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式辞など

令和3年度 学長祝辞

学長式辞

 本日、兵庫県立大学に入学された皆さん、ご入学誠におめでとうございます。教職員を代表して、心から歓迎の意と、お祝いを申し上げます。今年は、学部生1,277名、大学院生457名、合わせて1,734名の入学が許可されました。これまでの皆さんの努力に敬意を表しますとともに、皆さんを長年支えてこられたご家族や関係者の方々に衷心よりお慶びを申し上げます。

 本日は大変お忙しい中、皆さんをお祝いするために、兵庫県知事井戸敏三様をはじめ、本学後援会、同窓会の代表の方々にご来賓としてご臨席を頂いております。兵庫県議会議長原テツアキ様からはお祝いのメッセージを頂いております。ご来賓の皆様方には心より御礼を申し上げます。 また、兵庫県公立大学法人理事長の五百頭旗真先生にもご臨席を頂いており、後ほどご祝辞を頂きます。

 昨年は、1月15日に日本国内初の新型コロナウイルス感染者が確認されて以来、武漢から来たツアー客からの感染、ダイヤモンドプリンセス号の混乱、小中高校の全国一斉休校措置の要請など、感染拡大への警戒感が高まるなか、感染防止を最優先としたため、対面形式での入学式を諦めざるを得ませんでした。その結果、遅れて授業開始日となった5月7日に、私の祝辞を動画でリモート配信するという残念な仕儀となりました。

 今年は、日夜勉学に励まれ、見事本学への入学が叶った皆さんに、直接お祝いと式辞を述べたいと強く望んでおりました。しかし、現在の感染状況を勘案すると、例年通り全ての入学生とご家族、教職員等が一同に会して開催することは難しく、このように学生の皆さんのみを対象として午前と午後の2部制で挙行することとさせていただきました。この式典の様子はライブ配信しておりますので、ご家族、関係者の方々にはネット越しに皆さんの晴れ姿をご覧いただいております。

 午前の部は、国際商経学部、社会科学研究科など4学部、6研究科の入学生965名を対象に開催しております。改めて、晴れて本学への入学を許可された会場の皆さんに心からお祝いを申し上げます。
(午後の部は、工学部、環境人間学研究科など2学部、3研究科の入学生769名を対象に開催しております。改めて、晴れて本学への入学を許可された会場の皆さんに、心からお祝いを申し上げます。)

 ご覧になった方もおられると思いますが、本学は、皆さんが受験勉強の総仕上げをされていた1月初旬に、「夜明け前が一番暗い。」「やがて新しい世界が始まる。学び続けるきみに力を。」というキャッチコピーを付けた、夜明けを待つ受験生をモチーフとしたポスターをJRの各駅や県下の高校に掲示をして、受験生にエールを送りました。皆さんは、コロナ禍という大変な時期に大学受験時代を過ごされました。長い休校期間があったり、休校解除後も通学や学習に大きな制約を受けたり、授業も一時期オンラインで実施されたりするなど多くの異次元の経験をされたことと思います。大学院に進学された皆さんの多くも、キャンパス閉鎖や入構制限のため大学卒業に向けた勉学や研究が大きな影響を受け、不安を覚えられたことでしょう。このような厳しい環境の中で、夜明けを信じて勉学に励まれ、今日の日を迎えられた皆さんの努力に改めて敬意を表します。

 残念ながら、未だコロナ禍の収束は見通せず、第4波の急拡大が危惧される状況になっており、夜明け前の暗い時間が続いております。しかし、皆さんの「新しい世界」は始まりました。お約束通り学び続ける意欲を持っておられる皆さんに学力と人間力を付けていただくための教育を展開します。本学では、大学教育の心髄は、大学キャンパスで教員と学生、あるいは学生同士が直接触れ合い、議論し、切磋琢磨することにあるという考えから、昨年6月には対面授業と課外活動を再開し、後期の授業は対面を基本として実施しました。

 本年度は、充分な感染防止対策を講じた上で、対面授業の全面実施を実現したいと考えております。加えて、昨年度のオンライン授業で経験したICT活用のメリットを活かしながら、ニューノーマルにおける新しい大学教育の具現化に向けた取組も進めてまいります。そのために、キャンパスの情報システム・インフラの整備を進めており、教員も学生の理解がより進むよう工夫を凝らした講義や実験のためのデジタルコンテンツの作成に努めております。皆さんも先生方の期待に応えて勉学に励んでください。

