地域資源マネジメント研究科

コウノトリの野生復帰、ジオパーク、地域社会づくりを現場で学ぶ

地球科学(ジオ)・生態学(エコ)・人文社会科学(ソシオ)の3つの学問分野を基盤として、地域資源マネジメントという新たな分野の開拓と、その理論とスキルを兼ね備えた人材育成を目指しています。

研究部門紹介

ジオ研究部門

「山陰海岸ジオパーク」を研究フィールドに、地質学・生涯教育・地域づくりの専門家がそれぞれの基礎的研究を推進するとともに、行政や民間と協力し、生涯学習や地域づくりの面から山陰海岸ジオパークの活動を支援しています。ジオパークに見られる地質現象の本質を捉え、大地形成のストーリーを構築し、多様な大地とそこにすむ生物や人々の暮らしとの関係性を明らかにするほか、それらを反映した教材開発や定常的なセミナー、キャラバンなどの生涯学習イベントを実施し、ジオパークリテラシーの涵養とより良いネットワークのあり方を探っていきます。

エコ研究部門

日本から野外繁殖個体群が一度絶滅したコウノトリを含む流域生態系の保全と復元を主な研究テーマとしています。そのために、生態学的、行動学的および応用生態工学的な研究を行いながら、様々な生物や景観の保全と復元に関する研究を進めています。これらを通じて、地域に内在する「大地・自然・人間のつながり」と関係性を科学的に解明します。

ソシオ研究部門

人々が周囲の自然環境を利用して生活を営むなかでつくりだした様々な歴史的・文化的産物(史跡、伝承、民俗、文化財、町並など)を調査・研究していきます。現代や未来の社会のなかで、これらも貴重な「地域資源」としての新たな価値を与え、どのように見出し、保全・活用していくことができるかといった実践的な問題までを視野に入れた研究や教育活動を目指しています。

教育研究上の目的・三つのポリシー等

教育研究上の目的
  1. 本研究科は、地球科学・生態学・人文社会科学という三つの学問分野を基盤としながら、これらの分野が時間スケールを相違えながらも共有する「地域の歴史」を認識の縦軸、これらが共通に扱う「地域社会」を認識の空間的な横軸として、地域の自然・社会・文化の関係性を重層的・有機的つまり構造的に解明し可視化する「人と自然に関する高度な教養」を真正面から取り扱う新たな統合分野を切り拓き、このことにより、地域の人と自然の歴史を踏まえて地域資源マネジメントを行い、地域社会の再生をになう人材を育成することを目的とする。
  2. 修士課程においては、地域に内在する「自然・社会・文化のつながりと関係性」を科学的に解明し、構造的に理解・認識する能力、つまり「人と自然に関する高度な教養」を身につけた上で、住民との連携・協働のもと、成果を地域に還元することのできる人材を育成する。
育成する人材像

博士前期課程

地域資源の発掘および活用を通した保全を行う地域資源マネジメントを実行することにより、地域特有の自然を基盤とする、持続可能で健全な地域社会の再生に貢献できる専門的職業人の育成をめざす。

博士後期課程

地域資源マネジメントの理論と実践を発展的に繰り広げ、人と自然の関係論とマネジメントの共進化を通じて地域資源マネジメント学の構築に貢献できる実践的科学者の育成をめざす。

ディプロマ・ポリシー

下記の能力を身につけた学生に学位を授与する。

博士前期課程

本研究科における体系的学習を通して、地域に内在する「自然・社会・文化のつながりと関係性」を科学的に解明し、構造的に理解・認識する能力、つまり「人と自然に関する高度な教養」を身につけた上で、住民との連携・協働のもと、成果を地域に還元することのできる能力を身につけた者に学位を授与する。

(専門知識・技能)

DP1.知識:地域資源マネジメント学を実践できる知識と研究能力
DP2.創造的な課題解決力:地域資源マネジメント学の立場から創造的思考を用いて地域の諸課題を分析し理解できる能力
DP3.学際性:複数の学問領域から課題に対応しようとする意識

(汎用的知識・技能)

DP4.人間性:研究と実践における高い倫理観と責任感
DP5.コミュニケーション能力:専門的な知見を、社会にわかりやすく伝える能力
DP6.国際性・地域性:国際社会や地域社会に向けて貢献しようとする意識

博士後期課程

地域資源マネジメントの理論と実践を発展的に繰り広げ、オリジナリティに富んだ人と自然の関係論を構築し、この新たな関係論の基盤とマネジメントの交互作用により、さらに実効性のある地域資源マネジメントを実践する、という地域資源マネジメント学の構築に貢献する者に授与する。

(専門知識・技能)

DP1.知識:地域資源マネジメント学を実践できる深奥な学識を持ち、自身および他の研究者による研究成果を正しく評価・判断できる高度な研究能力
DP2.創造的な課題解決力:地域資源マネジメント学の立場から創造的思考を用いて地域の諸課題を専門的に分析し解決できる能力
DP3.学際性:他の学術分野やセクターと協働・協力し複数の学問領域から課題に対応しようとする意識

(汎用的知識・技能)

DP4.人間性:研究と実践における高い倫理観と責任感を持ち、次世代を担う学生を正しく教育指導する能力
DP5.コミュニケーション能力:専門的な知見を、社会にわかりやすく伝え役立てることができる能力
DP6.国際性・地域性:国際社会や地域社会に向けて貢献する実践的能力

