専攻概要

座談会:OB・OGが語る兵庫県立大学大学院経営研究科(MBA)

2015年5月2日(土)兵庫県立大学淡水サロン(神戸市中央区・三宮)にて

経営研究科の各コース(ビジネスイノベーションコース、地域イノベーションコース(一般)、地域イノベーションコース(中小企業診断士登録養成課程)、医療マネジメントコース)の修了生をお招きして、経営研究科での学生生活についてざっくばらんに語っていただきました。

3. 経営研究科修了後について

- 修了後の変化(仕事の進め方、物事の考え方、自身のキャリア、職場の処遇など)

話は変わりまして、修了後のことになりますが、院生の生活を終えられて、入学前とここが変わったな、というところはありますか?

亀井:診断士(の資格)をいただきましたので、念願の。診断士として兵庫県協会にすぐ入って、とりあえず全部自分でやってみる、ということで。とりあえず何でもやって、結果的に診断士の仕事、逆にまた問題意識ですよね。診断士って認知度も低いし、どんな仕事をしてどんなふうに独立して、みたいな。また企業内診断士もいますよね、粥川さんみたいに。企業内診断士が診断士(という資格を)をどう活かすかということと、独立してどうやって仕事をとってどういうふうにしていこうか、これも問題意識なんですけど。いずれにしても、感じるのは、県立大を出ていることがものすごくプラスですよね。協会も、結構評価していただいているようですね。


小川:私は、いろんな先生の授業スタイルを経験させていただいたというのが大きいですね。講演とかセミナーとか話す機会をたくさんいただいているんですけど、その根本になっているのは、大学院2年間の様々な先生の授業スタイルを経験させていただいたから、と思って。それが私にとって一番大きいところですね。


粥川:水を差すようなんですが、松下幸之助さんがね、経営は学校では学ばれへんで、とおっしゃったという話がありまして。それはそうだろうなと、亀井さんともそういう話をするんですけど、やはり現場でしか学べないし、学べる人は学べるし、同じ現場にいても学べない人は学べないのかもしれませんが。とはいえ、こういういろんな、経営されてる方、また企業内の方、診断士ずっと勉強されててやっと取ったという方、いろんな方と話をしたり2年間一緒にさせていただいた中で、現場でしか学べないにしても、その見方というか、ベースというのができて、あの人言ってたのはこんなことだったのだな、とかですね、そういうのが端々で思い出されるかな、と。先ほど皆さん人とおっしゃいましたけど、全くその通りで、経験できることを圧縮して2年間で色々やらせていただいたな、という気がしてますね。残念なのは、これをとったから会社から手当が出るとかは全くなくて(一同笑)。

もう少しアピールしていかないといけないですね。確かに経営学者って啓蒙できないのに何言ってんねん、というところが常にあるんですけど、そういう意味では、これが定石ですよ、と言ってあげるという役割があると思いますね。

大井:先ほども申し上げましたが、経営に必要な3要素は、「ヒト・モノ・カネ」と言われますが、その中でもやはり「ヒト」が一番大切だということが、大学院に来てよくわかりましたので、修了後は、人とのコミュニケーションを以前よりも丁寧にとるように、心がけるようになりました(一同笑)。あとは、私は理系学部出身で、自然科学系の書物しかほとんど読んでこなかったので、最初、社会科学系の書物はすごく読みにくかったです。(しかし)1年半でだいぶ慣れてきまして、修了後はそういった分野の本も徐々に読めるようになりましたので、最近は入学前に比べたら読書の時間は増えました。あと最後に、小川さんがおっしゃったように、私も病院で院内研修の講師をすることが多いですが、いかに参加者を眠らせないようにするか、ということを常に考えるわけですよね(一同笑)。そのときに一番役に立った、参考になったのは山口先生の授業ですね。山口先生の授業はとにかく体を動かすことを(されていて)。同じようなスタイルを取り入れて研修をさせていただいたら、参加者には好評だったので、ここで報告させていただきます。


