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■ 「熱」と「温度」はどう違う?
 省エネっていうのは、ホントは「熱(エネルギー)」を節約することで、「温度」を暑さ寒さをガマンする状態にすることではないはず。でも、ほとんどの人が「熱」と「温度」を同じものと思っているところに、大きな誤解の原因があります。


 「熱」と「温度」の違いを家の暖房で考えてみましょう。下の図で、家をコップのような容器と考えます。やかんから注がれる水(湯)を「熱」とすると、「温度」は水の深さに相当します。家という容器はどこかに必ず熱の穴があいており、水(熱)が常にいくらかは外に漏れてしまいます(熱の漏れを完全に止めることは、物理学的に不可能です)。このとき、水の深さ(温度)を一定にするために、連続的に注がれる水の量こそが「暖房熱量(エネルギー)」と考えることができます。
↑暖房において「熱」は注がれる水量で、「温度」はその深さに相当します。
  このように「熱」は水の量そのものであり、「温度」はその水がある容器に入れられたときの深さの度合いです。つまり「熱」は量ですが、温度はその熱量をある容器(この場合は家ですが、その他の物体・物質や生物も同じように考えることができます)に入れられたときの状態(この場合は深さ)を示す値ということになります。ですから、容器の大きさが違ったりしたら、水(熱)の量そのものは変わりませんが、そのときの深さ(温度)は異なることになります。言い換えれば、同じ温度(深さ)を維持するにも家(容器)の大きさや熱的な性能が異なれば、必要な熱量(水量)は異なるということです。
  したがって、快適な「温度」を維持するにしても、家の造り方や住まい方の工夫によって熱量(エネルギー量)を減らすことは可能であり、ガマンすることなく省エネをすることも決して不可能ではありません。
↑同じ温度を保つためでも、家の大きさ、性能、住まい方で必要な熱量は異なります。