学生の声

【ため池みらいプロジェクト】
農業や里山など多彩な領域に関われるのは、ため池だからこそ。/環境人間学部 1回生

参加プロジェクト
ため池みらいプロジェクト
取材⽇
2023年2⽉
所属
環境人間学部 1回生
進路

 EHCで行われている様々なプロジェクトの中でも、特に活動の幅広さが印象的なのが「ため池みらいプロジェクト」。ため池をはじめ、ため池と関わりの深い農業や里山などでの活動に取り組む1回生3人に、このプロジェクトの魅力やため池の可能性について熱く語ってもらいました。

- まず、このプロジェクトに参加したきっかけを教えてください。

H.K:大学に入って、何もしなかったらそのまま過ぎてしまうなと思っていたんです。学生団体か何かに入って、自分がしてきたことを何か残してみたいなと思ったのがきっかけです。
もともと生態系に興味があったので、関わりが深そうだなと思って、このプロジェクトを選びました。生態系への関わり方にも色々あると思うんですけど、私はその場に行って、体を動かしたかった。自分で調べて、現状を見てってことをしたかったんです。


「ため池を通した地域交流、ため池の生態系に興味があります」/H.Kさん

N.S:柴崎先生の授業の後に、学生団体の紹介をする時間があって。その中でも特に「草刈り」の話に興味を持ったのが始まりです。草刈りの経験はなかったんですが、草抜きや掃除が好きだったので。
初めて参加した日は大人が10人くらい集まっていて、作業時間は2時間くらいだったかなぁ。機械ではなく、鎌で刈りました。草刈りの技術が全く無いところから始めたので全然できませんでしたが、スッキリした状態を見るのは気持ちよかった。一緒に作業した地域の方々と交流できたのも楽しかったです。


「ため池の管理・運営で大切なのは、コミュニケーションだなと思います」/N.Sさん

N.O:私は、ガーデンデザイナーとかランドスケープデザイナーになりたくて。柴崎先生が最初の授業後に「造園に関わる専門家から話を聞けたりするよ」とふわっと説明してくれて、気になったので行ってみたんです。
庭に関わることをしたいとは思っていましたが、実際にどういう人たちがどんな仕事をしているのか、ネットで調べても全然書かれていなくて。実際にお会いできたので、本当に行ってよかったです。


「里山の資源を活用する“山採り”の活動がおもしろいです」/N.Oさん

- 色んな活動がある中で、いま一番興味のあることを教えてください。

N.S:行政の方や地域の方とのコミュニケーション、ため池の管理運営体制です。
この活動に参加するようになってから、土地改良区という単語をよく聞くようになりました。私もまだ詳しいことは分からないのですが、土地改良区というのは、ため池に関わる色んな地域の人たちが協力してため池を管理している集団というか、町内会的な役割みたいです。土地改良区の理事の方同士のコミュニケーションとか、ため池管理者の方とのやりとりとか、管理していく上ではコミュニケーションって大事だなぁって思うようになりました。


ため池の水を田んぼに流す様子を見守る

H.K:さっき話したような生態系の他、ため池を通した地域交流に興味があります。
ため池の存在が忘れられて、管理がおろそかになってしまうという現状があって、ゴミが溜まったりするんですよね。本来の状態には存在しない人工物が捨てられているようなことが生態系に関わってくると思うので、そういう研究をしていきたい。自然系のゼミに入れたらなぁと思っています。

N.O:里山の資源を活用する「山採り」の活動に一番興味があります。
「山採り」というのは,山に自生している木を掘り起こして別の場所に植え替え、育てていくこと。JR姫路駅北にぎわい交流広場・キャッスルガーデンに植えた植物の管理、実際に山に入る活動にも参加しています。山に生えている時はただの木に見えるんですけど、専門家によると「この木は、家の庭に植える売り物になる」っていうのが、おもしろいなと。山の木がそんな風になるなんてって。 私が参加した「山採り」のイベントにはお知り合い同士が15人くらい集まっていて、マウンテンバイクを作っている人とか家具を作る人、ため池でサップ(大きなボードの上に立って、パドルで漕ぐスポーツ)をする人、地域の人、ため池みらい研究所の方など、ふだんはなかなか会えないようなおもしろい大人が大勢いたのもおもしろかったです。


「山採り」した植物を、手分けして運搬中

- 「ため池みらいプロジェクト」を、ひとことで表現すると?

