公立大学法人 兵庫県立大学大学院地域資源マネジメント研究科

研究科長挨拶

研究科長写真
江崎保男 教授

 兵庫県立大学地域資源マネジメント研究科(RRM)は、兵庫県北部に位置する但馬地方初の大学院として2014年4月にスタートしました。

 研究科設立に至る歴史のはじまりは、1999年の兵庫県立コウノトリの郷公園開設にあわせた兵庫県立大学自然・環境科学研究所田園生態系の立ち上げでした。「大学教員が県立組織の研究員を兼ねる」という兵庫県独自のシステムが、コウノトリの野生復帰という「科学理論を基盤とする実践」が求められる郷公園に適用されたのです。第2ステップは2010年、コウノトリの郷公園に付加された「ジオ環境研究部」でした。当時、山陰海岸ジオパークの国際認定に向けて、ジオパークに研究機能を付与することが求められたのです。そして、第3弾が、コウノトリとジオパークに人文社会科学を上乗せして、ふたつの自然科学(生態学・地球科学)との文理融合、さらには統合を果たそうというRRMの誕生だったのです。

 地域資源マネジメントという名称にはこれまでの歴史を集約する意味が込められています。まず「地域資源」とは、「地域に独自の歴史を有する資源」のことです。この地のコウノトリは城崎温泉の縁起に始まる1400年の歴史に裏打ちされており、山陰海岸ジオパークに至っては、1400万年前の日本海と日本列島の成立に始まる実に長い歴史をもっているのです。そして歴史は「人の記憶を辿る」ものなので、これらを統合するには、人の社会と文化を扱う人文社会科学が必須となるのです。また「マネジメント」ですが、ここでの意は「広い意味での経営=うまくやること」です。

 RRMでは「地域資源の統合的研究とワイズユースによる地域振興」をめざしています。そして対象となる地域資源はコウノトリやジオパークに限られる訳ではありません。たとえば文化資源は奈良や京都に限らず、どの地にも存在するのであり、それらを発掘するとともに「活用することによって保全する」。そのためには科学・学問の裏付けが必要不可欠だと考える次第です。

 皆様に私どもの教育研究活動を知っていただく為に、兵庫県随一の地方都市・豊岡から常に最新情報を発信していく所存ですので、何卒よろしくお願い申し上げます。