国際交流・留学

令和2年8月24日

令和2年度 国際交流だより第5号

GLEP春の海外研修の報告

 グローバルリーダー教育プログラム(GLEP)では、「グローバルプロジェクト入門(海外)」を開講し※、1年次春休みや2年次夏休みに1-2週間程度の海外研修の機会を提供しています。派遣国は、各年度により異なりますが、2019年度の春休みには、アメリカ、タイ、フィリピンで海外研修を実施し、GLEP 1年生27名が海外に飛び立ちました。新型コロナウイルス感染症の影響で、予定されていたプログラムが一部変更になることもありましたが、現地学生との交流や、協定校での講義の受講、途上国支援のNPO活動など様々な体験をしてきました。

 今回は、理学部 大島真里さんにフィリピン研修での体験について報告してもらいました。フィリピン研修では、NPO法人が主催するフィリピン・スタディツアーというプログラムに他大学の学生と一緒に参加し、開発途上国が抱える問題と向き合います。開発途上国の現状や国際協力に興味のある方、ぜひ体験記をご覧ください。
(※この科目は、2019年度まで「グローバル教養海外実践」の名称で開講していた科目です。)

 2019年度 グローバル教養海外実践(フィリピン)(2020年2-3月実施、9日間)
 理学部 1年 大島真里さん(※学年は研修参加時のものです。)

  • フィリピン研修に応募したきっかけ
  •  私は、高校生のときに学校のプログラムでカンボジア研修に参加しました。このときに出会った子どもたちが本当にかわいくて、笑顔がキラキラしていて、また途上国に行きたいと思うようになりました。また、カンボジア研修では、価値観や文化の違いはもちろん、日本にいると忘れかけていた人の温かさや人と人とのつながりのすばらしさを感じることができました。この経験がきっかけで、自分の知らない世界を見てみたい、発展途上国のことをもっと知りたいと思うようになりました。フィリピン研修では、自分一人ではなかなか行くことができないゴミ集積所や貧困地区を自分の目で見られること、現地の人と交流する機会がたくさんあること、そして、他の大学の人達と一緒に参加できることに魅力を感じました。また、国際協力がしたいという思いがありながら、大学に入ってから何もできていなかったので、研修を通して今の自分にできることは何か考える機会になればと思い、フィリピン研修に参加することに決めました。

  • 研修内容について
  •  フィリピン・スタディツアーでは、戦争博物館などの見学、貧困地区やゴミ集積所の訪問、ホームビジット、高齢者施設や女性保護施設の訪問、NPO法人CFFフィリピン児童養護施設「子どもの家」の子ども達との交流、鶏のと殺の体験、シェア(参加者同士で考えや気持ちを分かち合うこと)を行いました。
     戦争博物館の見学や戦争跡地の訪問、ピースセミナーは戦争について学ぶ機会となりました。戦争博物館には、兵士の方の写真や遺品が展示されており、第二次世界大戦でのフィリピンと日本の戦争の歴史について学ぶとともに、戦争という事実に真剣に向き合うことができた時間だったと思います。ピースセミナーでは、実際に戦争を体験した方のお話を伺い、日本がフィリピンの人々にした行いに心が痛みました。また、戦争について建てられたモニュメントに、3本の柱が上で一つに合わさっているものがありました。これは、フィリピン、日本、アメリカを表していて、戦争から学んで一緒に平和をつくっていきたいという意味がこめられているそうです。また、ここを訪れた際、フィリピンの若い子たちが騒いでいる様子を目にしました。ここはそういう場所じゃないよと注意されているのを見て、フィリピンの若者たちも自国の過去を知らないのだと悲しい気持ちになったと同時に、日本でも同じように過去の歴史をあまり知らない人が多いので、もっと知るべきだと思いました。
     ゴミ集積所、貧困地区を訪問し、自分の生き方を考えさせられました。どちらもテレビで同じような風景を見たことはありましたが、実際に目にすると感じることがたくさんありました。ゴミ集積所では、ゴミを拾って生活している家族に会い、私たちがきれいな整った環境で生活している裏側で、私たちが当たり前にしていることができない人たちがいるという現実を目の当たりにしました。わかっていたことのはずだけど、初めて知ったときのような衝撃を受けました。それでも最初はやっぱり他人事だと思ってしまう自分がいました。しかし、日本などの先進国で出たゴミも、一部は中国や東南アジアのゴミ山に行っている、このようなゴミ山の中に私たちが出したゴミもあるという事実を知り、私たちの行動が無関係ではないことを実感しました。貧困地区の訪問では、ここで生活している方の家を見せていただいたり、子ども達と遊んだりする時間があり、実際の生活を生で感じることができました。
     また、私たちはCFFフィリピン児童養護施設「子どもの家」というところに数日泊まり、この施設で生活する子ども達と交流しました。ここは、貧困や育児放棄などの家庭の事情がある子ども達が自分たちの人生を自分の足で歩めるように、教育を受けられるようにと作られた施設です。ここでは、子ども達と一緒にご飯を食べたり、メンバーみんなでルールが簡単で盛り上がるゲームを考えて遊んだりしました。子ども達はすぐになついてくれて、笑顔が本当にかわいかったです。
     ホームビジットは、裕福な家庭と農村家庭の両方で行う予定でしたが、今回は新型コロナウイルス感染症の影響により、裕福な家庭のみとなりました。ここでは、貧困地区やゴミ集積所で見た生活とは大きく違い、明らかな格差を感じました。ホームビジットで、フィリピンでは家族を大切にしているというお話を伺ったり、バロットというふ化しかけの卵を食べたりと、フィリピンの家庭を体験しました。フィリピンでは、家族や親戚が集まったりするときなど、特別なときにバロットを食べるそうです。
     そして、このツアーの特徴の一つであるシェアの時間は、ほとんど毎日あり、その日感じたことや考えたことを少人数のグループに分かれたり、全員で輪になったりしてメンバーみんなで共有しました。この時間は私にとって苦手な時間でしたが、他の人の考えを聞いて気づかされたことや考えさせられたことがたくさんあり、この時間が自分を一番変えてくれたと思っています。

