学部長・研究科長挨拶

環境人間学部長 兼 環境人間学研究科長
吉村 美紀

 兵庫県立大学環境人間学部は、2023年(令和5年)に設立25周年を迎えます。1998年(平成10年)の開設当初は姫路工業大学環境人間学部としてスタートしましたが、2004年 (平成16年)の大学統合に伴い兵庫県立大学環境人間学部となりました。環境人間学研究科は2002年(平成14年)に博士前期課程(修士)、2004年(平成16年)に博士後期課程(博士)がスタートしました。
 2022年度までに、4254名の学士(環境人間学)、430名の修士(環境人間学)、48名の博士(環境人間学)を輩出してきました。卒業生・修了生は、県内外の一般企業、国家公務員、地方公務員、管理栄養士、建築士、教員、研究者等の専門職まで幅広く社会で活躍しています。

 環境人間学部は、世界文化遺産である国宝姫路城の北西に位置しています。正門から構内に入ると旧制姫路高等学校の木造の本館(ゆりのき会館)があり、石造りのアーチを通り抜けると校舎に繋がっています。大学校舎(講義棟F)の3階からは姫路城を見ることができます。東門を入って右手には大正時代のモダンな雰囲気を残す講堂(登録有形文化財)があり、現在も講演、授業等の活動の場として親しまれています。春には運動場の桜並木、秋には東門から続く銀杏並木、学術情報館の横にはメタセコイア、ゆりのき、蘇鉄(ソテツ)、すずかけの大木があり、また学内には可憐な楓の木々もあり、1年を通じてキャンパスを彩っています。これらの木々とともに旧制姫路高校、県立姫路短期大学の時代を経て、本キャンパスは100年にわたる学舎としての歴史を重ねています。

 環境人間学部は、これからの時代の環境と人間の暮らしをデザインすることを目標とし、開設当初から人間学を基軸とした文理融合型の教育システム、少人数教育を実践しております。1年次では多彩な教養科目を学ぶとともに、基礎ゼミナール及び環境人間ゼミナールの少人数教育を受け、2年次以降は専門科目を通じて体系的に学び、3年次の専門ゼミナール、4年次の卒業研究を通し専門性を深めます。開設時より教育にフィールドワーク(FW)を取り入れていることも特長のひとつであり、FWを介して地域の問題に接し、その解決に取り組むなど、地域貢献できる人材の育成を目指しています。現在、学部は「人間形成系」「国際文化系」「社会デザイン系」「環境デザイン系」、「食環境栄養課程」の5つの教育プログラム、研究科は「人間環境部門」「社会環境部門」「共生博物部門」の3部門に分かれて教育、研究指導が行われています。

 人類は、貧困、紛争、気候変動、感染症などこれまでになかったような多くの課題に直面しています。これらの課題を解決するため、全ての人にとってより良い持続可能な未来を築くため、世界共通の持続可能な開発目標(SDGs)が示されています。SDGsの達成には、異なる学問領域間で問題や目標を共有し、地域や行政、企業といった多くのステークホルダー(利害関係者)と連帯し、より良い世界のための新たな創造が求められています。世界・地域に繋がる大学としても様々な形でSDGsへの積極的な関与や貢献が求められています。

 環境人間学部は、特色とする文理融合の学際的アプローチを生かしてSDGsの達成に貢献します。全ての人に豊かな暮らしと環境を考え、「人間を深く知る」環境人間学は、日々の暮らしの課題解決だけではなく、未来の数多くの課題解決の糸口をもつかめるかもしれません。このように環境人間学部・研究科が担うべき役割は益々大きくなっており、より良い未来を創るための「志」(こころざし)をもった学生を多く送りだすことで社会に貢献します。