2025.12.22
プレスリリース
先端医療工学研究所
歩行障害や認知症と間違われる“治療できる病気”をAIが高精度に判別
—MRI画像から正常圧水頭症(iNPH)を自動判別し、治療の機会を逃さない新技術—
兵庫県立大学先端医療工学研究所と兵庫県立はりま姫路総合医療センター(はり姫)の共同研究グループは、脳MRI画像から正常圧水頭症(iNPH)を高精度に見つけ出す新しい画像解析技術を開発しました。この技術は、MRI画像で抽出される脳の形の変化をAIが総合的に読み取り、iNPHの特徴を自動的に識別します。
iNPHは、歩行のふらつきの症状の他にアルツハイマー型認知症にも似た物忘れなどの症状を示すため、従来から両者を鑑別する研究は進められてきました。しかし、臨床現場でより大きな課題になっているのは、iNPHと症状が非常によく似た進行性核上性麻痺(PSP)との鑑別です。PSPは進行性の神経難病で根本的な治療法がなく、世界的にもiNPHとPSPの鑑別精度を高めることが大きな課題とされてきました。
一方で、iNPHは治療(シャント手術)が可能であり、適切に診断されれば歩行や日常生活動作が大きく改善し、元の生活に戻れる可能性が高い病気です。しかし、症状が似ているためにPSPなど別の疾患と判断されてしまい、本来の治療の機会を逃してしまうケースが全国で問題視されています。本研究で開発したAI技術は、こうした鑑別の難しさを大きく改善し、治療効果が期待される患者の見逃しを減らすことに貢献します。
研究詳細
問い合わせ先
兵庫県立大学先端医療工学研究所
医産学連携・研究支援コーディネーター 岡本 利樹
E-mail: info@ame.u-hyogo.ac.jp
TEL: 079-280-1248(代表)
兵庫県立はりま姫路総合医療センター
総務部 診療サポート課長 時田 直人
E-mail: Naoto_Tokita@pref.hyogo.lg.jp
TEL:079-289-5080(代表)