木戸:卒業してから働き出しているので、仕事の前と後との比較はできませんが、自身のキャリアというところで、経営研究科を出ていることと、また、どこの金融機関も中小企業診断士を増やそう育てようという傾向があるので、つい先週ぐらいなんですけど、理事長から直々に(経営研究科)出てるんだから君は診断士を取りなさい、と。理事長からそう言われたら、頑張ってとろうかな、というのもあって。経営研究科を修了したということだけでそう言ってもらえたので、頑張ろうかな、と。


池添:私は、県立大に行ってなかった自分を想像すると不安になるくらい卒業後と(通う前と)大きく変わりましたね。一番大きかったのが、認知度の高いMBAを取得していることで取引企業の経営者が経営視点のお話をしてくれ、信用していただけるということです。一つ肩書が増えるだけで取引先様の見方が変わってくれるところで、私の中では仕事が進めやすくなりました。また、それが仕事への自信につながり、いい仕事ができるといういい循環ができています。 最近では、取引先の社長に「池添さんは診断士になって本当に変わった。なる前と比べると全然違う」といっていただけました。また、ものごとの考え方も変わってきたようで、最近スタッフが、「県立大学に行ったら池添さんみたいになれますか?」と聞いてきて、そういう意味では一緒に働いているスタッフが見ても、学校を出てから私は何か変わっているのだと思います。授業で得たことを一つ上げると、先ほど大井さんがお話したように、倫理観とか、会社をやっていく上で売上を上げることよりも大事なこと、ということを大学では勉強させていただいた、と思うところが大きく、スタッフや取引先様、協力会社様の大切さというものを改めて考えさせられました。大学入学前のままで今の立場で突っ走ってたら、今の組織もなく部下たちもついてきてくれたかわかりません。

いや、本当に、雇用保険さえ入ってもらっていたら(教育訓練給付が受けられるので)。

池添:はい、うちのスタッフ入っているので。

金額の上限など細かい規定があるんですが、入学金や学費として支払った額の4割が給付されます(一同驚)。前は10万円までしか給付されなかったんですけど。

小川:教育訓練給付金、というやつですか?それがそんなに良くなったんですか?

そうです、最近、専門職大学院のカテゴリが出来たんです。カテゴリが出来たので、給付が多くなったんです。給付を受けるには、事前にハローワークに行って、とか、色々手続きがあるんですけど。細かい手続きがあって、条件があって、少し難しいところはあるんですけど。基本、雇用保険に入っていて手続きさえしてもらえば、だいたいもらえるような形になってきているかな、と思います。是非、またそれをお伝えいただければと思います。

粥川:今みたいな話がね、大きい会社にいると聞く機会がないんですよね。大学院に来てこういう話を聞く機会が増えたり、社長が社員の誕生日メッセージを一生懸命書いているのを横で見たりとか(一同笑)。

そんなことをしていたんですか(笑)

粥川:でも、そういうことやってるんだな、とかですね。亀井さんのお話とか、そういう経営に携わっていて、自分と同じ、もしくは若い方の生々しい話というのが、良くも悪くも、どうしても離れていってしまうので、そこの感覚を診断士という資格を持ってれば当然持ってないといけない、というのを感じさせてくれたというのが。それだけでも授業料払う値打ちがある感じがしてましたね。

- 経営研究科に対する印象の変化(入学前、在学中、修了後)

なるほど。ありがとうございます。そういう意味では、今のは経営研究科の印象みたいな話だと思うんですけど、その辺はいかがですか。大井さん、入学前と入学後では変わりましたか。

大井:経営研究科のアドミッションポリシーを読ませていただきまして、大学院を修了して学位をいただいたら、それなりに経営感覚を持った病院の管理者になれるのかな、と「入学前は」思ってましたけど(一同笑)。結局、1年半非常に速いテンポで授業も進んでいきますし、学ばないといけないことは、1年半ですべてではなくて、もっと多いんだな、ということが、在学中徐々にわかってきました。そして修了直前になって、自分にとって大学院を修了して学位をいただくことがゴールではない、ということがやっとわかりました。むしろこれはスタートではないか、と思いまして。やはり大学院を出た人は皆、これをゴールにして安堵してはいけないと思いますし、結局それを、現場に戻って社会のため、住民のために還元する形で働く、ということが本当の目標だったんだな、ということを感じました。これこそが経営研究科が気づかせてくれたことだと思います。


