研究科紹介

ジオ・エコ・ソシオの3領域

ジオ研究部門

『山陰海岸ジオパーク』を研究フィールドに、地質学/生涯教育/地域づくりの専門家がそれぞれの基礎的研究を推進。また、行政や民間と協力し、生涯学習や地域づくりの面から山陰海岸ジオパークの活動を支援している。
本研究部門では、ジオパークに見られる地質現象の本質を捉え、大地形成のストーリーを構築し、多様な大地とそこにすむ生物や人々の暮らしとの関係性を明らかにしていく。そしてそれらを反映した教材開発や定常的なセミナー、キャラバンなどの生涯学習イベントを実施し、ジオパークリテラシーの涵養とより良いネットワークのあり方を探っていく。

【山陰海岸ジオパークとは】
平成22年「世界ジオパークネットワーク」への加盟が認定された『山陰海岸ジオパーク』。ジオパークとは、貴重な地形・地質やそれらに関係した自然・文化などを見どころとする地域のこと。『山陰海岸ジオパーク』は、京都府(京丹後市)、兵庫県(豊岡市・香美町・新温泉町)、鳥取県(鳥取市・岩美町)にまたがる広大なエリアを有する。東西約110km、南北最大30kmに及び、面積は2185.9km2で大阪府よりも大きく、東京都とほぼ同じ広さ。そこでの活動の柱は、

1.それぞれの地域の伝統と法に基づき地質学的遺産を確実に保護すること、
2.博物館や自然観察路などを整備しガイド付きツアーやセミナーなどを行うことにより教育・普及活動を推進すること、
3.ジオツーリズム・観光・産業などを通して地域の持続可能な社会・経済発展を育成すること、
である。

【研究テーマ】
岩石学・堆積学・地球物理学から見たジオパークの大地形成過程の解明に関する研究
地質多様性にかかわる生物と人のくらしの関係性構築に関する研究
地質現象の可視化を通した教材開発と活用に関する研究
実践を通したジオパークリテラシーの涵養とネットワークづくりに関する研究


エコ研究部門

コウノトリの野生化の実践的研究
コウノトリの野生化をメインテーマに研究を行っている。
野生化を成功させるには、飼育環境・自然環境・社会環境の3つの柱を同時に確立できなくてはならない。人工繁殖、放鳥、野外での繁殖・巣立ちまでに至った例はまだ少なく、当部門では野生化に向けてさまざまな専門分野の研究手法を取り入れながら総合的な研究を展開している。

飼育環境においては人工繁殖の研究、繁殖ペアの育成や野生復帰のための行動解析、DNA解析による家系分析と系統管理などを行っている。また、自然環境では餌、巣作りといった生息地に適する自然環境の把握、野外コウノトリの生態や行動を把握するための調査などを行う。社会環境については、生息地や周辺に住む住民がコウノトリをどのように感じているのかといった社会学的情報収集も実施する。観察会やボランティア活動などを通して環境保全への意識を高める機会も実践的研究の一部として行っている。自然・環境・生態・社会など異なる研究分野の手法を用いて横断的な研究を展開し、3本の柱を確立することを目指す。

【研究テーマ】
絶滅の危機にある野生大型鳥類の保全生態に関する研究
流域生態系の管理と魚類の保全生態に関する研究
半自然植生の管理と植物の保全生態に関する研究
自然環境を主な資源とした地域づくりに関する研究


ソシオ研究部門

古文書の調査地域住民との座談会「コウノトリ茶話会」沿岸部の集落
人々が周囲の自然環境を利用して生活を営むなかでつくりだしたさまざまな歴史的・文化的産物(史跡、伝承、民俗、文化財、町並など)を調査・研究するとともに、現代や未来の社会のなかでこれらを貴重な「地域資源」としてあらたな価値を与え、どのように保全・活用していくことができるかといった実践的な問題まで視野に入れた研究や教育活動を目指している。

(1) 地域資源マネジメントと地域社会再生に関する基礎的研究 コウノトリやジオパークといった自然資源やそのマネジメントに係る社会資源・文化資源の保全と活用を通じた持続可能な地域社会再生について、人文社会科学の立場から調査研究を行う。
(2) 歴史資料の収集と活用事業  地域の信仰、文化などに関する歴史資料を収集し、その活用を通じて地域社会再生を推進する事業を企画・運営する。
(3) 地域社会再生にかかわる計画策定への寄与 自治体や地元住民と地域再生に関わるワークショップを実施するなど、地域の諸主体と協働し地域再生計画を策定することによって持続可能な地域社会の構築に寄与する。

【研究テーマ】
歴史文化遺産(文化財)にもとづく地域 社会・文化の形成や展開,また自然資源 と社会文化資源の統合的な活用に関する 研究
地域コミュニティ形成に関する研究
自然的・社会的特性にもとづいた地域生活空間の計画に関する研究