。アメリカならではのハロウィンやクリスマスなどのイベントなどは楽しみましたし、仲良しのルームメイトと出かけて色んなイベントに行ったりもしました。そういった中で友人が増えるのが自然な事なのですが、個人的に嬉しかったのは、私と同じようなバックグラウンドを持つ子たちと多く友達になれたことです。日本では、在日外国人は少数派で、いつも珍しがられた私にとって、アメリカでは珍しがられなかったことはとても新鮮でした。アメリカではむしろそういった人たちが多く、仲間が沢山世界にいることを知ることができ、とても嬉しかったです。

~学んだこと~

授業以外でも、友人や沢山の活動を通して様々な気づきや学びを得たので、留学を通して学んだことを、一言で表すのは難しいのですが、あえて言葉にすると、「劣等感を持たず、自分に自信を持つこと」です。

私は、よくアメリカの友人や先生に、「レイはありがとうと、ごめんを言いすぎだよ。」と言われ、他の学生とどうしても比べてしまい、あんまり英語が喋れないから、というと、「もっと自信を持ちなさいよ!私とコミュニケーションできているのだから、英語を喋れないっていうのは禁止よ!」と、よく怒られたものです。

確かにアメリカ人は、積極的で自信を持ち堂々としている人が多く、そういった人たちがよりチャンスをつかんでいるように思いました。日本では謙遜の文化があり、それが日本文化の一つの良いところでもあるのですが、謙遜しすぎて、自信が持てなくなることは確かに良くありません。友人に言われて、少しずつですが自信を持つようになったことで自尊心を高めることにもつながりました。

アメリカ生活を通して、自信を持って、自分がしてきたことを認め、自分を愛することの大切さに気付けたので、これからも大切にできたらと思います。

また、「自信を持つこと」は、「アメリカでの、多様性を持つ人への教育や支援」にも大きく関わっています。アメリカでは、LGBTQの人も、外国にルーツを持つ人達も、ホームレスの人も、みんな前向きで、自分に誇りを持ち、自分たちのことをもっと世の中に発信しようという姿勢を持っていました。そうすることで、周りの人が問題に気づくことができ、どうすればよいのかの議論が活発にされているのではないのかと思います。日本では、ほとんどが日本人の中で、社会的多様性を持つ人たちが声を上げる、ということは一昔前ではあまりありませんでした。

最近ではそういった声も増え、支援団体が増えてきていると思うので、良い方向に向かっていると感じます。ですが、世間には知られていないこともまだまだ多いです。大切なのは、自分の存在に誇りを持つこと、そしてそれを発信していくことで周りの人と共有し、どうすればよいのかをお互い思い合うことだと思います。

また、社会的多様性を持つ人たちが自信をもって生活できるような支援や環境を整えることも大事です。私も、自分のルーツのベトナムを大切にして、ベトナムのことも日本のことも分かる「在日外国人」であることに誇りも持ち、周りと共有するなど、自分のできることを継続して続けていけたらなと思います。

これから

最終的には、社会的に弱い立場にいる人、特に 移民、難民の人を支援する仕事に就きたいと考えています。でも、それにたどり着くまでの計画はまだ具体的に考えていませんし、道は一つだけではないとも考えています。将来的には、移民や難民関係のことを学ぶために海外の大学院に留学したいとも考えていますし、また、NPOで働くことも道の一つです。いずれにせよ、今までの人生と、これから自分が歩む人生が、すべて自分の糧になるように毎日を頑張りたいと思っています。

   
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