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式辞など

令和4年度 学長式辞

学長式辞

 今年の春は、皆さんの入学をお祝いするかのように、少し早く駆け足でやってきました。本日、兵庫県立大学の入学宣誓式を迎えられた皆さん、ご入学誠におめでとうございます。教職員を代表して、心から歓迎の意と、お祝いを申し上げます。今年は、編入学生6名を含め学部生1,294名、大学院生490名、合わせて1,784名の入学が許可されました。これまでの皆さんの努力に敬意を表しますとともに、皆さんを長年支えてこられたご家族や関係者の方々に衷心よりお慶びを申し上げます。

 本日は大変お忙しい中、後ほどご祝辞を頂く、兵庫県知事齋藤元彦様、兵庫県議会議長藤本百男様をはじめ、本学の兄弟大学である芸術文化観光専門職大学、および本学後援会、同窓会の代表の方々にご来賓としてご臨席をいただいております。ご来賓の皆様方には衷心より御礼を申し上げます。 また、兵庫県公立大学法人理事長の五百頭旗真先生にご臨席をいただいており、後ほどご祝辞を頂戴いたします。

 今年の式典には、秋入学の国際商経学部グローバルビジネスコースの海外留学生15名も参加しています。例年9月に実施する入学式が、コロナ禍の影響でオンライン形式になってしまったため、改めてこの入学式に参加してもらいました。まだ、入国できていない学生も多くいるので留学生全員の参加ではありませんが、日本の入学式を実体験していただく良い機会になるものと考えています。

 This year's ceremony is also attended by 15 international students enrolled in the Global Business Course of the School of Economics and Management, who were admitted in the fall. The entrance ceremony for the international students of the GBC, which is usually held in September, had to be held online due to the influence of COVID-19, so we asked them to participate again in today's ceremony. Since many international students have not yet been able to enter Japan, not all of them are participating, but we believe that this is a good opportunity for them to experience the Japanese entrance ceremony firsthand.

 さて、皆さんは新型コロナウイルス感染症の荒波が何度となく押し寄せる中、2年以上にわたって様々な時間的、物理的制約を受けながら勉学に励まれ、見事今日の日を迎えられました。いま、皆さんは大学入学という目標は達成されましたが、何のために、また何をするために兵庫県立大学に入学されましたか?いま一度、しっかり思い起こしてください。

 国際的に活躍するビジネスマンになりたい、ソサイエティ5.0と言われるこれからの社会を支えるデータサイエンティストになりたい、地域の発展に貢献する仕事に就きたい、人々が幸せになるものづくりをしたい、真理を探究する科学者になりたい、お年寄りや弱い立場の人を勇気づけ、元気にする看護師になりたい等々、様々な希望と夢を持って入学された方が多いのではないでしょうか?あるいは、あまり深く考えずに、とりあえず将来よい仕事に就けそうな本学を選ばれたという方もおられるかもしれません。

 しかし、いずれにしても、学生生活をはじめるに当たって、いま、自分の将来をしっかり見据え、大きな目標に向かって第一歩をしっかりと踏み出すことが大切です。各学部では、それぞれの教育理念と目標に基づき、皆さんが効果的に知識や技術を身に付けることができるようにカリキュラムを作成しています。皆さんは、各自の卒業要件を勘案したうえで学習計画を立て、自分の学びたい科目を履修登録し、試験等に合格すれば単位修得となり、その積み重ねが卒業に繋がります。資格の取得を目指す分野ではカリキュラムがタイトになっていますが、基本的には高校までの受動的な学習とは異なり、自由かつ自主的な学びになります。大学は、履修に限らず全てを学生の自己責任で実行することを求めます。

 自由であるだけに、皆さんの責任は重大です。自己管理/自己規律をきちんと行い、学生生活を持続させなければ、途中で破綻してしまいます。今日から覚悟をもって努力することが、皆さんの将来を成功に導く大きな一歩となります。皆さんの机の前に将来の夢や目標などを書いて貼り付けて、常に初心を忘れないようにしてください。