 このような本学の取組を着実に進展させるためには、私達教職員の努力に加えて、皆さんを含めた学生諸君の高い意識が求められます。本学の全構成員が高度な感染防止意識を共有しなければ、今進めようとしている教学方針が大きく躓いてしまう可能性があります。

 大学で皆さんは勉学、研究、地域貢献活動、クラブ活動、学友との交流、アルバイト等々様々なことに取り組みます。しかし、誰か一人がコロナウイルスに感染すると、多くの学友に影響が及び、場合によってはこれらの活動を停止せざるを得ない状況となります。感染者は、無症状、あるいは軽症であっても2週間は隔離され、その濃厚接触者も2週間の活動自粛を求められます。さらに濃厚接触者に密に接触した者も全体の安全のため当分の間登校の自粛を求められます。

 このように一人の感染が多くの学友の大学生活を制限してしまいます。また、この連鎖の中で感染者が複数出るとクラスターと認定され、関連した特定の部活動等が停止になるばかりか、最悪の場合はキャンパス閉鎖にも繋がります。常に、自分自身が感染者であるかも知れない、今、会話をしている友人も感染しているかも知れないという意識を持って行動することが大事です。これは大学に限ったことではなく、社会全体の感染拡大を防止するうえでも重要なことです。兵庫県立大学の学生としてのプライドと社会的責任を十分自覚して、良識と節度のある行動を取るようお願いします。明けない夜はありません。試練は人を成長させます。明るい新しい世界の始まりに向けてしっかり努力をしましょう。

 さて、新入生の皆さんは兵庫県立大学にどのような学部や大学院などがいくつあるか知っていますか。本学には、6学部と9つの大学院研究科、4附置研究所に加えて附属中学・高等学校があります。キャンパスは日本の縮図と言われる兵庫県の全域に広がっており、学生のいるキャンパスだけで9カ所あります。この特色を活かして、多様性に富む特色ある先進的な教育研究を展開しております。

 理学部・理学研究科は大型放射光施設SPring-8やX線自由電子レーザSACLAと連携して世界最先端の教育研究を展開しております。工学部・工学研究科は、先端医療工学や水素エネルギー、新材料など様々な分野で最先端の研究成果を上げており、その成果を活かして企業との共同研究も積極的に展開しております。環境人間学部は、環境に関わる技術や施策などに関する専門知識を教育し、地域貢献活動も精力的に進めております。特別コースの食環境栄養課程は、栄養士免許と管理栄養士国家試験受験資格が取得可能で、栄養教諭への道も開かれております。 看護学部は、国公立大学として全国初の看護系単科大学として発足した兵庫県立看護大学を母体とした学部で、今年の看護師、保健師、助産師の国家試験の合格率は全て100%でした。

 一昨年開設した国際商経学部は、経済、経営、グローバルビジネスの3コースがあり、経済学、経営学を基軸に自らの手で地域社会やグローバル社会を切り拓くことのできる人材を育成しております。特に、グローバルビジネスコースは、日本人学生と留学生併せて80名で構成する特別コースで、講義はすべて英語で行い、1年生は全員キャンパス内に建設された国際学生寮に入寮することが義務づけられております。今年までの3年間で合わせて20数か国からの留学生が在籍する予定になっております。

 同時に開設した社会情報科学部は、経済学、経営学の素養を身に付けた高度なデータサイエンティストの養成を目指しております。企業や自治体など様々な機関から提供される実データを用いて、実践的分析能力や社会実装能力の育成を図っており、開設直後から経済界や産業界から大きな関心を寄せられております。

 大学院研究科は、昨年度までは14ありましたが、そのうちの8研究科を再編統合して社会科学研究科、情報科学研究科、理学研究科としてこの4月に開設しました。本学の大学院は、放射光施設やスーパーコンピュータ「富岳」など日本が世界に誇る最先端研究基盤を活用したり、兵庫県が独自に保有している研究教育機関や文化施設等と密接に連携したりして、世界レベルの最先端研究から地域貢献型研究まで特色ある多様で先進的な教育研究を展開しております。