カリキュラム・ポリシー

博士前期課程

地域資源マネジメントの土台をつくる「基盤科目」、方法論と実践能力を培う「共通演習科目」、分野を越えた構造的な理解力を培う「専門科目」、の3段階のカリキュラム体系とする。そして、各段階に、統合を志向する分野横断的な科目群と、統合の材料として必要な各分野の高度な基礎理論を提供するベーシックな科目群を配置する。

博士後期課程

地域資源マネジメントに関わる博士論文研究に必要不可欠な幅広く高度な見識と研究方法を身につける「専門科目」、人と自然の関係論構築能力と社会的実践によるマネジメント力を涵養し、関係論とマネジメント力の交互作用による学術的独創性の獲得ができる「特別研究」というカリキュラム体系とする。

学修の成果評価方針

試験、レポート、参加度、発表内容、論文の審査結果等により、学修目標に即して多面的な方法で行う。

アドミッション・ポリシー

求める学生像

博士前期課程

本研究科では、地域における自然・社会・文化のつながりと関係性に関心をもち、本研究科の理念を理解し、将来的に地域資源マネジメント研究科に携わる能力と意欲に満ちた学生を自然科学系や人文社会科学系など幅広い分野から受け入れる。

博士後期課程

本研究科では、地域における自然・社会・文化のつながりと関係性に関心をもち、本研究科の理念を理解し、地域資源マネジメントに関する理論とスキルに裏付けられた研究能力を有すると認められる学生を受け入れる。

アドミッション・ポリシー

博士前期課程

  1. 知識・技能
    地球科学・生態学・人文社会科学に代表される地域資源の利活用に関連した学問分野の基礎的な知識と技能を有し、その発掘を求める人
  2. 思考力・判断力・表現力
    人と自然に関する幅広い教養にもとづき、地域資源のワイズユースについて多面的に思考し、それを表現する能力を有し、その発掘を求める人
  3. 主体性・多様性・協働性
    地域の多様な主体との協働にもとづき、持続可能な地域の発掘に貢献する意欲がある人

博士後期課程

  1. 知識・技能
    地球科学・生態学・人文社会科学に代表される地域資源の利活用に関連した学問分野の専門的な知識と技能を有する人
  2. 思考力・判断力・表現力
    人と自然に関する高度な専門学識と柔軟な思考力にもとづき、オリジナリティに富んだ研究を行ない、その成果を表現できる人
  3. 主体性・多様性・独創性
    地域の多様な主体との協働にもとづき、実効性のある地域資源マネジメントを可能とする地域資源マネジメント学を発展させる意欲がある人

入学者選抜の基本方針

博士前期課程

入学者の選抜にあたっては、一般入試、推薦入試、特別推薦入試などの入学者選抜方式によって多様な入学志願者に対応するとともに、一般入試は同一年度に複数回の入学試験を実施する。

  • 一般入試では、小論文試験および口述試験を実施し、総合的に判定する。小論文は、地球科学・生態学・人文社会科学の3領域から1つ選択させ、地域資源マネジメント分野の研究に必要な基礎的な知識や技能、論理的思考力、研究しようとしている分野の専門的知識を判定する。口述試験は、研究計画書などの提出書類を参考とし、出願者の基礎的研究能力、研究に対する関心・意欲・適性、研究を通して地域社会に貢献しようとする意欲、研究しようとしている分野の専門的知識や技能に加え、プレゼンテーション能力やコミュニケーション能力を判定する。
  • 推薦入試では、口述試験を実施し、総合的に判定する。推薦入試は、学士課程などにおいて志願者を指導し、その諸能力や性格、資質を知悉する教員から、地域資源マネジメント分野の研究に必要な基礎的な知識や技能、論理的思考力をすでに身に付けているとして推薦された者を対象としている。このため小論文試験は行わず、口述試験で研究計画書などの提出書類を参考とし、出願者の基礎的研究能力、研究に対する関心・意欲・適性、研究を通して地域社会に貢献しようとする意欲、研究しようとしている分野の専門的知識や技能に加え、プレゼンテーション能力やコミュニケーション能力を判定する。
  • 特別推薦入試では、口述試験を実施し、総合的に判定する。特別推薦入試は、職場において志願者を指導し、その諸能力や性格、資質を知悉する地方公共団体の長(研究機関の長)から、地域資源マネジメント分野の研究に必要な基礎的な知識や技能、論理的思考力をすでに身に付けているとして推薦された者を対象としている。このため小論文試験は行わず、口述試験で研究計画書などの提出書類を参考とし、出願者の基礎的研究能力、研究に対する関心・意欲・適性、研究を通して地域社会に貢献しようとする意欲、研究しようとしている分野の専門的知識や技能に加え、プレゼンテーション能力やコミュニケーション能力を判定する。

博士後期課程

入学者の選抜にあたっては、同一年度に複数回の一般入試を実施する。

  • 一般入試では、小論文試験、口述試験を実施し、総合的に判定する。小論文は、地球科学・生態学・人文社会科学の3領域のうちから出願者の研究分野を出題し、地域資源マネジメント分野の研究に必要な論理的思考力、研究しようとしている分野の専門的知識や技能を判定する。口述試験は、研究計画書などの提出書類および研究計画についての口頭発表を参考とし、出願者の専門的研究能力、研究に対する関心・意欲・適性、研究を通して地域社会に貢献しようとする意欲、研究しようとしている分野の専門的知識や研究の構想力に加え、プレゼンテーション能力やコミュニケーション能力を判定する。