減災復興政策研究科

誰一人取り残さない社会を創る人になる

阪神・淡路大震災の経験に基づき、減災と復興を表裏一体のものと捉え、減災復興の研究、施策の立案・実施、地域や学校での防災教育の推進等の取組をリードする人材の育成を目指します。

重点的な研究領域

南海トラフ地震

南海トラフを震源とする大地震の30年以内の発生確率は80%とされています。南海トラフ地震臨時情報の運用も始められており、いつ地震が起きてもおかしくない時代を私たちは生きています。地震・津波の発生メカニズムを知るのみならず、災害が発生したときは的確に対応することにより被害を軽減し、被災した地域における持続的な復興を実現するための方策を探求します。

気候変動

気候変動の影響をうけて、豪雨による水災害は日本のみならず世界でも増加・深刻化しています。被害を防ぐには、堤防等のハード対策に加え、浸水が想定されるエリアの土地利用規制や住まい方の工夫、浸水リスクが高まった時の避難対策など多角的なアプローチが求められます。被害を防ぐという観点にとどまらず、リスクとどう共生していくかを考えます。

国際防災

日本は自然災害が多発しますが、世界的にもアジアは自然災害による人的・経済的被害が大きく地域全体として減災を推進する必要があります。減災復興政策研究科のキャンパスがあるHAT神戸には、国連防災機関(UNDRR)、アジア防災センター、アジア太平洋地球変動研究ネットワーク(APN)、国際協力機構(JICA)、WHO神戸センター等の多様な国際機関があります。これらの機関と連携して、世界をリードする減災復興研究を行います。

教育研究上の目的・三つのポリシー等

教育研究上の目的
  1. 本研究科は、阪神・淡路大震災の経験と教訓、20年以上に及ぶ復興の知見、さらには東日本大震災等の課題を踏まえ、減災復興に関する領域で政策立案や計画策定を担える知見と能力を修得し、減災社会や復興に貢献する人材を育成することを目的とする。
  2. 修士課程においては、学士課程を修めた学問分野で培った知識を土台とし、減災復興に関する専門的知識と実践的対応を修得する教育を行い、災害に強い社会づくりの中核となる人材を育成する。
育成する人材像

博士前期課程

  1. 災害を引き起こす要因を理解するとともに、災害前の備えや災害後の対策等を講じることができる能力を有する人材
  2. 人の心理や行動を理解するとともに、多様な主体が協働して減災害復興政策を推進する
  3. 減災復興政策に関する教育研究に立脚し、新たな分野を切り拓く論理性や独創性を有する人材

博士後期課程

  1. 研究者として減災復興政策に関する理論構築ができる能力を有する人材
  2. 行政、企業、NPO、学校等において、減災復興政策部門で専門性を活かしてリーダーとしての役割を担い、トップに助言できる能力を有する人材
  3. 国際防災関係機関等において国内外の災害教訓を活かし、防災協力に貢献できる能力を有する人材
ディプロマ・ポリシー

博士前期課程

各領域を学修することにより、以下の能力をいずれも修得したものに学位を与える。

  1. 災害を引き起こす要因を理解するとともに、災害前の備えや災害後の対策等を講じることができる能力を有している。
  2. 人の心理や行動を理解するとともに、多様な主体が協働して減災復興政策を推進することができる能力を有している。
  3. 減災復興政策に関する教育研究に立脚し、新たな分野を切り拓く論理性や独創性を有している。

博士後期課程

各分野を学修することにより、以下の能力を修得したものに学位を与える。

  1. 減災復興に関連する分野で高度な理論を構築できる能力。
  2. 減災復興政策を理論化、体系化する上で創造性を発揮し、学術的に発信できる能力。
  3. 減災復興政策について客観的視点に立って論理的に提言できる能力。
カリキュラム・ポリシー

博士前期課程

博士前期課程では、「災害科学」「減災コミュニケーション」「減災復興ガバナンス」からなる3つの領域を学修することにより、災害に強い社会づくりの中核となる人材を育成することを目的とする。
前期課程には多様な出身分野の学生が集まると考えられることから、減災復興に関する基礎的素養を学修するための基礎科目を提供するとともに、それぞれの専門性が深められるよう、各領域に関する専門科目を提供する。
基礎研究では、学生が調査、研究を主体的に行えるよう指導を行い、発展研究での修士論文作成につなげる。
基礎科目、基礎研究、発展研究は必修科目とし、専門科目は各領域から1科目を選択必修科目に、それ以外を選択科目とする。

(学修成果の評価方法)

学修成果の評価は、試験、レポ-ト、参加度、発表内容、論文の審査結果等により、学修目標に即して多面的な方法で行う。

博士後期課程

博士後期課程では、ディプロマポリシーに示した人材を育成するために、以下のカリキュラムポリシーにより、体系的・段階的な教育課程を編成・実施する。

  1. 体系的・段階的な教育課程の編成・実施
    減災復興政策という新たな学問分野を理論的・実践的に研究・創造する能力を備えた研究者や第一線の場で活躍する専門家を育成するため、「災害科学」と「減災コミュニケーション」、「減災復興ガバナンス」の三つの分野を設けるとともに、基礎的な研究能力や専門知識を修得するための基礎科目(6単位)、博士論文の研究、執筆に必要な指導を受ける特別研究(12単位)の2区分からなる体系的・段階的な教育課程を編成・実施する。
  2. 研究指導グループと全教員参加の中間報告会による集団的な研究指導体制
    減災復興政策を理論化、体系化する上で必要な学術的独創性と高度な理論構築、及び社会への提言等を行う能力を修得するため、特別研究では、主指導教員1名と副指導教員2名による研究指導グループによって、学生の研究テーマに応じた幅広い学問的視点から研究手法、論理性、独創性等に関する助言、指導を受けられる体制を構築する。さらに、全教員参加を原則とする年2回(3年次1回)の中間報告会を設け、全ての教員が博士論文の進捗状況を確認し、それぞれの知見から助言、指導を行う機会を設ける。