 また、本学が独自に保有する国内大学で最大の放射光施設「ニュースバル」や公開天体望遠鏡として世界一を誇る「なゆた望遠鏡」を利用した教育研究も進めており、ワクワクするような教育研究環境を整備しております。皆さんが、学部で4年間勉学した後で、さらに高度な学問や研究を目指して大学院進学を考える時、学部で学んだ専門知識をさらに深めていくことも可能ですし、異分野に展開して自分の可能性を拡げることもできます。自分の入学した学部あるいは研究科以外についてあまり詳しく知らない方は、この機会に大学の全体像をホームページ等で調べてみて下さい。知れば知るほど、兵庫県立大学が好きになり、勉学意欲がどんどん湧いてきます。

 もう一つ皆さんに質問します。なぜ兵庫県立大学に入学されましたか?何をするために大学や大学院に進学されましたか?自分の将来設計をしっかり立て本学に魅力を感じて入学された方、自分の適性に迷いながら入学された方、次善の策として入学された方等々、背景は様々でしょう。今年は全国で60万人余りの人が大学に進学すると言われております。全員、これまでのキャリアはリセットされ、60万人が一斉に大学生活のスタートラインに立ったと言えます。これから皆さんが大学生活の中で、如何に学問を深め、人間性を磨くか、その取り組む姿勢と努力によって将来が決まってきます。ここまでに述べてきたように、本学はそのために可能な限り教育環境と体制を整備強化して皆さんを支え、兵庫県立大学に入学してよかったと思っていただけるように努めてまいります。皆さんも私達の期待に応えて、しっかり勉学に励んでください。

 また、何をするために進学したのか?何のために学ぶのかということも、このスタートの時にもう一度しっかり考えてください。皆さんは、将来、高度な専門知識をもつ職業人、いわゆる「知」のプロフェッショナルとなって日本の社会を、そして世界を支えていかなければなりません。最近の世界情勢をみると、連帯から分断へ向かう流れが加速しているように見受けられます。異文化の理解なくして多文化共生はあり得ません。異なる背景を持つ人々の多様性を尊重してこそ、大きな力となります。皆さんには、常に人類社会の幸福と発展に力を尽くすのだという高い志を持ち、幅広い視野に立って、大学での勉学に励んでいただきたいと願っています。

 2015年国連総会で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」では、2030年までに貧困を撲滅し、誰一人取り残さない持続可能な未来を追求するために「17の目標」、いわゆるSDGsと「169のターゲット」を提示しています。その前文の一部に、「これらの目標及びターゲットは、統合され不可分のものであり、持続可能な開発の三側面、すなわち経済、社会及び環境の三側面を調和させるものである。」と謳っています。経済発展には温室効果ガスは増えるものだとか、途上国の発展は世界の需給バランスを壊すとか、戦争は人間の本能であるから避けられないとかという過去の経験に基づく、したり顔の古臭い考えは忌避しなければなりません。

 他に不利益を押し付けて利益のみを追求することは許されません。健全な自然環境や社会があってこその経済発展であり、また、経済発展なしに環境の保全や社会正義の実現も困難です。貧困、飢餓、健康、教育、ジェンダー平等、衛生、エネルギー等々17の開発目標に貢献することが人類社会の発展と幸福につながります。この意味において、本学のそれぞれの教育研究が17のゴールのどれに貢献するのかを明確に意識できるようにしなければなりません。皆さんもこのような視点で受講したり、研究したりすれば、より学習効果が上がり、研究も進むのではないでしょうか。皆さんが、これからの新しい社会の担い手として大きく成長されることを期待しております。

 式辞を終えるに当たり、皆さんへお願いがあります。大学は皆さんを一人の大人として扱い、全てを自己責任で実行することを求めます。自己管理や自己規律をきちんと行って、学生生活を持続させなければ、途中で破綻してしまいます。大学は自由であるだけに、余計に皆さんの責任は重大です。加えて、学生としての品位、品格を保つよう努力して下さい。特に、今のコロナ禍の時代において、皆さんの真骨頂が試されています。兵庫県立大学の学生として、常に大学の名誉を背負っているということをしっかり念頭において行動してください。

 最後になりましたが、本学は、学生ファーストを基軸に、多様で特色ある先導的・先進的大学を目指しております。新入生の皆さんが、明るく、楽しく、未来を見据えて、活き活きとした学生生活を送り、皆さんの青春が一層その輝きを増すことを心から願っています。早くコロナ禍が収束し、皆さんが安心して学友と机を並べて楽しく勉学に励む日が来ることを願いながら、私のお祝いと歓迎の言葉とします。

令和3年4月6日
兵庫県立大学 学長 太田 勲

 

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