小川:私も全く一緒で、気合入れるためのスタートをいただいた気がします。やはりどうしても、きちんと、大学卒業してから体系だった勉強はしてなかったですし、診断士の勉強もほとんど独学で、自分で本買ってきて勉強したようなことだったんですけど。やはり、修了してからも、さらに2年間以上に勉強し続けないといけない、と思ったのと、それをどう形にしてお客さんのお役に立てるかといったスタートラインというか、きっかけを2年間で教えていただきました。カッコイイ言い方過ぎますけど(笑)。でも、そうは言いながら、修了してから風邪引いたり(一同笑)、気合抜けがあったのは事実ですけど(笑)。燃え尽きたわけではないですけど、そこをスタートという気持ちだけは持ってます。


粥川:1期生ということで、入学前の印象はあまりなかったんですけど、小川さんを先頭に、割と気合が入ってましたよね、歴史を作るんだ、というかですね、それを感じてました。先生方とも一緒に、1期生で後々つないでいく雰囲気が決まるんだろうな、というので。気合が入っていたような記憶がありますね。

気合は入ってたと思うんですけどね。形になるまでちょっと時間がかかった感じなんですけど。

粥川:先生方も若くて、新しいことにチャレンジするんだ、という感じがヒシヒシと感じられて、修了後も気にかけていただいているのがよくわかって。本当に良かったと思っております。


亀井:入学前は、イメージはあまりなかったというか、カタい感じかなと思っていたんですけど、入ってみると、先生方ともフレンドリーな、一緒に作るという雰囲気もすごくありましたね。あと、私は商売でコンサルをしていましたし、中小企業の経営者としての問題意識がわりとはっきりしていたので、先ほど言いましたように、経営学とかマーケティングとか答えがあるのかと(思っていましたが)、ずっと勉強していってクエスチョンばかりついてきたんです。これでは、これでは、みたいな感じがずっとあったんで。最終的には(新しい)問題意識みたいのがでてきたのが自分で面白いし、また診断士になってからの問題意識ですか、診断士の資格としての問題なんかも。本当にスタートに立てたというか、新しい問題意識ができてすごく楽しかったですね。


池添:養成課程の大学院って、入学するまでは、ただ勉強するというイメージが大きかったです。まず、診断士を勉強する中で、2次試験を養成課程で資格を取得すると、診断士として認められないみたいな噂というか空気があり、勉強中は養成課程で勉強することは全く考えていませんでした。 しかし、入学後は、そのようなことを考えている余裕もないぐらい、とにかく忙しくて勉強しないといけないことがたくさんありました。それを一つずつこなし、自分の中で消化していくうえで、仕事の現場にも使える知識が増え、養成課程に入ってよかったと思うようになりました。 修了した後は、「県立大学の診断士養成課程を出ています」と言ったら、他の診断士の先生に興味や関心を持っていただけています。そのため、入学前、入学後、卒業後の経営研究科への印象は大きく変わりました。ただ学ぶだけの場所ではなくて、人間として成長させてくれる場所でした。

診断士の場合には、(2次試験を)試験で受かる人と養成課程で受かる人がいるので、そういう意味では、粥川さんみたいな(試験で合格した)方を含めてですね、県立大に来ていただいたら卒業後にもプラスがあるように、というのは今心がけていまして。さまざまな卒業後のフォローアップのプランなども考えていって。卒業後に診断のスキルアップをできるようにすることなど、色々アイデアは出ています。

小川:先ほどの池添さんの話じゃないですけど、亀井さんが良く、(2次試験を)落ちてよかったということを言ってらっしゃいましたよね。


亀井:そう、落ちてよかったと私は思ってます。


小川:ペーパーで受かるのもいいと思うんですけど、ペーパーで受かって診断士になるよりも、2年間があったから今の自分がある、みたいなことを結構感じることはありますよね?


