サイエンスカフェRRM

「大地の恵み」といえば、何を思い浮かべますか? 四季折々のおいしい野菜や果物がまずあがりますが、食べられなくとも鉱物資源だって見逃せません。辰砂は「丹」ともよばれ、日本では弥生時代以降、身の回りの品々を華やかに彩ってきました。今回は、水銀朱鉱山遺跡の研究成果をもとに、辰砂と日本人の長いつきあいについて考えます。薪ストーブのやわらかく赤い炎を傍らに、古代人が愛した鮮やかな朱の世界にしばし思いを馳せていただければ幸いです。

日時:2019年12月8日 (日) 14:00-16:30
場所:兵庫県立大学 豊岡ジオ・コウノトリキャンパス大学院棟1階 多目的室(豊岡市祥雲寺字二ヶ谷128)
定員:40名(先着順)
参加費:無料(薪ストーブ焙煎コーヒー、お菓子あり)

1.話題提供(14:00-15:15)

徳島大学名誉教授 石田啓祐博士
若杉山:日本最古の水銀朱鉱山遺跡を地質学から読み解く −地質学と考古学のコラボに向けて−

2019年6月21日、国の文化審議会から文部科学大臣への答申により、国史跡「若杉山辰砂採掘遺跡」が誕生する見通しになりました。遺跡は、徳島県の那賀川流域に位置し、弥生時代後期から古墳時代前期にかけて、岩盤を打ち割り朱の原料である辰砂を採掘した採掘場と、採掘に伴い廃棄されたズリ場からなり、「我が国古代に重用された朱の原料の採掘のあり方を示す遺跡として重要」と評価されました。これまで最古の採掘坑は、奈良時代に始まった長登銅山(山口県美祢市)とされ、若杉山遺跡の採掘坑はこれを6世紀近く遡ります。石杵・石臼を用いた荒割りや潰しといった加工も一部行われています。若杉山辰砂採掘遺跡は朱の生産や流通を通して弥生時代における人々の営みを知ることができる全国唯一の遺跡であり、その歴史的な価値の重要性が見えてきました。本講演では、弥生末期〜卑弥呼の時代に遡る水銀朱鉱山遺跡の解明に向けた、地質学からのアプローチを紹介しながら、発掘箇所の特定から遺跡の性格付けに至る考古学と地質学のコラボのあり方について、現場での調査研究手法・理論的相互理解の観点から、お話しいただきます。

★ 石田先生は1953年岐阜県生まれ。1978年信州大学大学院理学研究科(修士課程)地質学専攻修了。1986年 理学博士(大阪市立大学)。 1978年に徳島大学に助手として着任され、講師、助教授、教授を経て、2019年名誉教授。日本・アジアを中心に地質学研究に長年従事する傍ら、徳島県文化財保護審議会会長を努め、文化財の指定、調査研究指導にあたる。専門は微化石地質学。著書に『発見!徳島の自然と文化』(阿波学会)などがある。

2.ディスカッション(15:15-16:30)
ファシリテーター:崎山正人・長濵 聖(兵庫県立大学大学院地域資源マネジメント研究科博士博士後期、前期課程)

申込先:兵庫県立大学 豊岡ジオ・コウノトリキャンパス
E-mail:rrm@ofc.u-hyogo.ac.jp(@を半角に) Tel:0796-34-6079
(氏名、所属、住所、メールアドレス、電話番号をお知らせください)

主催:兵庫県立大学地域資源マネジメント研究科 
共催:兵庫県立コウノトリの郷公園