政策科学研究所

近年の急速に進む社会経済情勢の変化に対して、その要因を解明する様々な研究や関連する政策提言などを行う機関です。現在の政策科学研究所の主なテーマは、脱炭素社会の構築を意識した社会科学研究です。SDGsに示される開発目標をふまえ、私たちの暮らしを持続可能な形で改善するための研究や政策提言活動を多角的に展開しています。サステイナブル社会の実現にむけた文理融合型シンポジウムも定期的に開催しています。

取り組む研究テーマ

小経済下の地域の「未来」をデザインします。

地域の再生は、日本全国で顕在化している政策課題ですが、多様で問題が複雑に絡みあっているために、画一的な尺度で再生提案を見出すことは困難です。地域の皆さんと一緒に課題が何かを見出し、また小さな実験を繰り返し試みることで、安全・安心に暮らすことができる地域づくりを支援することができると考えています。たとえば、高齢化が加速するニュータウンの再生なども多くの課題に直面しています。政策科学研究所では本学経済学部や隣接部局と連携しながら、最新のまちづくり理論を視座に置いた再生研究や学生・院生と地域住民が協働で地域活性化に向けたワークショップ開催や小さな実験から再生提案を行います。この他、パネル・ベイとして衰退から再生への経路を歩み始めた大阪湾ベイエリアをフィールドに、グローバル展開する企業や地域に根ざした中小企業と連携しながら中長期的視点から地域経済のあり方を検討します。また、海外NPO・大学と連携しつつ、台頭する社会的企業の役割や醸成課題、地域社会・経済へのインパクト等について国際比較研究を行います。

変化する世界の産業地図と連動する地域企業や産業の「力」をデザインします。

地域の産業は、今、大きな変化に直面しています。グローバリゼーション、とりわけ東アジアとの経済統合は、様々な局面で地域経済の構造変化を顕在化させています。一方、コロケーション(地域化)も同時に進行しています。メガ・リージョン(国境を越えた広域大都市圏)の世界的展開は、国の競争力の時代から「地域」の競争力が問われる時代へと変わってきました。産業クラスターに根ざした多くの企業が、アジアの生産ネットワークと接点を有することは、世界的な知識創造型価値連鎖の深化においても不可避なのです。さらに、旧東欧諸国などの新興国市場(emerging market economy)との関係形成も見逃せません。政策科学研究所では、地域企業がこうした圏域とグローバル・ネットワークを形成する際の、市場アクセスに関わる様々な角度からの課題を研究します。こうした異なる文化圏とのネットワーク形成には、法律、文化、社会などを統合した視点から経済活動の基本的ルールの包括的相互理解が必要です。政策科学研究所では、国際共同研究等を通じて東アジアなど新興国市場圏域の大学・研究機関等との幅広い創造的な連携を構築することによって、変化に直面する地域企業や産業の活性化を支援します。