2026.10.15
プレスリリース 理学部・理学研究科

硫黄生成のメカニズムを解明
大量の溶融硫黄を噴火する世界遺産・知床硫黄山
知床硫黄山で大量の溶融硫黄を生成する地下構造と生成のしくみ

知床半島中央部に位置する知床硫黄山は、大量の溶融硫黄を噴出することで知られており、1936 年の噴火では11万6000トンという当時の日本の年間消費量に匹敵する液体の硫黄を噴出しました。このような噴火が過去に4回記録されています。他の火山では、噴気孔周辺に火山ガスから昇華した硫黄が付着している様子がしばしば見られますが、知床硫黄山の噴火は特異的であり、溶融硫黄が噴出されます。1936年の噴火では、標高600mの山腹にある1号火口(新噴火口)から溶融硫黄が噴出し、火口沢とカムイワッカ川へと流れ下りました。この硫黄は、肥料や火薬の原料として日本特殊鉱業により大 規模に採掘されました。硫黄の純度はほぼ100%に達し、ほとんど精錬を必要としないほど高純度でした。

大阪市立自然史博物館・外来研究員の山本睦徳、京都大学大学院工学研究科の柏谷公希、Brenda Ariesty Kusumasari、多田洋平、小池克明、兵庫県立大学大学院理学研究科の後藤忠徳らの研究グループ は、溶融硫黄を噴出する1 号火口とカムイワッカ川で湧出する温泉水、および周辺の河川水の水素・酸素同位体比を分析することで、火口周辺の地下水の流れと安山岩水(マグマ起源の水)の混合が生じる領域、溶融硫黄の生成プロセスについて解明しました。

山体上部の標高860m 前後で降った雨が帯水層に入り、地下水として流下します。その途中の標高 700m 付近でマグマ起源の安山岩水が混入します。同時に硫黄を含む二酸化硫黄や硫化水素が地下水に 混入して温泉となり、その中で二酸化硫黄と水との反応により硫黄も生成し、温泉は帯水層を流れ下っ てカムイワッカ川右岸(北岸)で湧出します。また、安山岩水が帯水層と混入したときの温度は176℃ と推定でき、これは硫黄の融点より高いので、硫黄は生成した時点で溶融状態であることがわかりまし た。現在、カムイワッカ川の温泉水に含まれる安山岩水は11~12%程度ですが、活動期には安山岩水の割合が増え、硫黄が大量に生じる可能性があり、これが1936年の大規模溶融硫黄噴出につながったと 考えられます。

本研究成果をまとめた論文は、2026年7月8日に、火山学・地熱学の専門誌である国際学術誌 「Journal of Volcanology and Geothermal Research」で公開されました。

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別添資料のとおり

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