国際交流・留学

令和2年8月6日

令和2年度 国際交流だより第4号

エバーグリーン州立大学交換留学生(派遣)(2019~2020)体験談

 大学間協定締結校であるエバーグリーン州立大学に留学し、2020年3月に帰国した経済学部4年生の居嶋美弘さんの体験記を掲載します。新型コロナウイルスの影響で予定よりも少し早めの帰国となりましたが、約6カ月間、充実した期間を過ごすことができました。頼れる家族がいない土地で生活しながら、現地の大学で学ぶことは想像以上に大変なこともありますが、さまざまな困難を乗り越えるからこそ得られるものも多いのではないかと思います。

エバーグリーン州立大学への交換留学を考えている方には参考となる情報満載です。ぜひ、活用して下さい。

  • 留学期間
  • 2019年9月~2020年3月まで(新型コロナウイルス感染症の影響の為、予定を早めて帰国)

  • 応募したきっかけ
  •  日本人の父と中国人の母の間に生まれた私は幼少期の15年間を中国で過ごし、高校入学と同時に日本に帰国しました。入学した高校は海外に在住経験のある学生が7割以上を占める学校でした。アメリカ、イギリス、オーストラリアなどの英語圏から帰国してきた同級生と受ける英語の授業は中国から帰国した私にとって劣等感を感じる時間でした。流暢な英語を喋り、積極的な姿勢を持つ友達に憧れを抱き、同級生と同じようになりたいとの一心で勉強に取り組む中で英語の楽しさを見出し自分もいつかは英語圏で生活をしてみたいという思いが生まれ、これが最初のきっかけであると思います。また、留学先を選ぶ中で、せっかく行くのであれば留学生が少なく、現地の学生が送るような大学生活を体験してみたいと考えるようになりました。エバーグリーン州立大学は留学生がデンマーク、中国、韓国、日本からの8名のみであることも応募をした一つのきっかけです。

  • 授業について
  • 【秋学期】

     日本人の父と中国人の母の間に生まれ、高校入学までを中国で過ごしながら日本人学校に通ってきた経験があることから、異なる母語を持つ両親の元に育った児童の言語習得について留学前から興味を持っていたため、エバーグリーン州立大学の秋学期においてはEarly Childhood Learningという教育学、心理学、社会学の3分野を兼ねた授業を履修しました。
     授業では主にTheories of Developmental Psychology, Meaning Makersの2冊の参考文献を元に、セミナー、ワークショップ、レクチャー、グループワークの4種類の授業が繰り広げられていました。4種類の授業の中でもグループワークがもっとも有意義な講義であったと帰国後も感じます。このグループワークにおいては、心理学における主に大きな6つのテーマに即してクラスを6分割し、同じグループのクラスメイト4人と毎週木曜日に自分たちのテーマについて理解を深めていきました。同時に、それぞれのテーマに関連したIndividual Researchも同時に進め、最終的にはグループの大きなテーマと自分のテーマを含めた40~50分のグループプレゼンテーションを最終プロジェクトとして行いました。私は6つのうちのテーマからPERSONARITYを選びIndividual ResearchにおいてはHow siblings affect children's personality? という疑問を元に研究を進めて行きました。

    最終グループプレゼンテーションスライドの一部

    最終グループプレゼンテーション スライドの一部
    50分のプレゼンを全て英語で。留学生活の中で最も大変でした。
    やりきった時の達成感は忘れることができません!

    授業最終日、今まで学んだことの中で印象深いことを出し合い発表会

    授業最終日、今まで学んだことの中で印象深いことを出し合い発表会。
    25人の小さいクラスで凄くアットホームな雰囲気でした。
    クラスメイトもすごく優しい。このクラスで仲良くなった女の子とベストフレンドに。