 ところで、皆さんは、本学に、学部、大学院研究科、附置研究所がいくつあるかご存知ですか?また、キャンパスがいくつあるか知っていますか?本学には、6学部、9大学院研究科、5附置研究所と附属中学・高等学校があります。学生数は学部、大学院合わせて約6,700名です。キャンパスは、兵庫県下の各地にあり、学生がいるキャンパスだけで10キャンパス、研究機能だけのものまで含めると、全部で14キャンパスになります。この機会にしっかり頭に入れておいてください。兵庫県立大学は、皆さんの夢や希望に応えるために、先進的なキャンパス環境の整備に努め、多様で特色ある教育研究を展開しています。

 神戸商科キャンパスには国際商経学部と社会情報科学部があります。国際商経学部は、世界を視野に入れて地域や国際社会で活躍できる人材を産業界や金融界などに送り出します。先ほどご紹介したグローバルビジネスコースは半数が留学生で、日本人学生を含めて英語のみで授業を行っています。開設から3年間で毎年40名前後の留学生が世界各地から入学しており、既に20余りの国と地域に拡がっており、本学の国際化を牽引しています。

 社会情報科学部は、日本のデータサイエンス系学部の草分け的存在で、今年初めて4年生が誕生しました。社会では様々な分野でDXが進んでおり、卒業予定者には多方面から熱い視線が注がれています。

 姫路市にある工学部は本学の根幹をなす一方の柱で、電子情報、機械・材料、化学の3分野を基軸とする先進的な教育研究を通して次代を切り拓くエンジニアを育成しています。現在、工学キャンパスは抜本的な建て替え改修中で、産業界から、優秀なものづくり人材の輩出と産業技術力の向上への貢献に大きな期待が寄せられています。

 理学部は播磨科学公園都市にあり、物質科学科と生命科学科の2学科に分かれていますが、旧来の理学部の学問分野の垣根を取り払った新しい学際領域の教育研究を展開しています。近隣にある大型放射光施設Spring-8やX線自由電子レーザ施設SACLAとも密接な連携を図り最先端の研究成果を発信しており、世界から注目されています。

 姫路城の近くにある旧制姫路高等学校の跡地をキャンパスとする環境人間学部は、文理融合型の学部で、1998年に当時の姫路工業大学に開設されて以来、人間学を基軸とした環境問題について幅広い教育、研究を推進しています。地球温暖化や気候変動、生態保全などの自然環境、食環境、住環境、地域コミュニティ、教育、人間形成、国際文化など多岐にわたる分野に取り組み、多くの卒業生が地元のみならず全国各地で地域のリーダとして活躍しています。管理栄養士課程では、栄養士の資格と管理栄養士国家試験の受験資格も得られます。

 看護学部は明石市にあり、1993年に全国初の国公立看護系単科大学として開設された兵庫県立看護大学を前身としています。人の痛みが分かり、人を大切にする心を持ち、高度な知識と実践力を備えた看護師を養成しており、卒業生は、兵庫県はもとより日本各地の医療機関や大学等で活躍しています。看護師、助産師、保健師の国家試験は毎年ほぼ100%の合格率を誇っています。

 工学、理学、環境人間学、看護学の4学部の上には、そのまま大学院研究科が設置されていますが、神戸商科キャンパスには学部名称とは異なる社会科学研究科と情報科学研究科の2つの大学院があります。社会科学研究科は国際商経学部の卒業生の受け皿にもなりますが、経営(MBA)と会計の2つの専門職学位の専攻も設けており、特にMBAは地元企業の経営者など社会人のリカレント教育の場になっています。

 情報科学研究科はデータ計算科学専攻の一専攻制で、広く学内外から学生を集めるとともに、社会情報科学部卒業生の進学先にもなっています。また、スーパーコンピュータ富岳と連携した世界規模の経済シミュレーションやビッグデータ解析など最先端分野で大きな研究成果を上げています。

 これら以外に、学部とは直接接続していない独立系大学院研究科が3つあります。淡路島にある緑環境景観マネジメント研究科は、緑豊かな都市や地域を実現していく高度専門職業人を育成する専門職大学院です。豊岡市にある地域資源マネジメント研究科は、コウノトリやジオパークなどの地域資源の保全と活用に関する教育研究を通して、地域社会の活性化に貢献できる研究成果の発信と人材の育成に努めています。HAT神戸にある減災復興政策研究科は、阪神・淡路大震災の経験とその復興過程で得た知見を生かして、南海トラフや都市直下型地震、津波やその他の自然災害に備えて、科学的、かつ現場重視の教育研究を行っています。

