野生復帰したコウノトリのつがい相手の傾向を解析
発表内容要旨
兵庫県立大学大学院地域資源マネジメント研究科・兵庫県立コウノトリの郷公園の出口智広准教授、内藤和明教授、元教授の大迫義人博士の研究グループは、国内で野生復帰したコウノトリのつがい相手の傾向を解析しました。
多くの鳥類では、繁殖相手との関係が長期間にわたって維持されます。そのため、どのような相手とつがいになるのかは、個体群動態や進化の理解において重要な研究テーマです。しかし、それを明らかにするには、厄介な問題が立ちはだかります。例えば、近い場所で生まれた オスとメスがつがいになった場合、それは互いを好んだためなのか、それとも単に出会う機会が多かったためなのかを区別する必要があります。そこで、本研究では、出生地または放鳥地点の距離から個体同士の出会いやすさを考慮した解析を行いました。
その結果、出会いやすさだけでは説明できないつがい形成のパターンが認められ、年齢の近い個体同士がつがいになる傾向と、血縁の遠い個体がつがい相手となりやすい傾向が示されました。また、今回の研究結果では、コウノトリの野生復帰を成功に導く上で重要な示唆も得ら れました。オスとメスが出会い、つがいを形成する機会を十分確保するためには、繁殖参加しやすい年齢のオスを個体群に補充することや、放鳥地点を適切に配置することなどが、再導入個体群の長期的な維持には必要と考えられました。
今後は、年齢だけでなく、遺伝的類似性や個体ごとの特徴がつがい形成や繁殖成功にどのように関係するのかを明らかにする必要があります。特に、MHC 領域や全ゲノムレベルでの遺伝的差異を調べることで、今回示された「血縁の遠い個体がつがい相手になりやすい傾向」の背景をさらに詳しく検証することが期待されます。
本研究の成果は国際学術誌 『IBIS』において2026 年9 月20 日に早期公開されました。
詳細
論文情報
- タイトル
Mate choice cues in long-lived monogamous Oriental Storks
(長寿で一夫一妻制のコウノトリにおける配偶者選択の手がかり) - 著者名
兵庫県立大学大学院地域資源マネジメント研究科 出口智広 准教授
兵庫県立大学大学院地域資源マネジメント研究科 内藤和明 教授
兵庫県立大学大学院地域資源マネジメント研究科 大迫義人(元)教授 - 雑誌・号・doi
IBIS
DOI:https://doi.org/10.1111/ibi.70125
問い合わせ先
出口智広(でぐちともひろ)
兵庫県立大学大学院地域資源マネジメント研究科
TEL:0796-34-6079
E-mail:deguchi@rrm.u-hyogo.ac.jp
同時資料提供先
兵庫県立コウノトリの郷公園
〒668-0814 豊岡市祥雲寺128
TEL:0796-23-5666