亀井:あります、あります。


小川:あのとき私は(1次試験を)受かって、(2次試験を)もう1年チャレンジせず、大学院に2年間来たからこそ、結構基礎体力がついたというか、筋トレをしてた2年間みたいなので。修了してからは、変な話、他の診断士見ても俺の方がすごいんちゃうん、みたいな(一同笑)、いや変な話ですよ、でもそういうのありますよね?


亀井:完全に私はそういう目線で。落ちましたけどね、県立大の養成課程出てますよ、ということで、私は優越感を感じてます、本当に。ペーパー試験通ってコンサルできないですよね、全然できないと思います。2年間で診断実習一緒にやって、プレゼンやって。私の場合、パソコンのスキルが全然だめだったんです。ワードは一応できるけど、パワーポイントは全然やったことがなくて、皆に教えてもらいながら、それはものすごく力になりましたね。


小川:場数を踏めたのが大きいですよね。2年間、人前でしゃべる、自分の意見を言う、人の話を聞く、ディスカッションするというのが、やっぱり大きいことだったかな、と。


亀井:診断士のスキルというのは、やはりそこですよね。コミュニケーション能力と、引っ張り出せる質問の仕方と、それをきちんとディスカッションして、何かにまとめてプレゼンする、という。診断士というのは、そこの能力がないと全然だめじゃないかと思います。

そうですよね。やはり引き出す、ということが重要なところだと思いますね。

亀井:ペーパーで通った人は、そこの重要性を全然感じずに、今になってすごい悩んでいる人が多いです、やっぱり。


小川:そういう意味では、粥川さんみたいな人がどんどん増えてもらいたいですね。(2次試験)受かったけど、大学院来てもう1回きちんと勉強する方が良い、みたいな。そういう人が増えるとやっぱり、粥川さんみたいなそういう意識の高い人がどんどん、と。


粥川:飲み友達にされてますけど(笑)。

ここ数年そういう傾向が続いてますね。2次試験に合格したけれど、経営研究科の試験に受かったので、せっかくなので地域一般という形で振替えて入学します、という方が(※注1)。昨年1人今年2人ですか。そういう方が増えてきていただいているので、診断士の養成課程とともに、MBAの価値というものを考えてくれているのかな、と思いますね。

木戸:粥川さん、亀井さんと被るんですけど、1期生だったので、今後入ってくる後輩の一つの基準というか道筋を作りたい、そんな気持ちで在学中は過ごして。修了後については、金融機関で働いているんですけど、経営系の学校を出ている人って結構少なくて。やはり土曜日の地域一般コース、診断士目指している方は診断士コースといったような形で、会社の人にもどんどんこういう場で学んでいって欲しいな、と思うようになりました。


粥川:就職して、ご両親はOKというか感謝してくれている?


木戸:はい、今は家にお金も無事入れられるようになって(一同笑)、そのお金で買い物しようかなと(言っていて)、ようやく認められたかなと。

もともと彼は、地域に貢献したいということが、入学時から非常に強くて、信用金庫などしか(就職試験を)受けなかったんですよね。そういう意味では初志貫徹で良かったと思います。

※注1:地域イノベーションコース(一般コース)への振替えについて

本学経営研究科・地域イノベーションコース(中小企業診断士登録養成課程)の入学試験に合格後、「中小企業診断士」2次試験に合格された場合、中小企業診断士登録養成課程を履修する目的で経営研究科に入学していただくことは出来ません。ただし、この場合でも、地域イノベーションコース(一般コース)に振替えて入学していただくことは出来ます。


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目次

  1. 経営研究科入学前について
  2. 大学院生活を振り返って
  3. 経営研究科修了後について
  4. これから経営研究科の受験を検討される方に向けて

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