 5つある附置研究所の中で一番古いものは神戸商科キャンパスにある政策科学研究所です。これまで地域課題の解決などに向けて様々な活動をしてきましたが、本年度から体制を一新してエネルギー問題、特にGX、すなわちグリーントランスフォーメーションを中心に、理工系とも連携しながら政策提言などを行います。

 高度産業科学技術研究所は理学キャンパスにあり、附置施設としてSPring-8のサイトに軟X線放射光施設「ニュースバル」を保有しています。大学が持つ放射光施設としては国内最大のもので、微細加工や材料分析に威力を発揮しており、EUVLによる先端半導体技術や次世代電池技術などの発展に大きな貢献をしています。また、教員は大学院工学研究科材料・放射光工学専攻の教員も兼任します。

 自然・環境科学研究所は、人と自然の博物館や森林動物研究センターなど兵庫県の施設と連携しながら、恐竜の化石や動植物の生態系、コウノトリの野生復帰、森林野生動物との共存などの研究を進めています。また、国内最大規模の公開反射望遠鏡を有する西はりま天文台を持っており、太陽系外惑星や脈動変光星などの研究を行っています。当研究所の教員は、大学院環境人間学研究科、理学研究科を兼任しています。

 明石看護キャンパスにある地域ケア開発研究所は、全国初の看護学実践研究拠点として地域の人たちが抱える健康問題に対して「まちの保健室」という実践活動を通した研究や災害看護、国際地域看護など世界規模での研究活動を実施しており、災害健康危機管理WHO協力センターに認証されています。

 この4月に5番目の附置研究所として先端医療工学研究所が、5月に開院する県立はりま姫路総合医療センター内の教育研修棟に開設されました。工学、理学、環境人間学、看護学、情報科学の各大学院研究科が連携して、臨床現場と直結しているという利点を活かしながら先端医療機器やデジタルヘルス、データヘルスなどの研究開発を行います。加えて、医産学連携拠点の役割も果たします。

 このように、本学は多様な教育研究を展開しています。皆さんが、学部で4年間勉学した後に、さらに高度な学問や研究を目指して大学院進学を考える時には、学部で学んだ専門知識をさらに深めることもできますし、異分野の大学院にクロス進学して自分の可能性を拡げることもできます。この機会に大学の全体像を調べてみてください。知れば知るほど、兵庫県立大学が好きになり、きっと勉学意欲がどんどん湧いてきます。

 さて、皆さんは、高校の授業などで、2015年国連総会で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」、誰一人取り残さないための「17の目標」、いわゆるSDGsなどについて学ばれたことと思います。健全な自然環境や社会があってこその経済発展であり、また、経済発展なしに環境の保全や社会正義の実現も困難です。貧困、飢餓、健康、教育、ジェンダー平等、衛生、エネルギー等々、17の開発目標に貢献することが人類社会の発展と幸福につながります。産官学を問わず、全ての社会経済政治活動はこのことを意識したものであることが求められます。

 先ほどの説明からも、本学の教育・研究・社会貢献活動がそれぞれ17のSDGsの達成に強く結びついていることを、皆さんは理解されたことと思います。大学こそがその先頭に立って、理想の社会を目指した学術研究活動を推進し、併せて、この地球上の一木一草まで慈しむ心を持った高度専門職業人を育成していかなければなりません。

 このような思いから、兵庫県立大学はSDGs宣言を発し、その冒頭に、「兵庫県立大学は、安全で平和な社会の実現のために、そして全世界の幸福と福祉に貢献するために、ここにSDGs 宣言を発し、いのちの尊重に根差した人間性豊かな教育と研究を進めるとともに、様々な分野の叡智を結集し、その達成に向けて邁進することを誓います」と謳っています。私たちは、地域の人々、世界の学術団体、行政機関、企業などと協働しながら社会の課題解決に貢献します。皆さんも、時間がある時にこの宣言文の内容を読んで、自分に何ができるか、何をするべきか一緒に考えてみてください。

