2024.02.20
プレスリリース 地域資源マネジメント研究科

水田に生息するゲンゴロウ類4種の幼虫の共存機構を解明

兵庫県立大学大学院地域資源マネジメント研究科博士後期課程1年(日本学術振興会特別研究員DC1)の渡辺黎也と同研究科の佐川志朗教授、長崎大学教育学部の大庭伸也准教授の研究グループは、水田に生息するゲンゴロウ類4種の幼虫の共存機構を主に夜間観察から明らかにしました。

本研究では、野外下における幼虫の共存機構解明を目的として、日本に広く分布し、水田を主な生息場所とするヒメゲンゴロウ、シマゲンゴロウ、コシマゲンゴロウ、クロゲンゴロウの4種(以下、ヒメ、シマ、コシマ、クロ)を対象に、幼虫の季節消長(季節変化に伴う個体数の増減)、微生息場所利用(水面・水中・水草 ・水底のどこにいるか)、食性(食べている餌) を調査しました。

調査の結果、5~6月に出現ピークが重なる3種(ヒメ、シマ、コシマ)は、微生息場所利用が異なり、それぞれの微生息場所で遭遇しやすい餌を捕食していました。一方、クロはシマと微生息場所利用が重複していましたが、3種よりも出現時期が遅く(7~8月)、異なる餌を捕食していました。したがって、ゲンゴロウ類4種は、水田という水深の浅い一時的な水域において、幼虫期の季節消長や微生息場所利用、食性の違いによって共存していることが示唆されました。

本研究の結果は、地球上の淡水環境において最も多様化したグループの1つであるゲンゴロウ類が、どのようにして高い種多様性を維持できているのかを説明する一助となります。また、ゲンゴロウ類は水田生態系における中・上位捕食者であるため、彼らの共存機構を解明することは、水田生態系における生物多様性の保全策の立案にも貢献できる可能性があります。

本研究の成果はアメリカ生態学会の発行する国際誌『Ecology 』に2024年2月15日から早期公開されました。

研究詳細

別添のとおり

論文情報

論文タイトル

Coexistence mechanism of sympatric predaceous diving beetle larvae
(捕食性ゲンゴロウ類幼虫の共存機構)

著者名

兵庫県立大学大学院地域資源マネジメント研究科 博士後期課程1年 渡辺黎也
長崎大学教育学部 大庭伸也准教授
兵庫県立大学大学院地域資源マネジメント研究科 佐川志朗教授

雑誌・号・ doi

Ecology
DOI:https://doi.org/10.1002/ecy.4267

問い合わせ先

渡辺黎也(わたなべれいや)
兵庫県立大学大学院地域資源マネジメント研究科 博士後期課程1年
(日本学術振興会特別研究員DC1)
TEL:0796-34-6079
E-mail:watanabe.reiya.sw@alumini.tsukuba.ac.jp

同時資料提供先

国立大学法人長崎大学広報戦略課広報戦略班
〒852-8521 長崎市文教町1-14
E-mail:kouhou@mi.nagasaki-u.ac.jp

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