    子ども達と一緒におにごっこ

    子ども達と一緒におにごっこ

    ゴミ集積所

    ゴミ集積所

  • 価値基準、考え方の変化について
  •  この研修を通して戦争について改めて勉強して、自分の知識のなさと今まで戦争について無関心だったことを実感しました。日本には被爆国であるという面だけでなく、実は加害者として他国を傷つけ、苦しめていた面があるということを知り、衝撃を受けました。学校で教えられてきたことが正しいと思っていましたが、学校で学んだことが全てではないということに気づき、ここで自分が知った戦争の事実を家族や友達に伝えていこうと思いました。また、生活に余裕はなくても生き生きと生きている人の姿や、楽しそうに笑っている子ども達をみて、幸せって何だろうと考えさせられました。そして、現地の人と関わっていく中で、自分の価値観は気づかないうちに今までの自分の生活が基準になっていたことに気づきました。さらに、鶏のと殺を経験し、命が失われていく瞬間をこの目で見て、自分たちは命をいただいて生きているんだと実感しました。スーパーに並んでいる肉を見るのは当たり前で、感謝することを忘れかけていましたが、食事をするときにはこの経験を思い出して命をいただいていることへの感謝をするようになりました。

  • 得られたもの

 フィリピン・スタディツアーは9日間という短い期間でしたが、様々な経験ができました。シェアを通して自分とは違う考え方、価値観をもっている人と話すことはとても貴重で、新しい気づきがたくさんありました。シェアがなければ、へえーそうなんだと現実を知るだけで終わってしまっていたかもしれないようなことも、他の人の考えを聞くことで、自分には何ができるかと考えたり、自分の今までの生活、行動を見直したりと、見たこと、経験したことを次につなげようとすることができました。正直、最初は人前で自分の意見を言うことに自信がなく、素直な気持ちを伝えるのが怖いと感じていました。しかし、シェアをしていく中で、周りの反応を気にしなくてもいい、正解はないと思えるようになっていき、自分の考えを言葉にすることの大切さに気づかされました。これは、本音を話してもメンバーが向き合ってくれて、どんな自分も受け入れてくれたからだと思います。フィリピン・スタディツアーを通して、このような友達以上の特別な仲間ができました。今後の学校生活、社会生活では人との関わり、つながりを広げていき、自分の意見を言葉にしていきたいと考えています。

仲間とのシェアの時間

仲間とのシェアの時間

 大島さんの報告はいかがでしたでしょうか。GLEP生の中には、1年次に海外研修に参加し、2年次に海外インターンシップに挑戦した先輩方もいます。2020年度の夏休みに予定されていた海外研修は、新型コロナウイルス感染症の影響により残念ながら中止になりました。状況が収束して自由に世界を行き来できる日が少しでも早く来ることを祈るばかりです。今後も世界と繋がりたい学生をしっかりとサポートしていきます。

お問い合わせ:

国際交流機構 GLEP担当(大学本部 国際交流推進課内)

TEL: 078-794-6652
e-mail: global@ofc.u-hyogo.ac.jp
   
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