    【冬学期】

     冬学期に選択したのはAbnormal in Normalized Worldという、“正常”でいることとはどういうことなのかという質問を元にAbnormal Psychologyの観点から主に不安障害、依存症、薬物乱用、総合失調症、人格障害について勉強する心理学のクラスです。
     また、このクラスにおいて最も興味深かったのは性的障害についての講義でした。エバーグリーンは他大学に比べLGBTQと認識している学生が多く、全体の約20%を占めています。性的少数者への理解が深い環境で、性的障害について学べることは大変貴重な体験であると実感しました。
     講義において取り上げられた参考文献であるJennifer Finney Boylan のShe’s Not Thereはトランスジェンダーである筆者自身の実体験に基づいたストーリーとなっており、本を読み進めていく中で性的少数者としていくことの困難さ、トランスジェンダーであることを認めることの辛さ、家族や友人に打ち明けることの怖さなど深く考えさせられる内容が多くありました。
     セミナーにおいてディスカッションをしていた際に、人の心の中に“gender norms” があり、男女それぞれの期待されている行動が多くあるとの意見を通して、私たちがどれだけ外的要素で人を判断しているかを考えさせられました。例えば、スカート履いている、ブラウスを着ている、お昼ご飯は野菜たっぷりのサラダ=女性、ブルーの服を着た赤ちゃん、足を開いて座っている=男性というような先入観が私たちの中には多くあり、このような先入観が性的少数者への差別に繋がるのではないかと考えました。
     同時に、性的マイノリティに対して理解が進んでいるアメリカに対して、性自認と性的指向の違いもわからないような人々が日本には多くいると感じました。最後の講義においては10分間の個人プレゼンテーションをしました。私は日本の社会現象でもある引きこもりが総合失調症・不安障害とどのように関連しているかについてファイナルペーパーを書き、この内容についての発表を行いました。引きこもりはアメリカでも認知されており、社会問題としても注目されている一方で、アメリカでは引きこもりは差別的な要素を含んでいます。
     アニメが引きこもりの原因になっている、日本人の国民性が引きこもりを引き起こすなどというような間違った理解もされており、私は日本人として日本の社会現象について正しい理解をしてもらえるようにプレゼンテーションを行いました。

    脳の仕組みを理解するために、グループで紙粘土を使って脳の模型作り。

    脳の仕組みを理解するために、グループで紙粘土を使って脳の模型作り。

    最後の授業でプレゼンテーション。

    最後の授業でプレゼンテーション。
    引きこもりが総合失調症・不安障害とどのように関連しているか研究しました。

  • 生活環境について
  •  新しい環境で生活することはもちろん大変なことばかりです。私はエバーグリーン州立大学では6人のルームメイトと共同生活を送っていました。共同生活といっても、各自の部屋はあり共有するのはリビング、キッチン、トイレ、バスルームです。私が留学生活で一番悩んだのでは、掃除の分担でした。私のルームメイトたちは掃除が苦手だったようで、正直共有スペースはかなり汚かったです。でも、伝えればしっかりと片付けてくれます。「嫌なことがあれば伝える」、「してほしいことがあれば伝える」、留学生活で学んだことは伝えることの大切さです。英語に自信がなくても、うまく伝える自信がなくても、エバーグリーン州立大学の学生は優しい人ばかりなので伝える努力をしてみることが留学生活をうまく過ごす一つのコツだと思います。
     自然がすごく綺麗なので、エバーグリーン州立大学のプライベートビーチを探索する、キャンパスを散歩することがすごくオススメです!

    個人部屋。狭いながらに生活をする上では十分の空間でした。

    個人部屋。狭いながらに生活をする上では十分の空間でした。

    共有スペース

    共有スペース
    ルームメイトと映画を見たり、ピザを食べたりしたのも思い出です。

    エバーグリーン州立大学のプライベートビーチ

    エバーグリーン州立大学のプライベートビーチ。
    自然がとても綺麗です。

    1月、2月はとても寒く雪も積もりました。

    1月、2月はとても寒く雪も積もりました。

  • 価値基準、考えの変化について

 6ヶ月に及ぶエバーグリーン州立大学での留学においては日本での学生生活では体験することのできない貴重な経験を多く重ねることができました。留学生が多いことで知られるアメリカですが、エバーグリーン州立大学は留学生が非常に少なく現地学生とともに現地を感じながら勉学に励む中で、アジア人のアメリカでの立ち位置を、良くも悪くも自ら体験することができました。
 人種や性など多様な側面をもつアメリカで現地学生に混ざって自分の目でみて、体感をしたかった留学当初の目標を達成することができました。また、高校から目標であった今回の交換留学を勝ち取る中で、自分に何が不十分であったのか問題点を探求し、改善するための解決策を何度も導き出すことの重要性を学びました。また、留学中に困難に直面することが何度もありました。
 そのような状況に置かれても打開するために解決案を何度も考案することで、さらに成長をすることができたと帰国してからも実感します。社会人になっても留学中のように努力を惜しむことなく自身を成長させ、新たな問題に遭遇しても打ち勝つことが出来るよう日々スキルアップしたいと考えます。

お問い合わせ:

国際交流機構(大学本部 国際交流推進課内)

TEL: 078-794-6683
e-mail: kokusai@ofc.u-hyogo.ac.jp
   
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