N.O:自然とふれあえます。

H.K:はい、一番はそれですね。ため池とか里山とか、農業に関わることも多いです。人と関わるし、地域が近い。でもやっぱり、自然が一番だなと思います。


ふわふわのコットンの収穫をお手伝い

- 「ため池みらいプロジェクト」の活動日や活動場所、活動内容を教えてください。

N.O:現在の活動日は毎週木曜日、イベントがある時はプラス土日が2回くらい。月によって変わります。

N.S:山に行ったりするのも強制参加ではなく、興味のある人だけどうぞ、という感じ。

N.O:今日行ける人?はーい、行きまーす!みたいな感じです。活動場所は、EHCや加古川にある東播磨フィールドステーションの他、里山などの現場。あちこちに行けるのて楽しいです。
活動メンバーは、全体で10人くらい。みんな、環境人間学部の学生です。1回生の間は工学キャンパスで授業があって、木曜日だけ環境人間キャンパスで授業があります。木曜日の授業終わりの1~2時間にミーティングをしています。
ミーティングでは、柴崎先生が「今月こんなイベントがあるけど、行く?」とか、情報共有をしてくれて。自分が参加したイベントについて、参加していない子に「こんなことしてきたよ」「こういう人に会って、こんな話を聞いてきたよ」と話したり。

現在は、イベントのポスター制作組と庭(ビオトープ)組に分かれて活動しています。1時間で終わる日もありますが、今はEHCの前にある庭づくりをしているので、3~4時間活動している日もあります。


毎週木曜は、大事なミーティングの日

H.K:わたしは、ポスター班です。生態系だけでなく、デザインにも興味があったので。イベントが近づくと準備をしたり、準備のためのディスカッションをしたりと活動時間は増えますね。


ポスター班が企画・制作したポスター
>>別タブで拡大表示

- 今、最も力を入れている活動や今後やってみたいことは何ですか?

N.O:私は「山採り」です。それと最近、東播磨フィールドステーションで、子ども向けの「農村みらいスクール」が始まりました。農業とか、昔の人たちが普通にやっていたことを今の子どもたちは知らないから、一緒にやろうっていう取り組みです。

H.K:「農村みらいスクール」は、子どもと自然とつなげていく取り組みです。しめ縄を作ったり、メンバーの1人が企画した、子どもたちと一緒に日本産の米粉を使ってお団子を作るイベントをしたり。

N.O:昔の人は収穫した米のわらを干しておいて、しめ縄を自分で編んでいたそうです。私たちは全然うまくできなかったのですが、農家さんたちは編むのが早くて、めちゃくちゃ詰まってて、わらのトゲも出なくて、仕上がりがとてもキレイで。生活と農業が深く関係している領域なんだなという実感がありました。自分たちで麦茶を作るイベントにも参加しました。麦の穂をそいで、炒って、飲むという。


「農村みらいスクール」での、しめ縄づくり

- このプロジェクトは、どんな人におすすめですか?どんな人と一緒に活動したいですか?

N.S:自分の興味・関心を探したい人に向いていると思います。色んな大人に出会えたり、そんな職業があるんだ!っていう発見もあります。

H.K:ため池だけじゃなく、里山にも関わるし、農業もするし、子どもと楽しむイベントもするし。活動内容は、色んなことにつながっているため池だからこその幅広さがあります。私は生態系に興味があったけど、原点はとにかく「何かやりたい」でしたから。体を動かすのが好きな人が来てくれてもいいし。

N.O:ため池という名前が付いているけど、ため池だけではありません。ため池を見に行って、5分くらい眺めたら「さぁ、里山へ行こう」という展開が多いです(笑)。体を動かすのが好きな人、泥だらけになっても大丈夫な人、何でも楽しめる人にはとってもいいと思います。

- 今後、ため池やため池にまつわることがどうなったら素敵だなと思いますか?

N.S:ため池が、人と人、人と自然をつなぐ架け橋というか、中心的な役割になったら素敵だなと思います。今はまだ忘れられていることが多かったり、その地域に若い人があまりいないという現状があるので。

N.O:私はまだ、ため池そのものには関わったことがなくて。ため池まわりの農業とか、里山とか、ため池の管理の部分に関わる中、そういうこともすべてため池につながっているという話をよく聞きます。ため池を中心に、まわりの農業や里山が元気になったら嬉しいなと思っています。

H.K:ため池でイベントを開催するとか、子どもから高齢の方まで関われるため池の在り方があったらいいなと思ってて。忘れられて管理がおろそかになってしまっているのなら、人が集まることで注目度が上がるんじゃないかなと。そんな憩いの場、子どもの遊び場にもなったらいいなと思います。


関連リンク >> ため池みらい研究所 https://tameikemirai.com/

(写真/西松史純 聞き手/二階堂薫)
※写真撮影時のみ、マスクを外しております。

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