2026.09.17
プレスリリース
理学部・理学研究科
磁気転移温度に潜む「数字の偏り」を発見
―5万6千件の文献抽出データを精査し、キュリー温度がベンフォード則から外れることを確認―
発表内容要旨
多くの自然・社会データでは、数値の最初の桁は均等には現れず、「1」から始まる数が多く、「9」から始まる数が少なくなるベンフォード則に従うことがあります。
兵庫県立大学大学院理学研究科の和達大樹教授は、AIを用いて科学論文から自動抽出された大規模な磁気転移温度データを対象に、強磁性体のキュリー温度と反強磁性体のネール温度がこの法則に従うかを調べました。
56,037件の元データに対し、ケルビン単位のみを残す、0~2000Kの範囲に限定する、磁気転移を明示した記録を選ぶ、非磁性の文脈を除く、同一材料の重複をまとめる、という処理を行いました。最終的にキュリー温度2,754件、ネール温度1,323件からなる4,077件の材料データセットを構築しました。
解析の結果、キュリー温度はデータを精査してもベンフォード則からのずれが残り、ネール温度は重複除去後に同則へ大きく近づきました。これは単なるAI 抽出の誤りや同一材料の重複だけでは説明できず、磁性材料の物理的な温度スケールや、室温付近など応用上重要な材料が多く研究・報告される傾向が関係していると考えられます。本成果は、AIにより構築された科学データベースの特性評価に加え、物性値の背後にある物理的制約や研究活動の偏りを統計的に読み解く新しい視点を提供します。
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問い合わせ先
兵庫県立大学播磨理学キャンパス経営部 総務課
TEL:0791-58-0101 FAX:0791-58-0131
Mail:soumu_harima@ofc.u-hyogo.ac.jp
同時資料提供先
(本学より配布)西播磨県民局記者クラブ、中播磨県民センター記者クラブ
