すべての人に、豊かな暮らしと環境を

最も大切なもの

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私たちにとって最も大切なものは何でしょうか。それは、親しい人との日々の暮らしであり、それを支える環境であると、私たちは考えます。経済の仕組みも政治の制度も高度なテクノロジーも、人々の暮らしとそれを支える社会的、自然的環境を豊かにするためにあるべきではないでしょうか。

ところが、この最も大切なものが、新型コロナウィルスの世界的流行によって大きく揺らぎました。あって当たり前の暮らしと環境が損なわれ、私たちはそのかけがえのない価値に気付くことになりました。私たちはこの困難を何としても乗り越えていかなければなりません。

しかし、現在のパンデミックを克服したら、私たちは暮らしや環境の豊かさを取り戻すことができるでしょうか。私たちはコロナ以前から様々な困難に直面していました。地球温暖化や人口減少、高齢化、地域の衰退、健康問題、子ども虐待、差別、格差など、挙げればきりがありません。これらは別々の問題のようにみえますが、互いに絡まり合っており、人間の暮らしと環境にとっての脅威と言う意味で共通しています。

環境人間学部が目指す世界

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環境人間学部が目指すのは、ここに挙げたような複合的な問題を解決していくこと、そして、人間にとって真に豊かな暮らしや環境のあり方を探究し、実現していくことです。本学部では、人間学を基軸とした広い視野と、暮らしと環境に関わる幅広い分野の専門性を駆使して、この難題の解決にむけて挑戦を続けています。

ところで、このような目標を追求する際、注意しなければならないことがあります。それは、豊かさの追求が利己主義と結びついてしまいやすいという問題です。先進国の人々の豊かさが、途上国の貧しい人たちの犠牲の上に成り立っているとすれば、改めるべきでしょう。現世代の繁栄のために、これから生まれてくる将来世代の暮らしを奪ってはなりません。多数派と少数派、富裕層と貧困層、男と女、民族と民族等、様々な形でひかれる境界線をこえて、すべての人が豊かな暮らしと環境を手に入れることができるよう、私たちは取り組んでいきたいと考えます。

「すべての人に、豊かな暮らしと環境を。」

私たちのこの目標は、国連が2015 年から提唱している持続可能な開発目標・SDGs(Sustainable Development Goals)と大きく重なります。広い視野で人々の暮らしと環境を創造していくという環境人間学部のスタイルを活かしながら、この世界共通の目標の達成に貢献していきたいと思います。