妊娠期から切れ目ない子育て支援に携わる看護職の皆さまへ

看護職向け子育て支援情報サイト

妊娠期からの切れ目ない
子育て支援って
どうすれば良いの??

具体例をご紹介します!

これまで当研究センターが行ってきた知見(主に子育て世代包括支援センターの看護職に行ったインタビュー内容)をもとに、妊娠期からの切れ目ない子育て支援として看護職が行っている内容や工夫などの具体例をご紹介します。

安心して相談してもらうためには?

相談しようと思える関係づくり

  • 妊婦に「面接に来てよかった」と思ってもらえるように、その場で問題解決につながる情報を提供している。

  • 妊婦が産後の生活について考える中で選択に迷う場合は、妊婦自身が一番リラックスして幸せな方法を一緒に考えている。

  • 妊娠中から訪問・電話をすることで、出産後、一番大変な時期である生後1か月までにSOSを出して貰える関係を作ることを心掛けている。

相談窓口をわかりやすく

  • 市町の中に複数あった相談窓口を一つにすることで、子育てや育児の悩み・不安に関する相談先をわかりやすくした。

  • 母子健康手帳交付時や家庭訪問等の機会に、父親や家族にも保健師につながる連絡先を伝えている。

  • 子育て世代だけでなく地域全体に子育てに関する相談窓口を周知するために、広報や市町のホームページに相談窓口を掲載している。

関係者間の情報共有をスムーズに

  • 妊娠中は、妊娠期に詳しい子育て世代包括支援センター職員(助産師)と地区担当保健師が一緒に動く。

  • 関係者とタイムリーに情報共有ができるように、その日のうちに進捗状況を記録している。

  • 妊娠連絡票を直接届ける、養育支援ネット会議に参加する、産後ケア事業について話をする等、医療機関の医療者と直接会う機会を作って顔つなぎを行っている。

支援が必要な家庭をもらさず把握するためには?

妊婦面接でのスクリーニング

  • 市町の中に複数あった母子健康手帳交付場所を1か所に統一して妊婦の全数面接を行っている。

  • 母子健康手帳交付場所が1か所であるため、来所して貰えるようにタクシー券を配布している。

  • 母子健康手帳交付時、保健師・助産師・管理栄養士の3者と全て個別に面接する形で行い、多様な視点で困り感がないか把握している。

  • 妊婦面接の曜日を固定し、担当者を配置している。その曜日に来られない妊婦に対しては他の看護職が対応し全数面接している。

  • 面接では情報を丁寧に聞き取り、支援の必要性を見極めるために不安・心配・困っていることを引き出している。

  • 今後の支援を受け入れ、看護職や関係機関とつながるために、大丈夫かなと思う妊婦の場合は面接に時間を割き、対象との関係性を築くようにしている。

  • 見極めの曖昧さをなくすため、支援が必要と判断する項目を明確にし、短時間で記載できる面談票を作成した。

アンケートでのスクリーニング

  • 母子健康手帳交付時に、看護職による面接を行っていない妊婦に対しては、アンケートを配布・回収することで妊婦の状況把握を行っている。

  • アンケートで支援が必要か査定し、気になる妊婦には電話連絡を行っている。

自ら支援を求めない家庭を把握するために

  • 母子健康手帳交付後に、家庭状況が変化することもあるため、妊婦が参加できる事業に出向く等、妊婦と複数回妊娠中に出会うことで状況を確認している。

  • 全ての妊婦に対して、妊娠8~9か月頃に訪問か電話でコンタクトをとっている。

  • 子育てがうまくできない生活環境や妊婦・家族の状況があれば、意識的に今までの経過や経歴を聞き、妊娠期・新生児期に積極的に連絡して訪問している。

  • 全ての妊婦の台帳を作成して管理している。

支援を要する家庭と継続的に関わるためには?

妊婦との関係づくり

  • 若年妊婦には、電話、家庭訪問、手紙を送るなど相手の状況に合わせて工夫している。

  • 自ら電話をかけてSOSは出せないがメールなら発信できる母親の場合、メールでやりとりしている。

  • 精神疾患がある人には、本人から相談してみようと思ってもらえるように、妊娠中から病院と連携して関わり、妊娠経過や入院中・産後の状況を把握して産後訪問につなげている。

切れ目なく支援を続けるために

  • 継続支援が必要なケースは子育て世代包括支援センター看護職が担当し継続して支援している。

  • 地区担当保健師にスムーズに引き継ぐために、連携簿等で情報共有している。

  • 引継ぎ時は、同行訪問時に地区担当保健師を紹介する等、妊婦や産後の母親が新たな担当者と関係性が築けるように働きかけている。

  • 支援が必要な妊婦や関わりの難しい妊婦は、医療機関と情報共有し連携して関わっている。

  • 産後すぐに関わった方が良い場合は、妊娠中から地区担当保健師や関連部署、要保護児童対策地域協議会等で情報共有し、関係職員とともに見守っている。

文献(詳細を知りたい方は、周産期ケア研究センターまでご連絡ください)
  • 小巻京子,槻木直子,岩國亜紀子,川下菜穂子,宮川幸代,箕浦洋子,山本あい子,工藤美子.子育て世代包括支援センターで活動する看護職が提供している妊娠期からの切れ目のない子育て支援についての調査.神戸看護学会第2回学術集会抄録集.2019,28.