立ち往生したロボットを道しるべに変える群ロボットナビゲーション
―数の力で未知環境を進むシンプルなアルゴリズム“BYCOMS”を提案―
兵庫県立大学、大阪大学、東京大学、北海道科学大学、大阪工業大学の共同研究グループは、カメラやLiDARなどではロボットが通行できるか判断できない未知環境において、立ち往生したロボットを後続のロボットが避けるだけで、群全体として目的地へ到達する新しいナビゲーション手法を提案しました。
提案手法は、**BYCOMS(BYpassing COmpanions Method for Swarm robot navigation:仲間を迂回する群ロボットナビゲーション法)**と名付けられています。
未知環境では、一部のロボットが泥濘地や落ち葉に隠れた窪地などに入り、立ち往生することがあります。BYCOMSでは、この立ち往生を失敗として排除するのではなく、その場に停止したロボットを、通行困難な領域を示す「道しるべ」として利用します。後続のロボットは、先行するロボットを避けながら目的地へ進むことで、通行不能領域の境界に沿って経路を形成し、最終的に少なくとも1台のロボットが目的地へ到達します。各ロボットに必要なのは、目的地の方向を知る機能と、周囲のロボットの相対位置を検知して回避する機能だけです。環境地図の作成、通行不能領域の事前検出、自身や他のロボットが立ち往生しているかどうかの判定、複雑なロボット間通信を必要としません。
本研究では、提案手法によって一定の条件下で少なくとも1台のロボットが目的地へ到達できることを数学的に示しました。さらに、仮想ポテンシャル場を用いた数値シミュレーションにより、ナビゲーション成功率やセンサノイズに対する頑健性を検証しました。加えて、スピーカーとマイクロフォンアレイを搭載し、音の場を利用して周囲のロボットを回避する移動ロボットを開発し、実機によるナビゲーション実験から提案手法の実現可能性を示しました。
本成果は、災害現場、軟弱地盤、落ち葉などで地形が覆われた自然環境、月面のように、外観だけでは移動可能性を判断しにくい環境における、シンプルで頑健な群ロボットシステムの実現につながることが期待されます。
研究詳細
論文情報
- タイトル
Power in numbers: Primitive algorithm for swarm robot navigation in unknown environments - 著者名
Yusuke Tsunoda, Shoken Otsuka, Kazuki Ito, Runze Xiao, Keisuke Naniwa, Yuichiro Sueoka and Koichi Osuka
角田 祐輔,大塚 聖賢,伊東 和輝,肖 潤沢,浪花 啓右,末岡 裕一郎,大須賀 公一 - 雑誌・号・doi
雑誌名: Robotics and Autonomous Systems (公開日: 2026年1月8日, IF: 6.0, Q1 journal)
DOI: 10.1016/j.robot.2026.105329
URL: https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0921889026000023
(オープンアクセスのためこのサイトから閲覧できます)
問い合わせ先
兵庫県立大学 大学院工学研究科 工学専攻 機械工学分野
角田 祐輔(ツノダ ユウスケ)
WEB ページ: https://sites.google.com/view/tsunoda-lab-fsr/home
TEL:079-260-8011(代表)
E-Mail: tsunoda@eng.u-hyogo.ac.jp
同時資料提供先
大阪大学、東京大学、北海道科学大学、大阪工業大学