 ところが、大変残念なことに、いま世界ではSDGsと真逆なことが起こっています。ロシアのウクライナ侵攻が始まって1ヶ月半となりますが、街は破壊され、多くの市民の命が奪われ、両軍の多数の兵士も無意味に無残な死を遂げています。一刻も早く武力行使を停止して、対話による平和的解決を図らなければなりません。「この世界には、人間の命より大切なものはありません。また、あるはずもありません」兵庫県立大学では、3月8日に武力行使の即時停止と平和的解決を求めてウクライナ侵攻への抗議声明を出しました。

 この侵略戦争は、民主主義国家であるはずのロシアが、独裁的な政権運営によって引き起こした暴挙と言わざるをえません。民主主義は、国民が政治に無関心であったり無知であったりすると次第に劣化していきます。国民が気づいたときには、独裁的な政治体制が法制的にもできあがっているということになりかねません。今のロシアの政治状況を反面教師としてしっかり学んでください。元来、国も含めて様々な組織や民族、宗教は排他性を内在しており、またそうならざるを得ない宿命を持っています。国を全世界、民族を全人類と捉えられるような時代が来れば今のような悲劇は起こりませんが、まだ道半ばです。

 独裁志向の強い為政者ほど、国益、民族、宗教などをことさら強調して、SDGsにはほど遠い、排他性に基づく国民の団結を煽ります。これでは人類社会の発展も世界平和の実現も叶えられません。この排他性を抑制できるものは、政治、経済などの社会システムです。端的には選挙制度であり、市場の存在です。皆さんは、すでに、18歳を迎えた日から選挙権は持っていますが、この4月からは18歳成年制度が適用され、晴れて正式な成人となりました。様々な契約や結婚などを自分の意思で決めることができるようになりました。責任ある成人として、政治にも真剣に向き合うことが求められます。大学での学びや読書を通してしっかり教養を身につけ、真実を見抜く力を養ってください。

 さて、皆さんは、明日の新入生オリエンテーションを経て、いよいよ明後日から前期の授業が開始されます。まだ、コロナウイルス感染症拡大の第6波が収束せず、高止まりであるとか、第7波になる危険性があるとか言われています。しかし、本学ではこれまでの経験を活かして、感染対策を十分とった上で、全面的に対面授業を実施します。これまでも、学生の皆さんがアカデミックなキャンパスで、リアルに友人同士で語り合い、議論し、切磋琢磨し、さらに教師と直接ふれ合う機会を作りたいと考え、極力対面授業とクラブ活動の許可を進めてきました。

 大学時代の4年間は、皆さんの知力、思考力、人間力の成長にとって非常に重要な時期です。瞬時たりとも疎かにはできません。これまで授業等で感染が拡大した例はありません。いずれも下宿や飲食店での友人同士の飲食、あるいはカラオケなど、不用意な行動によって感染が拡がっています。しっかりとルールを守って勉学に励んでください。今年の新入生からBYOD(Bring your own device)とし、基本的に入学生全員が個人のパソコンを持ちます。キャンパスの情報環境も大幅に整備しており、サイバー空間とフィジカル空間がベストミックスしたキャンパスでの学びを楽しんでください。

 式辞を終えるに当たり、皆さんへお願いがあります。このコロナ禍の時代においては一人ひとりに社会人としての自覚が求められます。皆さんは、常に兵庫県立大学の名誉を背負っているということをしっかり念頭において、学生として品位と品格のある行動に努めてください。

 最後になりましたが、本学は、学生ファーストを標榜して、多様で特色ある先導的・先進的な教育研究を展開しています。新入生の皆さんが、本学で、明るく、楽しく、未来を見据えて、活き活きとした学生生活を送り、皆さんの青春が一層その輝きを増すことを心から願っています。コロナ禍が早く収束し、皆さんが安心して楽しく勉学できる日が来ることを願いながら、私の心からのお祝いと歓迎の意を込めた式辞といたします。

令和4年4月5日
兵庫県立大学 学長 太田 勲

 

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