令和2年8月31日
兵庫県立大学
学長 太田 勲
学事暦を変更して終了時期を9月3日とした前期授業日程がもうすぐ終了します。皆さん、コロナ禍の中で、様々な制限を受けながら、勉学に励んでこられたことと思います。教師と直接対面せず、周りにも学友がいないウェブ講義がメインとなり、隔靴掻痒の思いを持った方も多かったのではないでしょうか。各学部/研究科では、ウェブ講義発信に臨み先生方が幾度も練習を重ねて対応してきました。緊急的にウェブ講義に変更したため、学生の皆さんも教師も戸惑いが多かったことと思います。しかし、いずれ来るサイバー社会への変革が、コロナ禍を機に急激に進み、大学に対してもそのあり方を鋭く問いかけていると言えるのではないでしょうか。
一般に、大きな事件や災害等が発生すると、それまで徐々に進んでいた社会変革や技術革新が一気に進展すると言われます。ポストコロナでは大学の授業形態も大きく変わっていきます。本学も、オンライン授業を効果的に活用するための検討を進めていきます。
一方、大学本来の主要な役割は、学問の修得はもちろん、キャンパス内で皆さんが教師や学友と交流し、議論し、切磋琢磨することによって、人間力を高め、人格を磨き、見識を高め、不条理なことを拒否できる高い倫理観を養う、等々の場を提供することだと思っています。この意味において対面授業を実施することは極めて重要です。同じ意味で皆さんが自主的に行う課外活動も非常に大切です。学生時代という貴重な時間は限られています。恐れず、見くびらず新型コロナに適切に対処しながら、この困難な時代の中で大きく成長して頂きたいと強く願っています。
そのため、多くの学生を少しでも早くキャンパスに迎え入れたいと考え、前期途中の6月22日から対面授業を段階的に再開しました。一方で皆さんやご家族の感染への不安も考え、オンラインとのハイブリッド形式としました。この間、厳しい環境の中だからこそ、学習に対する強い意欲が湧き、新しい自分を発見した人もいたのではないかと期待しています。
後期授業は10月1日から開始となりますが、上記の理由から後期は対面授業を基本とします。感染防止対策に万全を期した上で、対面授業を効果的に実施するという観点から時間割等の見直しも検討しています。学部によっては、授業時間中の3密回避や今後の感染拡大リスクなどを考慮して、対面が必須の学生実験など一部科目を9月に前倒し実施します。学部/研究科の先生方は、できるだけ多くの皆さんをキャンパスに迎え入れるために、様々な感染防止対策を工夫しながら、後期の授業実施に向けて最大限の努力をされています。この期待に応えて下さい。
変則的とはいえ、夏期休暇に入り運動部の一部ではリーグ戦を見据えて本格的な練習が始まっています。競技種目によっては完全な感染防止対策が困難なものもありますが、それぞれの連盟事務局が大会開催に向けて、感染リスクを極力減らすためのマニュアルを作っています。部員の皆さんはそれを完全に遵守することはもちろんですが、本学の学務課が作成している課外活動ガイドラインもしっかり守らなければなりません。
いくつかの大学では、部活動に起因するクラスターが発生しています。部員一人の油断が大事に至ることがあります。大学名を掲げて戦う皆さんの肩には本学の名誉も掛っています。主将のリーダーシップの下、競技での勝利はもちろん、コロナにも打ち勝って下さい。
本学では、幸いなことに未だ一人の感染者も出ていません。皆さんの高い意識を誇りに思っています。しかし、社会全体の感染状況の急激な悪化や、本学に重大事態が発生した場合には行動指針の見直しを行い、皆さんの行動をいま以上に制約する方針を打ち出さざるをえません。重ねての注意喚起となりますが、いま一度下記の諸点に留意して、本学はもちろん、社会全体の感染防止に努めるようお願いします。
記