(学修成果の評価の方法)

学修成果の評価は、試験、レポート、参加度、発表内容、論文の審査結果等により、学修目標に即して多面的な方法で行う。

アドミッション・ポリシー

求める学生像

博士前期課程

本学ならびに他大学・大学院において、自然科学分野や社会科学分野などの専門分野を修め、将来、減災復興学に関する専門家として活躍が期待される人を求める。減災復興学に関連する学問は多岐に渡るため、出身学部において身につけた基礎的素養をもとに、様々な角度から減災復興学を学修する意欲のある人を入学させる。社会人については、職場での経験を踏まえ減災復興学に関する理論と実践を学修したい人も対象とする。多様な背景を持つ学生が混在し、互いに切磋琢磨する教育研究環境の実現を目指す。

  1. 本研究科の理念と教育(目標・内容)を十分に理解している人
  2. 次代を担う、社会に貢献する等の目的意識を持って自らの能力を伸長しようとする勉学意欲にあふれた人
  3. 論理的思考や表現力など、志望する専門分野にふさわしい適性を有する人

博士後期課程

本研究科の博士前期課程を修了し修士の学位を取得した人の他、本学の他研究科または他の大学院において、自然科学分野や社会科学分野などの専門分野で修士の学位を取得し、将来、減災復興学に関する専門家として活躍が期待される人を求める。減災復興学に関連する学問は多岐に渡るため、出身大学院において身につけた専門的素養をもとに、様々な角度から減災復興学を学修する意欲のある人を入学させる。社会人については、修士の学位に相当あるいはそれ以上の学力を有し、職場での経験をもとに、減災復興学に関する高度な理論を構築する意欲のある人も対象とする。
求める人材像としては、以下のとおりである。

  1. 本研究科の前期課程での3つの領域を理解し、それを基盤に減災復興政策学に関する高度な理論を構築する意欲のある人
  2. 減災復興政策に関連する分野で行政、企業、NPO、研究機関等で勤務した十分な実績を有しており、その理論化、体系化を図る意欲のある人
  3. 国際防災協力を理解するとともに、英語力にも長け、国際舞台で活躍する意欲のある人

アドミッション・ポリシー

博士前期課程

  1. 知識・技能
    学士課程卒業相当の専門性と教養を身に着け、自らの思考・判断のプロセスや結果を説明するに必要な知識・技能を有している。
  2. 思考力・判断力・表現力
    与えられた課題に対して学士課程卒業に相当する程度の理解力があり、自身の考えを表現するコミュニケーション能力とプレゼンテーション能力を有している。
  3. 主体性・多様性・協働性
    自らの研究課題を意識し、それに主体的に取り組もうとする意欲に加え、多様な文化や価値観にも関心を抱き、様々な人々と協働してこれまでの災害の経験を踏まえ地域に貢献する意欲を有している。

博士後期課程

  1. 知識・技能
    修士課程修了相当の減災復興政策の専門性と教養を身に着け、自らの思考・判断のプロセスや結果を論理的に説明するに必要な知識・技能を有している。
  2. 思考力・判断力・表現力
    自らの課題を探究する上で、修士課程修了に相当する程度の理解力があり、自身の考えを表現するコミュニケーション能力、プレゼンテーション能力、記述力を有している。
  3. 主体性・多様性・独創性
    自らの研究課題を意識し、それに主体的に取り組もうとする意欲に加え、多様な文化や価値観を尊重した上で、独創的な研究に反映できる能力を有している。

入学者選抜の基本方針

博士前期課程

本研究科では、大学で、自然科学分野や社会科学分野で学士を取得した人、高等専門学校の専攻科を修了した人、社会人として本研究科の研究課題と関係のある業務に携わってきた人など、広い分野からの学生を求めている。博士前期課程では、推薦入学者特別選抜、一般入試選抜を実施している。入学者の選抜は、推薦入学者特別選抜では「口頭試問と面接審査」および出願書類、一般入試選抜では「小論文、口頭試問と面接審査」および出願書類により、志願者の能力や資質に関した総合的な評価に基づき、適切な人材の選抜を実施している。

博士後期課程

本研究科では、博士前期課程あるいは修士課程で修士の学位を取得した人、社会人として本研究科の研究課題と関係のある業務に携わってきた人など、広い分野からの学生を求めている。博士後期課程では、一般入学者選抜を実施している。入学者の選抜は、口頭試問と面接審査、および出願書類により、志願者の能力や資質に関した総合的な評価に基づき、研究能力を有する適切な人材の選抜を実施している。面接審査において研究計画内容の発表によりプレゼンテーション能力についても評価する。

入学前に学習しておくことが期待される内容

博士前期課程

それぞれの所属する大学学部等における学位プログラムにおいて、減災復興学に関する学習をするために必要な学士課程卒業相当の基礎学力を身につけておくこと。

博士後期課程

それぞれの所属する大学院専攻科等における学位プログラムにおいて、高度な減災復興学に関する学習をするために必要な博士前期課程修了相当の基礎学力を身につけておくこと。